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生まれ変わるJR渋谷駅

JR渋谷駅改良工事

これらの都市基盤整備に合わせてJR渋谷駅も大規模な改良工事が実施されることとなった。この工事は,JR東日本により進められ,ホームの移設・改築やバリアフリー化などを段階的に行う。

主な工事内容は,●埼京線ホームを北側へ約350m移設し,山手線ホームと並列化 ●1階,3階部分の駅構内コンコースの拡充 ●コンコースとホームを結ぶエレベータの整備 ●内・外回り線で2つに分かれている山手線ホームの1面2線化 ●1階の北側に幅員22m,中央部に幅員23mの東西自由通路の整備となる。本体工事は,国土交通省関東地方整備局が進める国道246号拡幅事業との共同事業として進めるとともに,東西に横断する自由通路の整備は渋谷駅街区土地区画整理事業と一体で行う。

工事は全体を3工区に分けて,当社JVはそのうち北工区の施工を担当している。

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渋谷駅の改良前後の平面図(JR東日本の資料をもとに作成)

図版:渋谷駅の改良前後の平面図

駅ホームの現状と将来

図版:駅ホームの現状と将来

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北工区概要

北工区は改良工事全体の新宿方にあたり,①埼京線ホームを山手線ホームと並列化,②駅ビル再開発(低層棟範囲:地下1階,地上4階),③北口(ハチ公口)乗換えコンコース拡充,④JR線上空の銀座線橋梁架替を行う。2015年8月から始まった工事は,完成予定が2028年6月末と長期間となる。

現場を率いるのは幸野寛伸所長。これまで東北縦貫線などJRの現場を数多く経験してきた。「繁華街で注目度の高い工事でやりがいを感じている。約13年と工期が長いが,そのなかで工事にはいくつかの大きな山場がある」と語る。幸野所長の言う山場が埼京上り・下り線と山手内回り・外回り線の4回の線路切換だ。

その初弾となる埼京上り線の切換工事が5月25日から27日に本番を迎えた。

写真:2018年4月時点の渋谷駅周辺(現場撮影)

2018年4月時点の渋谷駅周辺(現場撮影)

工区区分(平面図)

図版:工区区分

【工事概要】
JR渋谷駅改良(北)工事

場所:
東京都渋谷区
発注者:
東日本旅客鉄道
設計:
ジェイアール東日本コンサルタンツ
規模:
線路切換 4回/工事桁架設 24連/
宮益架道橋改築―橋梁架替 1連,
既設桁移動 2連/中央棟低層部構築/
銀座線橋梁架替 一式
工期:
2015年8月~2028年6月(予定)

(東京土木支店JV施工)

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埼京上り線切換工事概要

埼京上り線切換工事は,埼京線ホームを山手線ホームの隣に移設するための準備工事で,東側の新設高架橋への線路移設と,それに伴う既存線路の切換,宮益架道橋の架替を行う。当社JVではこのうち宮益架道橋の架替を担当している。「4回の線路切換のうち他の3線は既設橋梁を桁移動もしくはそのまま使用するのに対し,埼京上り線は既設橋梁を撤去して新設橋梁に架替を行うため最も難易度が高い。工事期間中は埼京線を約45時間一部区間運休し,宮益架道橋の下を通る旧大山街道の渋谷駅前交差点―宮益坂下交差点間を一時通行止めにして施工を行う。決められた時間内に工事を完了できない時の影響は計り知れない」(幸野所長)。

写真:幸野寛伸所長

幸野寛伸所長

渋谷駅の線路切換計画(資料提供:JR東日本)

図版:渋谷駅の線路切換計画 (資料提供:JR東日本)

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図版:埼京上り線切換工事概要

(上の図をクリックすると拡大表示されます。)

図版:宮益架道橋イメージ

宮益架道橋イメージ

図版

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決してミスの許されない工事

この工事では緻密な施工計画が必要となる。監理技術者を務め,計画段階から工事に携わってきた加納暢彦工事課長は「現場だけでなく,本社各部署や支店と検討会を何度も開催しました。この工事は鉄道工事に分類されますが,架道橋は橋梁工事でもあるので橋梁の専門家にも支援していただき,詳細な施工計画を詰めていきました」と話す。施工計画策定にあたっては事前に試験施工を行い,作業方法の選定や施工機械の動作確認,作業単位ごとにかかる時間を測定。各作業時間に予備として使える時間を加味して2日間の詳細なサイクルタイムを決めた。

写真:加納暢彦工事課長

加納暢彦工事課長

また,大小かかわらず想定されるリスクの拾い出しを行った。天候不順や施工機械のトラブルなどから,旧大山街道の通行止めで迂回を余儀なくされる歩行者とのトラブルといった現場特有のものまで,内容は多岐にわたる。その一つひとつに対策と可能な事前処置を行い本番に備えた。「万全の状態で本番を迎えられるという自信はありましたが,それでも何か抜けていることはないか常に頭のなかは工事のことでいっぱいでした。ここまで重圧がかかる工事は他にありませんでした」(加納課長)。

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