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震災時の安全をつなぐ BCP策定を支援する技術と連携 q-NAVIGATOR®,応急点検チェックリスト,従業員参集評価システム

グループ連携によるBCP支援

企業にとって,地震などの自然災害や予期せぬ事故などに遭遇したとき,事業の継続や再開の判断は大きな課題となる。鹿島グループ各社は,これまで培ってきた技術やノウハウを生かし,多様なシーンで求められる企業のBCP(事業継続計画)策定を支援してきた。

とくに東日本大震災以降は,そのニーズは多様化,高度化している。さらなるサービス向上のために,当社営業本部の呼びかけによって「BCP技術営業会議」を2013年に発足。技術開発や設計,支店,そしてグループ会社各社が参画し,グループ間の連携強化によって相乗効果を図りながら,柔軟かつ一貫したBCP支援サービスを展開している。

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建物の安全性を判断・評価する

大都市が大地震に見舞われれば,多くのビルが同時に被災する。建物の安全性を判断できる構造技術者の不足は免れない。企業が保有する施設の安全性の判断は,事業継続にあたって重要な位置づけとなる。集客施設では利用者への待機指示や誘導などが東京都の条例で定められ,安全性の迅速な確認が求められる。

鹿島グループでは,小堀鐸二研究所が開発した建物安全度判定支援システム「q-NAVIGATOR®」を推奨している。地震発生後に数分で建物の安全性を判定。数フロアごとに設置された地震計が建物の挙動を計測・推定し,構造的な影響を高精度で評価するシステムで,すでに200棟以上の豊富な実績を有している。

不動産に関わるリスクマネジメント専門会社イー・アール・エスは,目視による「応急点検チェックリスト」を提供し,施設管理者などによる被災建物の応急的な判断を支援。建物の構造特性や使用状況をあらかじめ精査したうえで点検箇所を明示したリストと運用マニュアルを作成し,訓練などの運用も支援する。小堀鐸二研究所の「q-NAVIGATOR®」と連動することで,被害調査の効率化も可能となる。

図版:イー・アール・エスによる建物安全性確認システムの「応急点検チェックリスト」

図版:小堀鐸二研究所による「q-NAVIGATOR®」

上:イー・アール・エスによる建物安全性確認システムの「応急点検チェックリスト」。専門家が事前に点検ポイントを絞り込むとともに,損傷度事例の写真を参照することで,専門家でなくとも迅速に損傷度の判定が可能

下:小堀鐸二研究所による「q-NAVIGATOR®」の被災度判定の画面例。避難の要否に関する建物管理者の判断を支援し,物件の付加価値向上へとつながる

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「出勤可能者」を抽出する

BCPにおいて忘れてはならないのが人材だ。とくに夜間や休日の発災時は,出勤可能な従業員数の予測がBCPの策定を大きく左右する。その有力な支援ツールとなるのが「従業員参集評価システム」だ。当社技術研究所が中心となって開発され,そこにはICT関連業務を専門とするカジマアイシーティの技術も生かされている。

オフィスや生産施設などの拠点と,従業員の自宅情報を緯度・経度としてデータ化。徒歩での参集ルートに対して,想定地震動にもとづいた被害発生領域を評価し,道路(橋梁)の種別ごとの河川を横断する箇所数などの情報をもとに,参集可能な従業員を抽出する。

実際に地震が発生した場合でも,震度分布を入力すれば,参集可能な従業員が選定できる。事前検討から発災直後の対応までカバーできる実用性の高いシステムとなっている。

BCPは企業の資産や人材に関する情報にもとづいて評価するため,顧客との信頼関係が肝要となる。鹿島グループはBCPに関わる専門家集団として,顧客に寄り添い,事業推進のパートナーとしての信頼を築くことが,真の安全性につながると考えている。

図版:「従業員参集評価システム」の表示例1

「従業員参集評価システム」の表示例。WebGIS(地理情報システム)を活用するため,特別なソフトを購入せずに,道路網や地震ハザードに関する最新情報が利用できる

図版:「従業員参集評価システム」の表示例2

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