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鹿島グループの総合力をつなぐ アライアンス創造のプラットホーム MEDi-K®コンソーシアム

上流段階からのソリューション創造

鹿島グループでは,医療福祉分野におけるビジネスチャンスの拡大のために,顧客から受け取ったニーズや志向などをグループ各社で伝達・共有する「MEDi-K®(メディケイ)コンソーシアム」をグループ13社で発足させた。その名称は,医療福祉環境の創造に向けて多様な知識と技術の提供を意味している(Medical Environmental Diversity and Knowledge)。

病院は,医療行為をコア業務としながら,薬品や診療材料類の管理,医療事務,施設の維持や改善などの多様な「ノンコア業務」がともなっている。それらの業務をアウトソーシングし,病院がコア業務へ注力できる体制をサポートするサービス・プロバイダーの役割を,コンソーシアムが果たすことも考えられる。

たとえば施設のO&M(運営・維持管理)業務を担い,日々の活動を病院とともにするなかで見出された新たなニーズや気づき,サービス向上のアイディアは,関連するグループ各社で共有していくことによって,より総合的な提案が生まれることとなる。医療環境の更新や周辺地域との連携,BCP策定,あるいは資金計画や資産管理に至るまで,病院の個性に寄り添ったソリューションを,施設計画の上流の段階から創造していくことを企図している。

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マルチ・エンジニアリング&デザインへ

MEDi-K®コンソーシアムと外部企業のアライアンスによる新しいソリューションの試みのひとつが,病院のリニューアル工事の短工期化である。オフィス家具などで知られる岡村製作所と,建築設備の施工を専門とするクリマテックが連携した。

地域医療を支えるクリニックにとって,工事にともなう数ヵ月の休診は,長年通う患者を思うと実施が難しい。井上医院(東京都中野区)のリニューアルでは,岡村製作所による医療施設用の内装パネル「マルチヴァンド」を全面的に展開しながら,クリマテックが現場管理を担当。在来工法と比べ約半分の工事期間で全面改装でき,結果として休診日はわずか3日間で済ませた。

新築工事と違って既存の実状に合わせる必要性から,設計図の寸法どおりに納まらない建築のリニューアル工事にあたって,設備インフラ工事全般,部材寸法の現場での微調整など,クリマテックの豊富なノウハウで対応した。こうしたプロジェクトの進行と連携は,当社建築設計本部がコンサルタントとして支援している。工期短縮とコスト調整など,医療施設設計のエビデンスを用いた実証的検証を行いながら,病院の短期改修を実現した。

医療福祉分野でスタートしたMEDi-K®コンソーシアムの考え方は,今後もグループ連携のひとつの方向性となる。そこで,キーワードを読み替えて「Multi-Engineering & Design in Kajima」とし,多様な領域を対象に活動を展開しようとしている。それは,中期経営計画の事業戦略のひとつ「グループ全体の強みを活かせる事業領域の強化・拡大」にもとづき,上流からのプロジェクト関与を高め,O&M業務などを拡充していく取組みでもある。多様なエンジニアリングとデザインを融合するMEDi-K®コンソーシアムは,ベストソリューションを創造するプラットホームの役割を果たすことをめざしている。

写真:before after

MEDi-K®コンソーシアムの試行プロジェクトとなった井上医院のリニューアル工事。岡村製作所とクリマテックの連携と当社建築設計本部の支援によって,短工期での改修を実現した。「マルチヴァンド」は壁面だけでなく,扉や机,壁面ラック,モニターなどが一体的に組み込まれている

※参加13社(順不同):アバンアソシエイツ,イー・アール・エス,イースト不動産,イリア,カジマアイシーティ,鹿島建物総合管理,鹿島リース,かたばみ興業,クリマテック,Kプロビジョン,大興物産,都市環境エンジニアリング,ランドスケープデザイン

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Solution 公共施設を将来につなぐ 自治体の「困った」に応えるグループ連携からアライアンスへ──自治体総合フェア

人口減少,財政悪化,公共施設の老朽化など,自治体が抱える課題は少なくない。なかには,どのように対応したらよいか分からない,といった深刻な声さえ聞こえてくる。当社では,自治体ごとに悩みが異なるなかで,どのような相談にも応えるために,多様な専門領域からなるグループ会社の連携強化に向けた取組みを行っている。

その一環として,当社建築管理本部とグループ17社が定期的な連絡会を開催して各社の協働・連携を促進。これは,当社の中期経営計画の基本方針のひとつ「中長期的なグループ経営基盤の確立」にもとづく取組みでもある。ここから派生した活動のひとつが,次ページで紹介するMEDi-K®コンソーシアムとなる。

