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シリーズ 東日本大震災から5年 東北の春2016 東北日記・・・福島

福島各地で復興支援業務に携わる社員が,
この5年の想いを綴った。

小峰城跡三重櫓と桜

写真:東京土木支店 東電福島遮水壁工事事務所 所長 田中秀昭

東京土木支店
東電福島遮水壁工事事務所

所長 田中秀昭

2011年3月11日,福島第一原子力発電所構内での作業中に震災が発生しました。作業員を津波から守るため,すぐに高台へ避難させ,その後,想像を絶する津波の光景を目の当たりにしました。その日の夜,余震による津波の来襲に怯えながら,夜通し構内道路の復旧,電源ケーブルの復旧に奔走しました。翌朝,東京電力による退避指示に従い一旦退避しましたが,その後,再度福島第一原子力発電所に戻り,初めて放射線防護装備に身を包み,冷却水の給水作業を行っている最中,3号機の爆発を目の当たりにしたのです。あれから5年経ちますが,あの時の光景は脳裏に焼き付いて離れません。震災後は,汚染水対策の要である海側遮水壁及び凍土壁の構築に従事し,昨年10月には4年越しで取り組んできた海側遮水壁を,無事閉合させることができました。社会的に注目された海側遮水壁の閉合にお客様とともに全社一体で挑み,完了の際には,全面マスクのために拭うことができない涙を堪えながら,工事関係者全員で喜びをかみしめたものです。廃炉作業への挑戦はまだまだ続きます。

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写真:閉合した海側遮水壁

閉合した海側遮水壁

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写真:東京建築支店 東電福島第一2号機燃料取出用架構JV工事事務所 所長 井上隆司

東京建築支店
東電福島第一2号機燃料取出用
架構JV工事事務所

所長 井上隆司

震災の年が大昔の事のように感じます。2011年は,「3号機をどうするか」の年でした。使用済燃料プールから燃料を取り出す方法を,施主・メーカーと論議し,今のかたちに至りました。2012年は,線量低減策検討の年。超高線量のオペレーションフロアに対し除染と遮蔽で作業環境を整える計画検討で,今も3号機上で実施中です。2013年は,オペレーションフロア上がれき撤去の年。崩落がれきの映像をつぶさに調べ,挙動を解析して計画に反映。一つひとつ慎重に取り上げました。2014年2号機の所長を拝命。炉心溶融が想定され高線量ながら外見上損傷のない2号機が,いよいよ計画対象となったのです。2015年は2号機着工の年。「環境配慮」が優先され,直前での条件変更が頻発しますが,粘り強く施工を進めています。こうして,あっという間に5年の歳月が流れました。「国難」と称されたこの事故は今も国難であり続け,私たちに難題を突き付けています。鹿島の技術力をこの難題克服に役立てるべく努力する毎日です。

写真:福島第一原子力発電所2号機と3号機(右奥)

福島第一原子力発電所2号機と3号機(右奥)

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写真:東北支店 月舘高架橋上部工工事事務所 工事課長 盛田行彦

東北支店
月舘高架橋上部工工事事務所

工事課長 盛田行彦

東日本大震災からの早期復興を目指して,三陸沿岸道路と内陸部の主要な都市を結ぶ「復興支援道路」の建設が推進されています。このうち「相馬福島道路」は,常磐自動車道と東北自動車道を結ぶ約45kmの高規格道路です。沿岸の相馬市と内陸の福島市を結び,人や物の移動を活発化させるため,早期開通(2017年度予定)を目指して工事が進められています。月舘高架橋は,その相馬福島道路のほぼ中央部に建設中の橋梁であり,橋長は462mと管内では最大級を誇り,復興支援道路のリーディングプロジェクトに位置づけられています。2014年10月に中部支店から当現場に着任して約1年半経ちました。橋梁もかなり形になってきました。現場では近隣の方々への現場見学会を行っていますが,橋梁工事について興味を持っていただくとともに,早く走行してみたいという声は, 自分たちにとっても大いに励みになっています。2016年10月の竣工に向けて,引き続き無事故無災害で施工を進めていきたいと思います。

写真:現場風景

現場風景

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写真:東北支店 小峰城跡石垣復旧JV工事事務所 所長 小杉禎一

東北支店
小峰城跡石垣復旧JV工事事務所

所長 小杉禎一

東日本大震災により史跡小峰城跡の石垣は10ヵ所にわたって崩落しました。2013年9月に石垣の修復工事に着手し,2年半が過ぎました。大規模崩落した石垣の修復という前例のない工事を手探りで進め,ようやく本丸南面の完成,一般開放を迎え,開放を待ちわびた市民や遠方からの観光客から, 歓喜の声を直に聞くことができました。エンドユーザーである市民の皆様に喜んでもらえることは,モノづくりに携わる者として,これ以上の喜びはありません。城郭の石垣は,他の土木構造物と違い生活に不可欠なものではないのかもしれません。しかし,地元の方からすれば,それが無ければどこか心に穴があいている,そんな存在なのだと思います。400年の思いが詰まっているこの石垣を後世に引き継ぐために,少しだけ時間をいただいて工事をさせてもらっています。地元を含む全国各地から, 石工の力を借りて,今後も1石1石,心を込めて積み上げていきます。

写真:現場風景

現場風景

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写真:東北支店 営業部 建築営業グループ(福島駐在) 課長 畠山靖男

東北支店 営業部
建築営業グループ(福島駐在)

課長 畠山靖男

震災以降,福島県内では様々な課題に直面することとなりましたが,県民の健康を見守る「ふくしま国際医療科学センター整備」,産業復興・雇用創出支援事業としての製造業工場増設,避難されている双葉郡内の福祉施設移転などの仕事を通して,故郷の復興への熱い思いを語られるお客様や地域の皆様の声を多くお聞きしました。また,「子供たちが安心して遊べる」屋内運動場を備えた保育園の竣工式では,我々工事関係者のために元気なダンスを披露してくれる園児たち,その園児たちの姿を温かく見守るお客様・保護者の方々を拝見することで,改めて復興に対する建設業の役割の大きさを実感することができました。

震災後5年が経過しようとしています。今後,「集中復興期間」から「復興・創生期間」という新たなステージに移りますが,豊かな文化と自然に恵まれた福島・東北の更なる復興に取り組み,これからも建設業が地域の皆様のお役に立てるよう努めたいと思っています。

写真:2013年12月に完成した福島厚生会「すばる保育園」

2013年12月に完成した福島厚生会「すばる保育園」

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