「始まりの地」は日本人街
リトル・トーキョー
鹿島の海外の建築・開発事業の歴史は、1960年代に米国ロサンゼルス、リトル・トーキョーの再開発から始まります。その再開発のため1964年に設立したのがカジマ・インターナショナル(KII)です。その後、1970年代には欧州、そして東南アジア各国でも現地法人を次々と設立し、鹿島の海外事業は徐々に広がりを見せました。
- 建築事業
- 開発事業
建築事業のあゆみ
北米
北米での建築事業は当初、設計業務のみを行うささやかなものでした。しかし、その後、西海岸へ日系企業の進出が増えるにつれ、徐々に建設工事も行う機会が増えてきました。
1970年代には、日系企業が東海岸へ進出するのに合わせ、米国本社をロサンゼルスからニューヨークへ移転。その後アトランタ・シカゴ・ダラスなど全米の主要エリアに拠点を開設。自動車産業の投資が急速に増えた1985年以降は、マツダ、三菱自動車、スバル・いすゞなど3件の自動車一貫製造工場を手掛けたほか、数多くのサプライヤー工場の建設を行いました。90年代に入り、日系企業の投資が一段落する中、鹿島はいち早く現地化を推進。そして日本式の管理手法が評価され、米国の大手企業からの受注も徐々に増えました。
2000年以降は、米国のIT産業が急速に成長するにつれ、データセンターの建設が集中的に行われると同時に、eコマースの爆発的な拡大がもたらしたビッグボックスと呼ばれる大型流通倉庫の開発・建設にも全米各地で取り組みました。そして現在は、地域統括現地法人KUSAとして、M&Aでグループに加わった現地の優良企業を含む傘下の事業会社を通じて、製造・物流・オフィス・住宅・ホテル・病院など幅広い分野で建築事業を展開しています。
アジア・オセアニア
アジアでの建築事業は1960年代、シンガポールでの造船所プロジェクトから始まりました。その後、発電所やダムなどの土木工事に加え、オフィス・ホテル・住宅・工場などの建設工事が始まりました。1980年代には電機・自動車産業などを中心に企業の進出ラッシュが続き、1990年代にはインドネシアやシンガポールでの大規模複合開発などにも取り組み、アジア全域に事業を拡大。2000年以降は、中国のWTO加盟により中国本土での事業も再開。近年は医薬品など高付加価値で難易度の高い生産施設を中心に手掛けています。台湾では現地法人名「中鹿」が品質と技術力の高さで「ブランド」として評価され、地元デベロッパーより数多くの高層住宅プロジェクトを任されています。
現在、東南アジアでは、カジマ・アジア・パシフィック・ホールディングス(KAP)を統括会社として、シンガポール・タイ・インドネシア・マレーシア・フィリピン・ベトナム・インド・ミャンマーで建築事業を展開。中国本土では、上海・天津、広州等を中心に中国全土にて、台湾では台北・台中・高雄などで活動しています。
オセアニアでは、カジマ・オーストラリア(KA)が現地の建設・不動産会社をM&Aで傘下に加え、オーストラリア・ニュージーランド・太平洋島嶼国での建築事業を、さらには広く米国・アジアにおいて、医薬企業のコンストラクション・マネジメント(CM)や、テーマパークの擬岩や特殊内装といった特徴的な事業を展開しています。
ヨーロッパ
ヨーロッパでの建築事業は、1970年代初頭、まだ東ドイツであったベルリンでのプロジェクトが最初です。その後、東ドイツでの経験を基に、徐々に実績を増やし、英国、フランス、ドイツ、ベルギー、オランダ、スペインなど西欧諸国で、オフィスビル、商業施設、製造および倉庫施設などの建設を中心に実績を伸ばしました。しかし2000年頃より西欧での建設需要が低迷。企業の投資先が中欧へシフトするのに合わせ、2001〜02年にかけて新たにポーランドとチェコに拠点を開設しました。
現在は英国に統括本社カジマ・ヨーロッパ(KE)を置き、建築事業はポーランドとチェコの2カ国に集約しています。日系企業のお客様はもちろんのこと、欧米、そして地元の企業様からの工事が増え、生産施設や物流施設の設計施工を中心に、地域に根付いた建設会社として活動しています。
開発事業のあゆみ
北米
北米での開発事業は、1960年代のロサンゼルス、リトル・トーキョーの再開発から始まり、70~80年代の住宅・オフィス開発を経て、1989年にカジマ・ユー・エス・エー(KUSA)が設立したインダストリアル・デベロップメンツ・インターナショナル(IDI)が全米で大型物流倉庫の開発を進め、事業を拡大していきました。一方で、1996年にオープンしたハワイ島「フアラライ・リゾート」のようなリゾート開発や、「サンフランシスコ・ジャイアンツ球場(現オラクル・パーク)」をはじめ、リゾートや公共施設などで開発ノウハウを提供するフィー開発も手掛けてきました。
最近では、バトソン・クック・デベロップメント社が米国南東部で集合住宅や商業施設の開発を進めています。2018年には木造賃貸集合住宅の開発を手掛けるフラワノイ社も買収し、賃貸集合住宅分野への取組をさらに進めていきます。また、物流倉庫開発事業は2015年に設立したCore5が受け継ぎ、適地で物流倉庫を開発し賃貸した上で投資家に売却する短期回転型事業を確立しています。
東南アジア・オセアニア
アジアでの開発事業は、1978年のシンガポールでのホテル開発(現コンラッド・シンガポール・オーチャード)への事業参画から始まりました。1990年代にはアジアの成長段階を捉え、インドネシア「スナヤン・スクエア」やシンガポール「ミレニア開発」といった大規模複合開発をはじめ、香港、タイなどにおいても開発事業に取り組みました。近年ではシンガポール「ウッドレイ住宅・商業複合開発」、など、これまでの経験を活かしながらアジア各国での実績を重ねています。ベトナムの合弁会社インドチャイナ・カジマ・デベロップメント社では、新たなホテルブランド「WINKホテル」をベトナム各主要都市において展開しています。
また、2015年からは、オーストラリアでも事業を開始し、分譲集合住宅やオフィス開発等を手掛けています。
ヨーロッパ
ヨーロッパでの開発事業は、1986年のロンドンでのオフィス開発事業を端緒に、1988年の現地デベロッパーとのオフィスビル共同開発から本格的な取り組みを開始しました。その後、ドイツでのオフィスビル開発、フランスでの「サンタンドレオール・リゾート」開発など地域を拡大するとともに、2000年代には欧州でPFI事業に参入。2010年代からは欧州での流通倉庫開発および学生寮ビジネスなどにより、事業領域を拡大しており、2021年からはイギリス・ポーランドにおける再生可能エネルギー発電施設の開発事業やアイルランドでの賃貸住宅事業にも参画、現在欧州9か国で活動しています。
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