横濱ゲートタワープロジェクト建設工事
- 場所:
- 横浜市西区
(みなとみらい21-58街区) - 発注者:
- 当社開発事業本部,住友生命保険,
三井住友海上火災保険 - 設計:
- 当社建築設計本部
- 用途:
- 事務所,店舗,プラネタリウム
- 施工:
- 鹿島・鉄建・小俣建設共同企業体
- 規模:
- S造一部CFT造(制震構造)
B1,21F 延べ83,753m2 - 工期:
- 2019年4月~2021年10月
(横浜支店JV施工)
鹿島スマート生産を積極的に展開
「横濱ゲートタワー」は横浜駅からみなとみらい21への玄関口となる広さ約9,300m2の敷地に建設中の超高層複合ビルだ。高機能な賃貸オフィスに加え,貸会議室やクリニックなど,オフィスワーカーが快適に働ける環境が提供される。さらに,横浜の新たな名所として併設するプラネタリウムは,にぎわいを創出する場として期待されている。
本現場は当社を代表するスマート生産推進現場として,生産性向上に焦点を当てたさまざまな取組みを行っている。
「この現場ではスマート生産の開発項目として挙げられたメニューを積極的に展開しています。現場発案で開発したものもいくつかあります」と現場を統括する杉本健太郎所長は説明する。
「コンクリート打設管理システム」は,躯体BIMモデルを利用した打設数量管理,コンクリート打ち重ね管理,発注管理をアプリ上で行うシステムとして開発。佐藤俊輔工事課長代理は「アプリで簡単に入力でき,瞬時に情報共有できるところがこのシステムの優れたところです」と語る。また,システムの活用により,打ち重ね時間の管理や生コンデリバリーの最終調整を容易にし,品質確保に寄与するとともに,社員の業務削減を実現した。
「現場巡回情報共有システム」を使用することで,巡回で気づいた指摘事項を写真つきで共有することができる。小林圭祐設備担当は「ベテラン社員の目線での指摘を共有することで技能伝承を推進することもできます」とアピールする。
加えて,鹿島グループの取組みとしてBIM-FM連携を実施。ベースとなるのは維持管理に必要な情報を包括したBIMモデルである。そのBIMモデルを使用していかに施工の省力化を図れるかが鍵となる。「モジュールの最適化,オフサイトでのユニット化,物流管理を含めて実施し労務の削減に大きく貢献することができました」(小林設備担当)。
高精度を実現する
球体構造フルPCa工法
建物のシンボルとなるのが球体プラネタリウムだ。チーム一丸となって構工法から検討し,つくり込んでいった。直径約19mの球面の構成を1~4層に分割し,計77ピースの構造PCaで構成,搬入後現場で組み上げる。鉄骨は使わず,PCaジョイント部は鉄筋継手に機械式およびグラウトを併用し,高流動コンクリートで一体化施工する。
球体構築の工法には,ニュートラスW:AGBや在来壁構造現場打ちなどがあるが,より高精度な球面を実現するため,今回新たに構造フルPCa工法を開発(特許申請中)。施工を担当した丹伊田(にいだ)敬介工務担当は「球面の精度だけでなく,仕上げ面の美観性も格段に高くなりました」と,できあがりを誇らしげに語る。この工法により, SEQDC※の大幅な改善を実現した。
※SEQDC:安全・環境・品質・工期・コスト
高層棟における外部養生ユニット
本現場は首都高速横羽線,国道1号線といった交通量や歩行者の通行量が多い通りに面し,周辺の影響により風をよく受けることから,外部へものを落とさないために,墜落・風散飛散・火花の養生方法を徹底した。そこで考案されたのが「外部養生ユニット」である。
「ここには所長のこだわりでもある『美しさ』も加わっています」。河野聡志工事課長は徹底した安全対策だけでなく,周囲の景観にも配慮していると話す。この外部養生ユニットは,今後ほかの現場でも採用されていくだろう。
「われわれはお客様からものづくりのプロとして信頼されています。この信頼に応えるために,こだわりを持ち,さらなる心配りをすることが,お客様の心に響くものづくりにつながります」と杉本所長は語る。
来年3月に予定するグランドオープンに向けた工事が進んでいる。