目的は新たな産業の創造と発信
2020年7月にまちびらき(先行開業)し,同年9月の本格稼働からちょうど2年が経過したHICityでは,「先端」と「文化」をコア産業とし,「新産業創造・発信拠点」の形成をコンセプトとしたまちづくりが行われている。来訪の目的や年齢,国籍・文化を問わずさまざまな人々がこの場所に集い,互いに刺激し合うことで「先端」と「文化」が融合し,分野を超えたヒト・モノ・コトの交流,新たな産業の創造と発信がそのねらいだ。
HICityは,国土交通省の進めるスマートシティモデル事業の「先行モデルプロジェクト※」に選定。ロボットや先端技術の実証実験場であるほか,HICity自体がさまざまな社会課題のデータ検証を行うプラットフォームとしても活用され,大田区のまちおこしや地域の課題解決の役割も担う。
大田区は全国有数の中小企業集積地として知られ,現在も金属加工業を中心に約4,000の町工場がある。また,高齢化が進むことによる生産年齢人口の減少,産業の担い手不足の深刻化,交通弱者の移動手段の確保などの課題も抱えている。
HICityは,このエリアでの実証的な取組みを推進していくことで,大田区ひいては日本が抱える社会課題の創造的解決を図ろうとしている。
交流や連携を創出・誘発する仕掛け
ビジネスを模索する来訪者のために,全国の信金ネットワークを活用した地域経済活性化の総合支援窓口や地域中小企業のビジネスマッチング拠点などを備える。産業振興の要となるべく,多種多様な交流や連携を創出・誘発する仕掛けが企画・展開されている。
HICityは羽田空港のゲートウェイとして,世界をリードする国際産業拠点,また多彩なジャパンカルチャーの発信拠点として,このまちに集まってくる人たちにさまざまなイノベーションを提供していく。
羽田みらい開発の一員であり,羽田空港ターミナルビルの管理・運営を行う
日本空港ビルデングよりメッセージをいただいた。
日本空港ビルデング
常務取締役 執行役員
小山陽子
当社は,HICityのあるこの地で誕生しました。今では羽田沖合に移転拡張され,世界31都市,国内48都市から年間9,000万人近い乗降客で賑わう羽田空港ですが,その繁栄には,70年近い地元大田区との信頼関係に支えられてきた歴史があります。
羽田空港跡地に対する大田区の思いを実現することによって,さらに深い信頼関係を築いていきたいという思い,そして,大田区が掲げる「新産業創造・発信拠点~HANEDAゲートウェイ~」というコンセプトのもとで,人々が交流し,新しい人の流れが生まれ,そこにあるモノが変わり,羽田のまち全体の価値が上がっていく可能性を追求していきたい。こうした思いを実現するために,当社の成長の証でもある世界に誇れる3つの旅客ターミナルすべてに携わっていただいた,かけがえのないパートナーである鹿島建設さんと実現できることに大きな期待を持ち,参画いたしました。
空港は,単独の存在として見ず,周辺の都市空間とのつながりで理解し,地域社会・経済の基本的需要が空港を支えるという視点から,その役割を考え活用されていくべきであり,その意味でHICityは,羽田空港にとって地域とつながる重要な役割を担っています。「空港のあるまち・地域」ならではの特性を活かし,大田区と世界,日本と世界をつなぐ拠点となり,地元企業の発展,区内雇用の増加につながり,大田区とHICity,羽田空港がともに発展していくことを期待しています。
当社の若手社員の中では旅客ターミナルの枠を超えて,大田区,川崎市へと広がる空港まちづくり『人のこころを動かすために,空港が出来ることのすべて。』を構想しています。そこで描く,D&I,地球環境への貢献,技術革新・デジタル化による空港利用の変化,水際での防疫や航空保安の高度化など,ニューノーマルという環境で求められる空港のあり方を,さまざまなヒトや情報,企業が集積するHICityを通じて実現していきたいと考えています。