ホーム > KAJIMAダイジェスト > March 2016:シリーズ 東日本大震災から5年「東北の春2016 第1回:福島」 > 除染

KAJIMAダイジェスト

シリーズ 東日本大震災から5年 東北の春2016 復興への道を築く人たち 除染

住民の不安を取り除くことこそが除染の仕事の本当の役目

福島県浜通り地方の中心部に位置する富岡町は,山海の自然に恵まれた県有数の“桜の町”であった。5年前に起きた東京電力福島第一原子力発電所の事故で,約1万6,000人の住民が避難する事態となった。人の立入りは制限され,町役場の機能は郡山市に拠点を移した。原子力発電所20km圏内にある富岡町は避難指示区域に指定され,国の直轄で除染作業が行われている。

当社は,除染方法の実証試験に始まり,拠点施設の緊急除染を担当し,現在は宅地・農地・森林・道路等約3,000haにおよぶエリアの本格除染を行っている。

写真:除染された農地

除染された農地

改ページ

写真:農地の除染作業の様子 (2015年3月)

農地の除染作業の様子 (2015年3月)

写真:仮置き場に積まれたフレキシブルコンテナバッグ

仮置き場に積まれたフレキシブルコンテナバッグ

「富岡町本格除染(その1)JV工事」の岡史浩次長は1997年の入社以来,東北各地で様々な工種の土木工事に従事してきた。震災の時は,福島県南相馬市の常磐自動車道石神JV工事の現場にいた。「震災直後は,宮城・福島の災害応急復旧現場を転々としました。常磐自動車道の工事を終え,2012年8月に〈田村市除染等工事〉に着任。環境省初の本格除染の仕事だったので,本田豊所長のもとで環境省や市との調整に追われました」。田村市での除染を経験し,富岡町の本格除染に従事した。2013年8月にスタートした現場は,最盛期には作業員約2,200人が除染作業にあたった。JV職員約170人が地権者対応,除染内容の検討,現場や作業員の管理,書類の取りまとめ等に奔走した。

写真:岡史浩次長(左)と児玉亘工事課長代理

岡史浩次長(左)と児玉亘工事課長代理

児玉亘工事課長代理は2014年9月に,この現場に着任した。入社11年目。これまでは,東京土木支店で首都圏の環状道路や鉄道等の大型工事の施工管理に携わってきた。「町の事情も放射線に関する知識もない状態で現場に来ました。人の気配のない静まりかえった空気,壊れた建物,フレコンバッグ(フレキシブルコンテナバッグ)の黒い山。正直,不安でした」。

現在,児玉工事課長代理は除染廃棄物を詰めたフレコンバッグの運搬管理が主な仕事だ。最盛期には1日約2,500袋のフレコンバッグを各所にある仮置き場に搬入する計画を管理した。経験を重ね,除染業務は建設業にしかできない仕事であると感じた。「工期は3月まで。森林・宅地・道路の除染はほぼ完了しています。狭隘道路に面した農地等の施工条件の悪い場所が残っているので,安全管理に気が抜けません」。

一面に広がる農地を眺めて,岡次長が話してくれた。「〈放射線量を下げることだけが除染の仕事ではない。住民の不安を取り除くことこそが,この仕事の本当の役目だよ〉。田村市の除染現場時代に本田所長が言った言葉です。これが私の除染の仕事に対するやりがいでしょうか。この辺一帯の農地も我々JVで除染を行いました。この地区は,稲作の試験栽培が行われたところです」。

※写真:大村拓也

改ページ

平成25年度富岡町除染等工事(その1)

場所:
福島県双葉郡富岡町
発注者:
環境省
受注者:
鹿島・三井住友・日立製作所・鉄建・飛島特定建設工事共同企業体
業務:
富岡町南側地区(3,000ha)の宅地・農地・森林・道路を対象とした
除染等措置の実施(除染面積1,100ha)
工期:
2013年8月~2016年3月

ホーム > KAJIMAダイジェスト > March 2016:シリーズ 東日本大震災から5年「東北の春2016 第1回:福島」 > 除染

ページのトップへ戻る

ページの先頭へ