鎌倉学園中学校・高等学校
風土に根付いた風景を展開する
正門からのメインファサード
Photo:エスエス
鎌倉学園は,鎌倉五山第一位の建長寺が 1885年に宗派子弟教育のために設立した「宗学林」を起源とし,同寺の境内に隣接している。現行法令のもと敷地に眠る遺構の保全と建物規模の保持のため,リニューアルにあたっては既存躯体を活かすことが最善の策であった。
古都鎌倉の自然と建長寺の境内を望む学び舎には,学園の歴史や地域とともに歩んだ思い出が深く刻まれていた。先進的な教育環境の整備を行うなかで,ときにシンボルとして,ときに背景として,鎌倉らしさを纏いながら心象風景としてあり続ける建物を目指した。
外観は,既存校舎のフレームワークを活かすことで,かつての面影を残した。素材には,周辺景観との調和に配慮しながら教育理念である質実剛健を表現するため,燻し瓦を想起させる重厚な還元焼成タイルを採用した。メインのファサードには学園の歴史の積層と鎌倉随所の切通しに見られる地層のイメージを重ねて平タイルのボーダーをアクセントとして用い,天候や時間帯によって刻々と変化する表情を演出した。
竣工後,在校生だけでなくOBの方々からも好評をいただいていると伺っている。一新されたこの校舎が次世代への懸け橋となり,学園のさらなる発展に寄与することを心より願っている。
(山下悟志・枝川和功)
建長寺に面するファサード
豊かな周辺環境を身近に感じられる一般教室
最上階に位置し,鎌倉の山並みを望む「星月ホール」

鎌倉学園中学校・高等学校
(神奈川県鎌倉市)
2021年に迎える100周年記念事業として校舎を一新する計画。
「第61回神奈川建築コンクール一般建築部門優秀賞」,「第51回SDA賞」受賞。
- 発注者: 鎌倉学園
- 設計: 当社横浜支店建築設計部
- ナレッジ支援:当社建築設計本部
- 規模: RC造 B1,5F 延べ13,008m2
- 工期: 2014年9月~2017年3月
(横浜支店施工)
山下悟志
(やました・さとし)
横浜支店建築設計部
次長
- 主な作品:
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- アズビル湘南工場
- 山九首都圏物流センター
- MFLP 横浜大黒
- ららぽーと横浜
- パークホームズ上大岡 ディアエアー
枝川和功
(えだかわ・かずのり)
横浜支店建築設計部
設計主査
- 主な作品:
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- ANA Blue Base
- 横濱山手中華学校
- 小野測器 本社ビル
丸野道明
(まるの・みちあき)
建築設計本部
チーフアーキテクト
教育文化ナレッジマネージャー
- 主な作品:
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- 順天堂大学 新研究棟
- 北里大学 獣医学部棟
- 明治学院大学 高輪校舎
- 明星大学 理工学部棟 サークル棟
- 三田国際学園 中学校・高等学校改修
福吉ひとみ
(ふくよし・ひとみ)
建築設計本部
チーフアーキテクト
- 主な作品:
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- ポルタ神楽坂
- 巣鴨学園 中学校・高等学校