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水環境施設

大切な資源を利活用します

近年、日常生活や産業活動によって発生する廃棄物や排水は、大切な資源として注目されていますが、まだその利活用は十分な状況ではありません。

鹿島では、下水汚泥や生ごみを貴重なバイオマス資源としてとらえ電気・熱エネルギーとして利活用する技術や、雨水や各種排水を水資源としてとらえ中水としてリサイクルする技術等により、廃棄物や排水を資源として利活用することを促進し、資源循環型社会の構築に向けて様々な技術を提案します。

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キーワード

資源循環、下水汚泥、汚泥減量化、地域バイオマス、生ごみ、混合消化、雨水、排水、中水道、リサイクル、再利用
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資源循環

下水道が普及するにともない、下水汚泥の発生量は年々増加しており、現在では濃縮汚泥(含水率97%)ベースで年間約7,500万トンにも達しています。この量は国内の産業廃棄物の約20%を占め、その処理・処分コストは膨大となります。

これまで下水汚泥を減量化するために脱水処理や焼却処理が行われてきましたが、減量効果の限界や脱水性不良、化石燃料の大量消費・温室効果ガス排出などそれぞれに課題を残しており、大量に発生する下水汚泥のリサイクルは社会的な重要課題となっています。

鹿島は下水汚泥の大幅な減量に加え、固形燃料や肥料としても活用可能な状態にする「メタサウルス」、地域のバイオマスと下水汚泥を混合消化する「COSBIOシステム」など、循環型社会構築と地球温暖化防止に向けた最適なシステムをご提案します。

図版:資源循環

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メタサウルス®

メタサウルスは連続式水熱反応技術と固定床式高温メタン発酵システムを融合させた、環境にやさしい下水汚泥減量化技術で、汚泥の減量化・性状改善に効果的なシステムです。

下水処理場から排出される生汚泥や余剰汚泥などの混合汚泥をプレ脱水で濃縮、連続式水熱処理によって汚泥を加水分解(※1)・可溶化(※2)した後、固定床式高温メタン発酵システム(メタクレス)でメタン発酵します。メタクレスで生産したバイオガスは水熱処理に必要なエネルギーとして活用することで、化石燃料を使用しないエネルギー自立型のシステムを実現することが可能です。

近年、下水道関連における環境政策として下水熱や下水バイオマスの利用が推進されているなか、メタサウルスは汚泥処理のコスト縮減と循環型社会の形成、地球温暖化対策への貢献に繋がる技術として期待されています。

※メタサウルスは三菱長崎機工株式会社との共同研究で開発しました。

※1 加水分解:水による分解反応。
※2 可溶化:水に溶けにくいまたは溶けない物質が溶けやすくなること。

図版:処理フロー

処理フロー

図版:汚泥の可溶化イメージ

汚泥の可溶化イメージ

特長

  • 下水汚泥を1/3~1/5に大幅な減量ができます。
  • 消化槽の滞留日数が短くなることにより、既設処理場に省スペースで運用することができます。
  • 運転に必要な熱エネルギーは、メタン発酵により得られたバイオガスでほぼ全量賄うことが可能です。
  • 汚泥の性状改善により、脱水汚泥を代替燃料や肥料として活用することができます。

従来の消化技術との比較

従来の消化技術と比較すると、連続式水熱処理と高温消化を組み合わせることにより、汚泥減量化率が60~80%と高く、処理時間も5日程度となります。

そのため、設備がコンパクトになり、省スペースでの運用が可能です。

図版:従来の消化技術との比較

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システムフロー

図版:システムフロー

  1. 下水処理場から排出された生汚泥と余剰汚泥を混合し混合濃縮汚泥にして、プレ脱水で処理します。
  2. プレ脱水によりプレ脱水ケーキとプレ脱水ろ液に分かれ、プレ脱水ケーキはスラリ供給タンクでプレ脱水スラリにした後、水熱反応器に供給します。
  3. 水熱反応器で水熱処理・加水分解することで、よりメタン発酵しやすい分解液となります。
  4. 分解液とプレ脱水ろ液をメタン発酵原料としてメタン発酵槽に投入します。
  5. メタン発酵槽で発生したバイオガスはガスホルダに蓄積され、蒸気ボイラを経由して乾燥機や水熱反応器の熱源として使用します。
  6. メタン発酵汚泥は脱水し、脱水ケーキは乾燥して、固形燃料や肥料として利用します。
    脱水ろ液は返流水として水処理施設へ戻します。
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COSBIOシステム®

これまで主に焼却処分されていた生ごみなどの地域バイオマスを、下水処理場に集約し、下水汚泥とともに一括エネルギー化するような新しいリサイクルシステムが構築されつつありますが、それを可能とするのがCOSBIO(コスビオ)システムです。

