日本列島は国土の7割が山地で、急峻な地形も多くあります。国土の10%に過ぎない洪水氾濫域に人口の51%、資産の75%が集中しているのが現状です。また、標高3000m級の山脈が背骨のように連なり、狭い国土を太平洋側と日本海側に分けています。ヨーロッパやアメリカと比べると川の長さが短く、また、急勾配です。このため川の流れが速く、大雨が降るとわずかな時間で水かさが増し、洪水などの災害が起こりやすいとされています。
一方、近年は温暖化の影響による局地的豪雨の増加や台風の襲来などにより洪水が頻発しており、土砂災害やゲリラ豪雨による都市型洪水も増加しています。2015年9月の北関東豪雨による鬼怒川堤防の決壊、2017年7月の福岡県・大分県に甚大な被害をもたらした九州北部豪雨、2017年10月、台風21号と22号が相次いで列島を縦断し、各地に大きな被害をもたらしました。
洪水の被害低減に大きな役割を果たすのがダムですが、日本の河川は勾配が急であるため、ダムに適した地形は限られています。また、新規にダムをつくるには、土地の権利問題等合意形成が困難で、かつ、時間もかかるため、既存ダムの機能向上を図る「ダム再生」に注目が集まっています。
一方、地球規模での温暖化の影響から、積雪量の減少、無降水日の増大等により渇水も毎年のように発生しており、利水の面でもダムの機能が見直されています。また、水力発電も再生可能エネルギーとして注目されており、発電機能向上の意味でもダム再生に関心が高まっています。
次に、ダムの機能についてみてみましょう。