屋内外が連続するイベント空間。そこに組み込まれた可変装置が生む人々のアクティビティを,絵巻のように描いた。空間や時間の流れをも取り込む絵巻の表現は,楽しさの連なり,多彩に変化する場の面白さを示す。設計者自身の描くスケッチは,設計に込めた「熱き思い」を伝え,施主の心をとらえた。
求められたのは,500席のアシカショー施設と1,000席のコンサートホールの両立。解決不能と思われた困難な課題に対し,ショープールの蓋となる500席の昇降式可動客席で明快に解決。敷地から導き出した左右の曲り壁とボールト屋根の3つの曲面で空間を結んだ。外部を取り込んだホールの拡張利用の要望に対しては,施設の前後に2つの芝広場を配置し,舞台と観客席の両側で芝広場に連続させることで,より大きく,より多彩に変化するイベント空間を提案。既存アシカショー仕様のイベント空間は,1つの昇降床と3つの可動壁の組み合わせにより,2つの芝広場と一体となって,様々な活用を誘発する,施主の想像を超えたイベント空間を創った。このユニークなイベント空間は,サーカス,パブリックビュー,イルミネーション,成人式,企業イベントなど想定外のイベント利用も掘り起こしながら,企画運営を悩ませつつ,よみうりランドになくてはならない施設となっている。
(岡村耕治・大越英俊)
よみうりランド
日テレ らんらんホール
- 場所:
- 川崎市多摩区
- 発注者:
- よみうりランド
- 設計:
- 当社建築設計本部
- 用途:
- 遊園地施設(観覧場)
- 規模:
- RC造一部S造 2F
延べ1,901m2
2014年3月竣工(横浜支店施工)
岡村耕治
(おかむら・こうじ)
建築設計本部
グループリーダー
主な作品:
- 出雲ドーム
- やまびこドーム
- 西武ドーム
- 九州・沖縄サミットプレスセンター
- フルキャストスタジアム宮城
(現:楽天Koboスタジアム宮城)
1期~現在まで
大越英俊
(おおこし・ひでとし)
建築設計本部
チーフ
主な作品:
- 読売新聞東北総局リニューアル
- 芝浦アイランド グローヴタワー
- 楽天Koboスタジアム宮城