COSBIOシステムは、下水処理場の消化槽を活用し、食品廃棄物・生ごみ・し尿・浄化槽汚泥など種々の有機性廃棄物と下水汚泥を混合消化することで、化石燃料に替わる消化ガス(メタンガス)を発生させ、バイオマスエネルギーを効率的に回収します。

下水処理場・清掃工場の双方にメリットがあります。

  • 下水処理場のメリット
    電力、燃料の大幅削減:新たに生み出すバイオマスエネルギーを活用し、下水処理場で消費する電力・燃料を補います。
  • 清掃工場のメリット
    生ごみ焼却の省略:生ごみなど、焼却処理に不向きなウェットバイオマスを分別することで焼却効率を高め、清掃工場でのCO2排出量を削減します。

図版:これまでのシステムとCOSBIOシステム

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導入による二大効果

  • CO2排出量を大きく削減します
    下水処理場から排出されるCO2量の半分は電力利用によるものです。コスビオシステムで回収されたバイオマスエネルギーを活用することで、下水処理場における電力や化石燃料の使用を大きく削減できます。
    また清掃工場でもウェットバイオマスの焼却量が減ることにより、排出されるCO2量が大きく削減します。

図版:排出量イメージ

CO2排出量イメージ

  • 大幅なコスト縮減が可能です
    下水処理場を活用したバイオマスの一括混合消化により、生ごみなどを個別にメタン発酵し、エネルギー回収するシステムに比べて、イニシャルコスト・ランニングコストともに大幅に縮減します。

図版:トータルコストイメージ

トータルコストイメージ

システムフロー

図版:システムフロー

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生ごみ異物分別・破砕装置「イブトロン®

イブトロンは、回収・搬入されたままの生ごみや食品廃棄物から、ビニール袋・トレイなど発酵に適さない異物を精度よく分別し、効率的にメタン発酵ができる状態に分別・破砕する前処理装置です。

生ごみの異物分別から、破砕、スラリー化、搬送までの処理を可能とした一体型コンパクト設計です。

これにより生ごみのバイオガス化を効率的に進めることができます。

図版:イブトロン外観

イブトロン外観

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水の再利用 ─大切な水をもう一度

水の再利用は水資源循環のための主たる方策に位置付けられ、上水の使用量を削減して水資源の保全を図ることで、都市の水需要を緩和するとともに、排水量の減少によって下水道への負担も軽減できます。

また、地震・火災等の災害時にも水を確保できる工夫や、快適な環境としての親水空間の提供など、都市における快適でより良い水環境を創造するうえで重要な役割を担っています。

鹿島は排水リサイクルや雨水の再利用などにおいて確実な技術でお応えするとともに、ニーズに合った適切な水再生利用の企画・提案から設計・施工、アフターフォローに至るまで総合的にご提案します。

中水道システム

中水道システムとは、一度使った水や雨水などを原水として中水処理プラントで再生し、その水をトイレの洗浄水、庭園の散水、冷却塔の補給水などに利用するシステムです。中水道システムは、規模によって、広域循環方式、地区循環方式、ひとつの建物を対象にした個別循環方式があります。

個別循環方式の場合、①原水の集水 ②中水処理 ③中水の排水までの3つのステップで構成されています。

その中核である中水処理プラントには、生物処理・物理化学処理などの方式があり、原水の種類や中水の用途によって、処理方法や水質が異なります。

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図版:建物における水の循環(中水道システム概念図)

建物における水の循環(中水道システム概念図)

排水利用

排水を再利用するにはさまざまな処理方法がありますが、ここでは「リングレース接触ばっ気法」と「膜利用排水処理システム」をご紹介します。

リングレース接触ばっ気法

接触材(リングレース)を利用した生物処理方式です。安定した処理性能を持っており、維持管理においても容易で、費用も抑えることが可能です。

図版:リングレース接触ばっ気法

膜利用排水処理システム

膜利用排水処理システムには「UF膜」と「浸漬膜」の2種類の処理方法があります。

UF膜

UF膜を使った物理処理方式で、生物処理などの他の処理方式と組み合わせて使います。

高度な処理が可能で、設置面積も省スペースで済みます。

図版:UF膜を使った物理処理方式

浸漬膜処理

浸漬膜を使ったシンプルな処理方式です。ばっ気槽内に浸漬された膜(浸漬膜)で槽内循環液をろ過し、処理します。

高度な処理および高負荷運転が可能で、設置面積も省スペースで済みます。

図版:浸漬膜を使った処理方式

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雨水利用

屋根に降る雨水を貯留タンクに集め、砂ろ過、活性炭ろ過による処理を経て中水として利用します。簡易な設備で利用でき、処理コストも安くなります。

用途としては工場や屋内競技場、学校や展示場といった場所に適しています。

図版:雨水利用

水環境施設 インデックス

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