昨年5月には,自治体が抱える課題に企業がサービスを提示する「自治体総合フェア」にグループ12社で共同出展。イー・アール・エス鹿島建物総合管理ランドスケープデザインの3社は,官民連携にもとづく公共施設のBCM(事業継続マネジメント)や包括管理,公園運営のセミナーをそれぞれ開催し,自治体関係者などで満席となった。グループ連携の意義を再確認するとともに,その後もさまざまな官民連携事業に共同して取り組んでいる。

写真:自治体総合フェア2017の鹿島グループのブース

自治体総合フェア2017の鹿島グループのブース

鹿島グループの連携から多様な企業とのコンソーシアムへ,ときに発注者側の自治体とも共同で取り組みながら,各地の「困った」に応えるアライアンスの形成を促進していく。

※参加17社(順不同):アバンアソシエイツ,アルテス,アルモ設計,イー・アール・エス,イースト不動産,イリア,カジマアイシーティ,鹿島環境エンジニアリング,鹿島建物総合管理,鹿島道路,鹿島リース,かたばみ興業,クリマテック,Kプロビジョン,大興物産,都市環境エンジニアリング,ランドスケープデザイン

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Solution-2 国内外のエンジニアリングをつなぐ 海外のデザイン・技術とのアライアンスへ──ジュロンレイクガーデン国際コンペ

アライアンスへの積極的な取組みは,海外でも成果を生んでいる。シンガポールの国立公園における国際デザインコンペでは最優秀賞を獲得した。水と自然をテーマとする約90haの「ジュロンレイクガーデン」の整備事業に対し,マスタープラン作成業務や基本設計,実施設計を行う。

ランドスケープデザインが,鹿島グループの支援を受けて現地設計事務所など3社とアライアンスを組んで公園デザインの設計を担当。アバンアソシエイツが得意とする官民連携プログラムの企画・運営といったエリアマネジメントのノウハウ,当社技術研究所と同研究所シンガポールオフィス(KaTRIS)がもつ水質浄化や熱環境シミュレーション技術,エンジニアリング事業本部の植物工場技術,環境本部による再生可能エネルギー利用技術といったように,多様な技術が融合する。

たとえば,公園のシンボル施設として滝を配した「ウォーター・ウォール・コート」は,静寂な屋外環境の創出と水環境の改善が統合されたシステムとなっている。多様なエンジニアリングとデザインによる総合的な提案が,世界31チームの応募案のなかで高く評価された。鹿島がつなぐアライアンスは,海外にも展開しながら,顧客に寄り添った最適なソリューションを生み出している。

図版:水質浄化技術で改善を図る「蓮池」

水質浄化技術で改善を図る「蓮池」

図版:「ジュロンレイクガーデン」の国際デザインコンペで提案した「ウォーター・ウォール・コート」

「ジュロンレイクガーデン」の国際デザインコンペで提案した「ウォーター・ウォール・コート」

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Solution-3 建物リースで企業の効率経営をつなぐ 施設の建設から運営までのワンストップサービス──メンテナンスサービス付き施設の長期賃貸

鹿島リースは,建物そのものをリースする金融サービス「建物リース」を積極的に提案している。顧客にとって,土地取得や建物建設に関する初期投資を軽減することが可能となり,建設資金を建物賃料として年度ごとに平準化して処理できる。さらに,会計基準のオフバランス要件を満たす仕組みも実現可能だ。現在,全国各地で,オフィスやホテル,店舗,工場,病院,研究所など,幅広い分野・建物用途で展開している。

この建物リースに,鹿島グループ各社が保有するノウハウを融合することによって,新たな価値を生み出そうとしている。鹿島建物総合管理のO&M(運営・維持管理)との組合わせが代表例だ。顧客は財務・会計上のメリットに加え,施設メンテナンスを一元的に委託することができ,コアビジネスに集中しながら事務作業の効率化や組織のスリム化を図ることができる。建物の設備や間仕切り変更などの使用状況,劣化診断などの情報を,鹿島リースが集約し,ワンストップサービスを顧客へ提供することをめざしている。

そして,イリアによるインテリアデザインや家具備品のコーディネイト,カジマアイシーティによる情報インフラの構築・運営などを組み合わせた事例も今後増やす方針である。建築技術を最もよく知る鹿島グループのO&Mによって,顧客は施設の“健康管理”が最適に行き届いた状態で建物を利用でき,鹿島グループの総合力に裏打ちされた建物リースを広く勧められるのである。

さらに鹿島リースは,顧客と関連のある企業とのアライアンスも含めて,鹿島グループのプロジェクトマネジメントのノウハウを生かしながらさまざまなビジネスモデルを提案している。顧客にとって最適な金融サービスとなる建物リースのアライアンスを積極的に提案していく。

図版:鹿島グループのプロジェクトマネジメントのノウハウを生かしながらさまざまなビジネスモデルを提案

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