インフラの維持管理を効率的に、
BCPにも有効活用
光ファイバセンサは、これまでの電気式センサと異なり、屋外環境下においても錆びることなく長期的な活用が可能です。安全で品質の高い施工管理に向けてインフラに設置した光ファイバセンサを残置しておけば、効率的な維持管理や迅速なBCPなどにも活かすことができます。
橋梁
長期耐久性に優れた光ファイバは、供用中の橋梁に対しても、
点検作業の効率化や迅速なBCP判断などに役立ちます。
橋梁は線状の長大構造物であり、その維持管理においては長い供用期間中に生じる変状を漏れなく検知することが重要となります。高耐久でひずみ分布が計測できる光ファイバセンサは、そのための計測方法として最も適しているもののひとつです。例えば、橋梁の維持管理やBCPに役立てることを目的として、施工管理で設置した光ファイバ組込PCケーブルを供用中にも計測できるようにしておき、長期的な変状や地震による変状の検知に役立てている事例があります。
適用実績
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- 月舘高架橋 吉野川サンライズ大橋 ほか
論文発表リスト
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- 山下等,分布型光ファイバひずみセンサによる長大橋のPC 張力計測とヘルスモニタリングへの適用,
令和3年度土木学会全国大会第76回年次学術講演会,VI-350. - 山口等,光ファイバを用いた長大橋のPCケーブルのヘルスモニタリングシステム,
令和4年度土木学会全国大会第77回年次学術講演会,VI-824.
- 山下等,分布型光ファイバひずみセンサによる長大橋のPC 張力計測とヘルスモニタリングへの適用,
プレスリリース
トンネル
光ファイバによって目視確認できない変状の長期挙動を
モニタリング可能です。
供用中のトンネルにおいては、トンネル周辺の地山の長期的な劣化、トンネル近傍での新規トンネルの掘削、あるいはトンネル直上の地盤改変等により、路盤の隆起や覆工等の変状が発生することがあります。しかし、このような変状は、その発生個所や時期、その大きさを予測することが困難であり、また、大きな変状となるまで目視で確認することは容易ではありません。
光ファイバ計測では、そうした変状を長期間にわたりモニタリングし、変状の早期の段階で場所やその程度を把握することが可能です。また、構造物の応力状況を計測することで、実際の状況に基づいた判断や合理的な対策工の検討が可能となります。
※本計測事例は、令和3~4年度の国土交通省の建設技術研究開発助成制度(JPJ000094)の「広範囲・網羅的な監視が可能な光ファイバ計測技術によるトンネル維持管理の生産性向上に関する研究開発」で実施されたもので、トンネル工学および計測工学分野の専門家委員会でご意見をいただきながら実施しました。
論文発表リスト
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- 福島等,山岳トンネル維持管理のための光ファイバによる地中変位計測,
令和4年度土木学会全国大会第77回年次学術講演会,VI-789. - 川端等,光ファイバ計測技術によるトンネル維持管理の効率化に関する研究(その1)
- 研究の目的と覆工・インバートへの実装試験 -,第58回地盤工学研究発表会,11-3-2-05 - 宮嶋等,光ファイバ計測技術によるトンネル維持管理の効率化に関する研究(その2)
- トンネル変状対策の設計の効率化に関する検討 -,第58回地盤工学研究発表会,11-3-2-04
- 福島等,山岳トンネル維持管理のための光ファイバによる地中変位計測,
計測技術紹介
分布型光ファイバセンサは、
どこで起こるか分からない構造物のわずかな変化も、逃さず検知できます。
光ファイバセンサは、光ファイバ中を光が伝搬する際に生じる散乱光を解析することで、光ファイバ全長にわたってひずみや温度の情報を網羅的にとらえます。しかし、従来用いられていたブリルアン散乱光では、計測範囲は大きいものの精度が充分ではなく、適用範囲が限定されていました。今般、レイリー散乱光を用いた高速・高精度な計測技術が実用化され、光ファイバセンサを用いたインフラモニタリングへの適用範囲が一気に拡大しています。
光ファイバセンサの特長
細かく分布が取れる
給電不要
影響を受けない
腐食や故障を起こしにくい
光ファイバ中で発生する散乱光
レイリー散乱光と
ブリルアン散乱光の性質の違い