サンゴ人工基盤「コーラルネット®」での成育状況を日本サンゴ礁学会で発表
2016年12月1日~4日に沖縄県那覇市で開催された日本サンゴ礁学会第19回大会において、鹿島・技術研究所の山木主任研究員が、サンゴ再生技術である人工基盤「コーラルネット」を活用した那覇港内での現地試験の状況を報告し、来場者から高い関心を集めました。
鹿島が那覇港内で行っているコーラルネットの現地試験は、コーラルネットを港内の2か所に20枚の基盤を設置してサンゴの着生状況等を調査しているもので、2011年から実施しています。那覇港内は陸から流れ込む砂などの細粒分が堆積しやすいため、サンゴの成育には厳しい環境ですが、コーラルネットの特徴である網目状構造は、細粒分の堆積を軽減するとともに、光や水の流れを通すため、サンゴの自然着生と成長を促します。設置から5年が経過した2016年10月の調査では、コーラルネットに着生したサンゴが最大で直径約30cmまで順調に成長していることが確認できました。
大会では、2016年夏に発生した海水温度上昇の影響を受けて、沖縄周辺海域ではサンゴ群集の一部が死滅したとの報告がありましたが、そんな中コーラルネットには数種のサンゴ(ミドリイシ科やハナヤサイサンゴ科)が着生し成長を続けているという報告は、大会参加者から高い関心を集めました。
鹿島では、引き続き那覇港内での現地試験を通じてサンゴ再生技術の研究を進めるとともに、サンゴ群集再生事業をはじめとした地域の環境保全活動など、生物多様性の保全、維持に向けた取組みを積極的に推進していく方針です。
那覇港内に設置したコーラルネットの様子(2016年10月)
数種のサンゴが着生、成長している
日本サンゴ礁学会パネル展示の様子