首都直下地震と一口に言っても,活断層で発生する地震,プレート境界で発生する地震など様々だ。ここでは,国の中央防災会議が公表している「首都直下地震の被害想定と対策について(最終報告)」をもとに,どんな地震が想定されているのかを知ろう。
最も切迫性が高く,30年以内の発生確率は70%。いつ起きても不思議はない地震だ。断層近くで局所的に大きな被害が発生することが予想され,一部の活断層で発生する地震を除いて,発生場所を特定することは困難といわれている。中央防災会議では,中核都市の直下やフィリピン海プレート内で地震が発生したケースなどを考慮して19の地震を想定。そのうちの一つ「都心南部直下地震」では,最大死者数約2万3,000人,揺れや液状化,火災などによる建物の全壊・焼失数は最大で約61万棟となっている。
1923年の大正関東地震や1703年の元禄地震と同じタイプの地震で,プレート境界で発生する地震である。発生間隔は200年~400年と考えられ,当面,発生する可能性は低いと考えられている。大正関東地震クラスの地震が発生した場合,最大死者数約7万人,建物の全壊・焼失数は最大で約133万棟となっている。また,大正関東地震では,直後にマグニチュード7クラスの余震が2度あり,巨大な揺れが3度発生している。この余震を考慮すると,さらに被害が拡大する可能性がある。
発生の可能性は不明であるが,科学的にその可能性を否定できない巨大地震。相模トラフ沿いのプレート境界で発生する地震のうち最大級と考えられる地震で,広域かつ甚大な被害が発生する恐れがある。被害想定は示されていない。