2020年の東京オリンピック・パラリンピック大会では,真夏の暑さ対策が課題のひとつとなっている。ヒートアイランド現象などにより高温化する都市部では,熱中症が深刻となるばかり。日中の外出を避ける傾向や,高齢者や乳幼児が就寝中に熱中症になるなどの問題も生じている。こういった夏季の都市環境を改善するために,さまざまな技術が続々と実用化されている。
大規模な建築計画や地域開発に際して,居心地のいい屋外空間をつくるには,風の流れや日射の影響などへの配慮が重要だ。「KaUCES(カウセス・鹿島都市気候評価システム)」は,建物周辺の温熱環境のシミュレーション技術。神奈川工科大学のキャンパス計画では,この技術を使って,自然の力を有効活用し,人が居心地よく感じる校舎の配置や植栽などを実現している。
建物の個別計画や周囲の温熱環境検討には,より手軽な対策ツールとなる「BREEZA SYSTEM(屋外温熱環境改善計画システム)」も有効だ。舗装や壁面などの温熱環境のデータベース,壁面・屋上緑化工法や保水性舗装などの技術と,手軽な温熱環境シミュレーション技術を組み合わせ,建物の用途や利用者の動線などに応じながら,快適で熱負荷の低い空間を実現する。
また,周辺道路の路面の温度を下げれば,快適な歩行空間が生まれる。遮熱性塗装の「スーパークールコート」は,太陽光のエネルギーを効率的に反射,路面温度の上昇を抑制し,舗装体への蓄熱も減らす。既存の道路に塗ることで,ヒートアイランド現象を緩和する効果が期待できる。建物への使用時には,冷房負荷を軽減する。
よりよい都市気候は,スケールに応じた技術の最適な組合せによってもたらされる。ここに総合建設業としての当社の経験とノウハウが発揮されていく。