研究成果

Feature

人の動きを読む

建設業向け
パワーアシストスーツ

※動画は音声を含みます。

八幡 真純
先端・メカトロニクスグループ

現場の声と作業分析により、
建設業向けパワーアシストスーツが
完成

機械化・自動化、ロボット化が進む世の中ですが、建設業は労働集約型産業であり、大型のクレーンや重機以外は今でも大半の作業が人の手で行われています。重量物の移動や取り付けなどを人の手で行うことも少なくありません。そのためか、建設作業員の業務上疾病の6割は腰痛によるものと言われています。すでに疾患を抱えている方のアシストのため、また次の世代の若い作業員を守るため、建設業向けアシストスーツの開発を始めました。

開発を始めるにあたり、既に市場に流通していた介護や物流業界向けのアシストスーツの調査から始めました。これらのアシストスーツは、1か所で繰り返す後上げ作業が主たる機能であり、色々な体制で作業を行う建設業の就業環境に合わないことが分かりました。どのような作業体勢でも体の動きを邪魔することなく装着できるアシストスーツを求めた結果、たどり着いたのが農業用のアシストスーツでした。メーカーの方に市場のアシストスーツが建設現場での適用が難しい現実を実際に見てもらい、課題解決の案を一緒に検討し、プロトタイプのアシストスーツを完成させました。完成後は現場実証と作業員さんへのヒアリングを実施し、作業にあった細かい動きを調整しながら、現在のものが出来上がりました。

現場作業は3K(きつい、きたない、危険)と言われていますが、これからの時代は働きやすい環境づくりが重要だと思っています。生産性を向上させるような技術開発と共に、「未来の現場は人にやさしい」を実現できるような技術開発も大切なキーワードだと思います。アシストスーツは重量物の持上げ・降ろし、中腰姿勢での作業時などで腰に掛る負担軽減を実現できるため、これからの現場の働き方改革に貢献できると期待しています。

図版:中腰姿勢を保持することで、腰にかかる負担を軽減させる効果がある。

中腰姿勢を保持することで、腰にかかる負担を軽減させる効果がある。

図版:建設現場で使用しても邪魔にならないスリムな構造の中にも、重量物を持ち上げる際には腰にかかる負担を軽減するパワーを有している。

建設現場で使用しても邪魔にならないスリムな構造の中にも、重量物を持ち上げる際には腰にかかる負担を軽減するパワーを有している。

図版:モーターの動きをモニタリングしながら、最適な動きをプログラミングする。

モーターの動きをモニタリングしながら、最適な動きをプログラミングする。

図版:何よりも大事な情報は実際に使用する作業員さんの声、使用者の意見を反映することでより現場向けのよいモノが出来上がる。

何よりも大事な情報は実際に使用する作業員さんの声、使用者の意見を反映することでより現場向けのよいモノが出来上がる。

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