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Project 2:MM37タワー

図版:田近昌幸所長

田近昌幸所長

(仮称)MM37タワー新築工事

場所:
横浜市西区
(みなとみらい21-37街区)
発注者:
合同会社KRF48(パナソニックホームズ・
ケネディクス・鹿島建設)
設計:
当社建築設計本部
用途:
事務所,ホテル,店舗
施工:
鹿島・フジタ・馬淵・大洋建設共同企業体
規模:
地上—S造一部CFT造,
地下—SRC造一部PC造
B1,28F,PH1F 延べ121,618m2
工期:
2020年5月~2023年1月
(横浜支店JV施工)
図版:完成予想パース

完成予想パース

図版:フロア構成(断面図)

フロア構成(断面図)

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図版:現場近景

現場近景

ICTコンテンツを最適化する

みなとみらい21地区の中心に位置し,首都高みなとみらい出入口の目の前に施工中の「MM37タワー」。東側に横浜美術館を臨み,西側のみなとみらい大通りを挟んだぴあアリーナMMとは,2階レベルのペデストリアンデッキで接続される計画だ。

建物は,1・2階が店舗やオフィスロビー,4~18階がオフィス,20~27階がホテルという構成で,オフィスは1フロア約1,250坪(約4,100m2)と,みなとみらい21地区最大級のオフィス面積となる。

工事はスマート生産を最大限に活用し,最適生産システムを構築することが求められた。今やさまざまなメニューで溢れているICTコンテンツから,この現場に最適なシステムを取捨選択し,活用されている。

加えて田近昌幸所長はスマート生産に向けてこう語る。「ICT,ロボット活用といったツールは今後絶対に必要なものですが,これらを動かすのは人。人に優しいツールであることも重要です」。そんな視点で,使いやすいツールに向けた各種の改善が行われた。

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「現場AR」の活用で見える化

まず,BIMシステムを応用した「現場AR(GENAR)(ゲナー)」。主要なポイントごとに設定されたGENARターゲット(2次元コード上のシール)をiPadで読み込むと,その場所の情報とBIMデータが同時に半仮想空間として可視化されるものだ。図面確認のために現場から事務所に戻る手間から解放され,作業員との確認も容易となる。鉄骨工事を担当する吉田凌治工事担当は「可視化はひとつのコミュニケーションツールと言えます」と役割を説明してくれた。

※iPadは米国Apple Inc.の登録商標

今回新しい取組みとしてBIMによる埋設物確認を行った。これは外構の埋設配管,工作物,仮設残置物,汚染土,既存インフラなど地中の情報をすべて3Dデータ化しGENARに取り込んだもので,作業員と現地で障害物や設置物を可視化できることで,インフラ事故防止にもつながっている。

後藤詩乃工事担当は実用性を評価する。「3Dで可視化することでわかりやすく指示ができ,お互いの食い違いも発生しにくく話も早い。若手社員が積極的に活用して生産性向上・業務効率化につながるように活用していきたい」。

写真

後藤詩乃工事担当(左),
吉田凌治工事担当(右)

図版:GENARターゲットをiPadで読み込む

GENARターゲットをiPadで読み込む

図版:現地におけるAR利用状況(GENAR)

現地におけるAR利用状況(GENAR)

丸紅Arch-LOGとの連携

内装の仕上げ検討などで有効だったのは,各メーカーの建材データを電子化した「丸紅Arch-LOG(アークログ)」。大量のカタログの準備が不要になり,データをBIMモデルに取り込むことで,高精度なデジタルモックアップ画像を作成でき,顧客と設計者・施工者間のもの決めがスムーズに進んだ。仕様変更が発生した場合もイメージの共有を速やかに関係者間で行うことができるなど,合意形成までの時間が短縮され,効率化を図れた。

図版

「丸紅Arch-LOG」では,電子化されたカタログをBIMモデルに取り込むことで,高精度な実物大模型を作成可能。画像はカーテンウォールの方立の色の検討

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図版

光源データを活用し内装材の昼夜の見え方など,もの決めや合意形成を図るツールとして活躍

遠隔管理システムを
すべてPCで一元化

「管理の半分は遠隔で」を目指し,各種のツールを採用した中で,前ページの横濱ゲートタワーでも紹介した「コンクリート打設遠隔管理システム」を本現場でも採用している。進捗状況をリアルタイムで把握することで,余剰コンクリートが削減される効果があったうえに,とくに夏の時期には,打設中の空き時間が明確になることで作業員の熱中症対策にも寄与した。

こうしたシステムをはじめ,今回採用したすべての遠隔管理コンテンツは,iPadなどのデジタルデバイス上のみではなくPCと連動させ, さまざまな現場状況を工事事務所で把握し,情報の見える化を図った。コンテンツを一元化することでタイムリーかつ正確に情報共有を行うことができた。

スマート生産を担当する南知明次長は「これからの建設DXに向けて,皆で情報を集め,新しいものを探求していく機会と捉えています。そしてそれらを情熱を持って活用していきたい」。2023年の竣工に向けて,システムの真価が問われる作業が続いている。

図版:南知明次長

南知明次長

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スマート工事事務所での打合せ

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朝礼会場では100インチモニターと事務所内PC,現場内環境測定機器をインターネット接続し,配置図や写真,動画,現場ルール,気象情報などをタイムリーに情報共有

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