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尼子山トンネル 火災被害から3か月で復旧

鹿島らが施工を担当した山陽自動車道尼子山(あまこやま)トンネル下り線(兵庫県相生市~赤穂市)の復旧工事が無事完了し、2023年12月15日11時、山陽自動車道下り線播磨JCT~赤穂IC間の通行止めが解除、約3か月ぶりに通行が再開されました。2023年9月に発生した火災により甚大な損傷を受けたトンネルの復旧工事で、鹿島は西日本高速道路からの要請で急遽復旧工事を担当。24時間体制で工事を行い、当初予定より2週間早く工事を完了させ、年末年始の混雑期を前に西日本の大動脈を開通させることに貢献しました。

2023年9月5日未明、尼子山トンネル(下り線)を走行中の大型トラックから出火。乗用車など23台が燃え、鎮火に40時間以上を要する火災となりました。高温に長時間さらされたトンネル内は照明などの設備はもとより覆工コンクリートにも甚大な損傷が生じ、山陽自動車道下り線播磨JCT~赤穂IC間は、通行止めを余儀なくされ、復旧には相当な時間がかかることが見込まれました。復旧工事にあたっては、学識者による技術検討会が組織され、早期復旧に向けて安全性の確認や復旧方法の検討が行われました。鹿島は、発災直後から火災、コンクリート及びトンネル設計の専門家を現地に派遣し、覆工コンクリートの物理的・化学的な調査と復旧計画の立案に必要となる設計的な検討に協力するとともに、技術検討会で決定した復旧計画に基づき工事を行いました。

図版:火災後のトンネル坑内の様子

火災後のトンネル坑内の様子

鹿島が担当した復旧工事は、尼子山トンネル(下り線)延長592mのうち、東坑口から約400mの区間で行われました。そのうち火災による損傷が激しかった約200mの区間は覆工コンクリートを厚さ20cmほど削り、防水シートを貼ったうえで新しいコンクリートを打設する内巻補強工が採用されました。損傷した覆工コンクリートを確実かつ迅速に切削するために、大小2種類のツインヘッダを使用して昼夜で作業を行いました。また、20cmという非常に狭い空間を確実に充填するために、打込みに際して締固めを必要としない高流動コンクリートの配合を作成し、2つの生コン工場からコンクリートを供給して工事を行いました。比較的損傷が少なかった残りの約200mの区間はウォータージェットを使用してコンクリートを部分的に除去し、塗布系材料・繊維シートを用いて補修するはく落対策工により施工しました。

図版:ツインヘッダによるコンクリート除去作業

ツインヘッダによるコンクリート除去作業

図版:新しい覆工コンクリートを打設

新しい覆工コンクリートを打設

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火害により大きく損傷したトンネルを復旧するという過去に例を見ない工事でしたが、交通の大動脈である山陽道の1日も早い復旧を目指して、約3か月間の工事期間中、延べ5,350人(鹿島1,050人、協力会社4,300人)が昼夜を問わず復旧工事に従事した結果、多くの利用者で混雑が予想される年末年始前に無事に開通することができました。

図版:復旧工事が完了した尼子山トンネル

復旧工事が完了した尼子山トンネル

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