石垣の修復を終えた本丸南面の状況(2014年12月)
福島県白河市にある国の史跡,小峰城は,東北三名城のひとつに数えられている。三重櫓を中心とした,総石垣造りのこの城は,市民の思い入れも強い白河のシンボルだ。
総長2kmのこの石垣が,震度6強の揺れと相次ぐ余震で,10ヵ所,延べ160mにかけて崩壊した。崩れ落ちた石は約7,000個に及ぶ。約2,000個の石が崩落し最大の被害となった本丸南面は,三重櫓への順路にもあたるため,いち早い修復が求められた。
小峰城の石垣は,これまでにも幾度となく崩落と修復が繰り返されてきた。そのために異なった時代の石積模様が見られ,それを目当てに訪れる歴史愛好家や石垣ファンも多くいるという。今回の工事では,昔ながらの伝統的な工法で震災前と同じ模様で石垣を復旧。崩れた石の一つひとつに番号を付け,以前の写真と見比べながら,元通りに積み上げていく。
そして,着工から1年3ヵ月が経った昨年12月,本丸南面の石垣の修復が完了。12月7日には一日限りの一般公開が行われた。被災前の写真も展示され,以前と変わらず蘇った姿を前に,来場者から感動の声が聞かれた。
今年4月には,三重櫓を含む城内の一部が再び開放される。全ての石垣修復工事の終了は2017年度の予定である。
次なる工区,清水門東側の石積状況(2015年1月)
【工事概要】
小峰城跡石垣復旧工事
- 場所:
- 福島県白河市
- 発注者:
- 白河市
- 受注者:
- 鹿島・鈴木特定建設工事
共同企業体 - 規模:
- 本丸南面
石垣復旧525m2
他4ヵ所 - 工期:
- 2013年9月~施工中
NHK連続テレビ小説「あまちゃん」の舞台のモデルとなった岩手県久慈市。沿岸部にある地下の岩盤を利用した「久慈国家石油備蓄基地」は,津波によりほぼ全ての地上設備が倒壊したが,幸いにも人的被害や原油流出はなく,2013年3月に復旧を果たした。施設の施工に携わった当社は,被災直後から復旧を支援した。
基地の工事用トンネルを利用してつくられた付属施設「久慈地下水族科学館もぐらんぴあ」も,地上部分が津波で大破。地下トンネル内も大きな被害を受けたが,震災から約1ヵ月後の4月,被災後初めて水族館へ職員の立ち入りが許可された日,荒れ果てた館内から,8種21匹の生物が救出され た。
現在は,再オープンに向けて復旧工事が進む。トンネル内の水族館部分の設計・施工は当社が担当。大型水槽を新たに設置し,三陸の海を再現する。以前と同じ場所で,元気に泳ぐ生き物たちの姿を,多くの市民が心待ちにしている。
震災を乗り越えて救出されたアオウミガメのカメ吉は,隣県の水族館で避難生活中。周囲には,久慈の小学生からの手紙などが置かれている(「岩手日報」2013年4月29日付朝刊より)