竹下通りと一体となる立体的な回遊動線
(Photo: URBAN ARTS 解良信介)
原宿の竹下通りは,世界有数の若者文化の発信地。平日・休日問わずにぎわう様は,まるでテーマパークのようだ。それは,原宿駅を出てゲートをくぐると始まる350mの若者の世界。このテーマパークの中心に「かわいいカルチャー」の発信拠点として,竹下通りの特性と,女子の持つ感覚「ごちゃかわいい」をミックスした,若者向け商業施設を計画した。
“わかりやすさ”──ファサードは施設名の通り,かわいい(CUTE)を宝箱(CUBE)に詰め込んだかのような,テナントの集積を表現。雑多な建物が並び多くの人が行き交う中でも,瞬時に認識しやすいフォルム・カラーリングとした。遠景においては,窓フレームが全体の調和を図るとともに,近づくと大開口ガラス面から各テナントが個性を表出することで,通りを行き交う若者達を刺激し,活気ある施設であり続ける。
“集いやすさ”──竹下通りから連続する半屋外の通路を施設に貫入。店舗と通路間は建具のないフルオープン,若者達が集いやすい構成としている。吹抜けの外部階段やエスカレータは,竹下通りと一体となる立体的な回遊動線を形成し,通りの延長としてにぎわいを引き込んでいる。
“変わりやすさ” ──将来のテナント割・業態変更への高い自由度。開業時10店舗の構成に対し,最大で20店舗入居可能な設えとしている。窓フレームには,将来対応の装飾固定用ブラケットを仕込み,変化の多い商業空間において,変化を許容し陳腐化しないフレキシビリティの高い施設としている。
一見すると華美に見えるが,竹下通りを抜けて目の当たりにすると,不思議と落ち着いた印象も感じる。竹下通りらしさを追求し,周囲と呼応しながらも,この場にしかつくれない固有な計画が実現できた。(坂本弘之・小松原辰弥・岩﨑庸浩)
竹下通りと呼応するポップな外観
坂本 弘之
(さかもと・ひろゆき)
建築設計本部
専任マネージャー
主な作品:
- 三越銀座店
- Apple Store Ginza
- ベネトン心斎橋店
小松原 辰弥
(こまつばら・たつや)
建築設計本部
チーフ
主な作品:
- ラ・フェンテ代官山
- 小樽ベイシティ
(現 ウイングベイ小樽) - 広島段原ビル
(現 広島イーストビル)
岩﨑 庸浩
(いわざき・のりひろ)
建築設計本部
チーフ
主な作品:
- 三越銀座店
- 佐々木ビル