今年,新たな「鹿島グループ中期経営計画(2018〜2020)」が策定され,次の3年へ向けてスタートを切った。5月に発表された決算発表では当社グループの経常利益が連結1,797億円,単体1,462億円と,3年前,押味社長の就任と時を同じく始動した中期経営計画(2015〜2017)の数値目標を大きく上回り,2016・17年度は過去最高益を更新する結果となった。
将来的に国内建設市場の縮小が予想されるなか,新たな計画では「次世代建設生産システムの構築」「社会・顧客にとって価値ある建設・サービスの提供」「成長に向けたグループ経営基盤の確立」を基本方針とし,持続的な成長を目指す。押味社長は“次の時代へ種をまく”と表現した。
基本方針の一つ,「次世代建設生産システムの構築」は,生産性向上と働き方改革を両輪とする。本誌11月号特集では土木部門の自動化を取り上げ,「現場の工場化」に向けた最新の動向を紹介した。すでにダム現場での実績を増やし活躍する「A4CSEL®(クワッドアクセル)」のほか,10月末には,トンネル現場の様々な自動化技術を検証する実験場となる模擬トンネルが静岡県富士市に完成。労働安全性と生産性向上に向け,自動化技術開発に取り組んでいる。
また建築部門では11月,「鹿島スマート生産ビジョン」を策定,公表した。「作業の半分はロボットと」「管理の半分は遠隔で」「全てのプロセスをデジタルに」をコアコンセプトに,「(仮称)鹿島伏見ビル新築工事」(名古屋市中区)をパイロット現場に選定。施工ロボットや現場管理ツールなど,集中的な適用・実証を進めている。