病院の待合室では、インフルエンザや新型コロナウイルス感染症等の患者から二次感染する心配があります。
鹿島は、顔認証技術とサーモカメラを用いて、待合室の感染の疑いがある人を判定し、
それ以外の人が感染症の原因となるウイルスを極力吸い込まないように
待合室の気流を制御するシステム「キリカエール(KIRICA AIR)」を開発しています。

待合室の感染リスクを低減する
次世代の気流制御システム
キリカエール®

顔認証技術とサーモカメラを用いて
感染の疑いあり/なしを判定

気流制御システム「キリカエール」では、顔認証技術により在室者の「マスク着用の有無」を判定し、さらにサーモカメラによって、「発熱の有無」を検知します。

これにより「マスクなし」かつ「発熱あり」の在室者が最も感染の疑いがある人として判定され、その他の在室者が感染から保護すべき人として判定されます。

この判定結果をもとに、感染疑いのある人とない人の居る場所の判定に応じてダンパ(VAV)を自動制御することで、給気と排気の量と位置を調整し、室内の空気の流れをコントロールします。

空気シミュレーションによる効果の確認

気流制御システム「キリカエール」の効果を確認するために、CFD(Computational Fluid Dynamics、数値流体力学)解析モデルを作成してシミュレーションを実施し、その結果を分析しました。

シミュレーション結果によると、(a)「キリカエール」がない場合は、感染の疑いのある人から排出されるCO2(呼気を想定)が、前列の感染の疑いがない人がいる方向に拡散されています。一方、(b)「キリカエール」がある場合は、感染の疑いのある人から排出されるCO2は主に上方に拡散し、感染疑いのない人がいる前列のCO2濃度は低くなります。これにより感染疑いのない人が感染者から排出されたウイルスを吸い込む量が少なくなることを示しています。

図版:シミュレーション結果(暖房時)

シミュレーション結果(暖房時)

SARS(重症急性呼吸器症候群)や
新型コロナ対策で貢献

鹿島は、2002年SARS(重症急性呼吸器症候群)の流行を契機に、感染者からの飛沫に着目した研究開発を始めました。そして、実験場内に病室を再現し、二酸化炭素(CO2)などのトレーサーガスを散布して、換気や局所排気の効率化を測定するなど室内環境評価のノウハウを蓄積してきました。さらに、新型コロナウイルス感染症拡大時には、スーパーコンピュータ富岳の飛沫拡散プロジェクトに参加し、様々な建築空間における飛沫拡散シミュレーションに協力、新型コロナ対策に大きく貢献しています。

今後の展望

今後も、新型コロナウイルスやインフルエンザウイルスへの感染対策は不可欠であり、また、さらなる未知のウイルスの出現も否定できません。鹿島は、建物の空調制御の研究を進め、感染症対策に積極的に貢献していきます。

KIRICA AIRの紹介動画

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