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新石巻魚市場──世界基準の魚市場をつくる

写真:引渡しが完了した東棟前

引渡しが完了した東棟前。昨年10月19日,「いしのまき大漁まつり」が行われ,多くの市民や観光客が新しい石巻魚市場を訪れた(「石巻かほく」2014年10月22日付4面より)

2014年8月4日,宮城県の石巻漁港では新しい魚市場が操業をはじめた。競りそのものは震災4ヵ月後には仮設市場で再開していたが,この新市場のオープンは多くの漁業関係者を活気づけ,地域の復興をまた一歩前進させた。

事業着手からわずか1年で実施設計,施工を終えての供用開始。この早さは「石巻型アットリスクCM方式」の成果といえる。実施設計と施工を一体で請け負うこの方式は,国内の公共建築ではこれまでに例のない新しい取組みだ。当社はCMR(コンストラクション・マネージャー)として本事業に携わっている。専門工事業者の選定承認,オープンブックによるコスト開示,周辺関連工事との調整などの業務に対しても,当社がイニシアティブを取って進める。

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写真:先行して建設された東棟の引渡し前(2014年7月)

先行して建設された東棟の引渡し前(2014年7月)

新市場は水産庁の定める衛生管理基準のレベル3に対応した荷捌き施設3棟と管理棟からなり,3棟を合わせた上屋根の長さは約880m,従来の1.4倍の規模になる。将来的には国際的衛生管理方式HACCPへの対応も視野に入れている。

施工時の課題のひとつは,工事中も水揚げに使用できる岸壁を250m以上確保することであった。その岸壁の復旧工事も他事業で同時に進行しており,双方の工程調整は一筋縄ではいかなかった。また,着工当時は多くの復興事業が本格化してきた時期と重なり,資機材と人材の確保も容易ではなかった。これらの課題の克服に,総合建設業ならではのマネジメントのノウハウが活かされた。

管理棟2階からは,大きなガラス窓越しに荷捌き施設が見学できるようになる。新市場を,市民や観光客,水産業関係者に見てもらう仕掛けだ。

同じく水産業を基幹産業とする女川町では,独立採算型のPFIを採用した「女川町水産加工団地排水処理施設」が今月竣工する。

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写真:写真手前に見えるのは鉄骨建て方が進む西棟

写真手前に見えるのは鉄骨建て方が進む西棟。目標工期をクリアするため,東棟,中央棟,西棟の主要3棟を5つの工区に分けて施工を進める。東棟と中央棟の一部は昨年7月に引渡しが完了。今年8月の全体完成を目指す(2014年11月)

【工事概要】

石巻市水産物地方卸売市場石巻売場建設事業

場所:
宮城県石巻市
発注者:
石巻市
業務内容:
設計・施工の調整と事業全体のマネジメント,基本設計の確認と実施設計,
建築・電気設備・機械設備・付帯施設・外構工事,被災荷捌き所・仮荷捌き所撤去,
平面駐車場・立体駐車場・連絡通路・荷捌き所付帯施設等の撤去
基本計画・基本設計:
漁港漁場漁村総合研究所
実施設計・監理:
横河建築設計事務所
規模:
S造 1F 一部4F 延べ51,477m2
事業期間:
2013年8月~施工中

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