光ファイバ神経網で安心なインフラを。
さらに、これまでにないインフラへ。
鹿島では、インフラ内部の見えない箇所のひずみ・温度・振動を,高精度に把握できる革新的な光ファイバセンシング技術を開発しています。
現在、インフラを広範囲にわたりリアルタイムにセンシングできる光ファイバは、安全で品質の高い施工管理だけでなく、効率的な維持管理や迅速なBCPなどにも活かされはじめています。
将来、光ファイバという神経網をもったインフラは、その使用状況などを示すデータをインフラ利用者に発信することができるなど、新たなインフラ像を提供できる可能性を秘めています。
なお、本技術は“インフラセンシングを革新する分布型光ファイバセンサ計測技術”として、令和3年土木学会技術開発賞を受賞するなど学協会でも注目されています。
ケーソン(構造物基礎)
沈設時のケーソンの挙動を見える化し、
高品質で周辺環境に優しい施工を実現します。
ケーソン沈設時に、地盤とのあいだの摩擦によって生じるケーソン躯体のひずみを、光ファイバで高精度かつリアルタイムにモニタリングします。ケーソン躯体全体の微小なひずみ分布をリアルタイムでモニタリングできるため、施工管理へのフィードバックを通じて、躯体の品質確保、周辺環境に優しい安定した沈設を実現します。
適用実績
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- 阪神なんば線淀川橋梁改築工事 ほか2件
論文発表リスト
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- 平他,ニューマチックケーソン沈設時における光ファイバを用いたRC躯体のひずみ分布計測,
第75回土木学会年次学術講演会講演概要集,2020.
- 平他,ニューマチックケーソン沈設時における光ファイバを用いたRC躯体のひずみ分布計測,
プレスリリース
トンネル
交通路やライフラインを通すために、岩盤を掘り抜く山岳トンネルの中でも
光ファイバセンサが活用されています。
山岳トンネルの施工では、局所的に過大な荷重が作用し、トンネルの安定性が損なわれることがあります。光ファイバをトンネルの支保に設置することで、複雑な岩盤の挙動を詳細に把握することが可能となります。また、光ファイバは安価なので、あらかじめ光ファイバを貼り付けた鋼製支保工を現場に常備すれば、地質の急変時に迅速に計測を開始することが可能となります。
適用実績
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- 中央新幹線中央アルプストンネル(山口)工事 ほか
論文発表リスト
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- 宮石他,光ファイバによるトンネル支保の連続的な応力計測および解析的検討,
トンネル工学報告集,第30巻,Ⅰ-5,2020.11. - 石井他,光ファイバを用いた山岳トンネルにおける先行変位計測技術の開発,
第77回土木学会年次学術講演会講演概要集,2022. - 黒川他,光ファイバによるトンネル断面内の連続的な支保応力計測とデータ可視化システムの開発,
第76回土木学会年次学術講演会講演概要集,2021. など
- 宮石他,光ファイバによるトンネル支保の連続的な応力計測および解析的検討,
プレスリリース
ダム
巨大なダムの挙動も網羅的に把握可能で、
その品質確保の手段として光ファイバは活用できます。
ダムの施工においては、基礎岩盤の確実なグラウチング施工が、遮水構造の構築にきわめて重要です。光ファイバセンサを用いると、グラウチング時の岩盤の割れ目の挙動や注入材の浸透をとらえることができるため、高い品質の基礎岩盤を効率的に構築することが可能となります。また、光ファイバは長期耐久性に優れており、ダム完成後の試験湛水時や維持管理時のモニタリングに活用することができます。
適用実績
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- 成瀬ダム ほか
論文発表リスト
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- 小林他,光ファイバを用いたダム基礎グラウチングの評価,第77回土木学会年次学術講演会講演概要集,2022.
- 小泉他,光ファイバによるダム基礎処理工における施工管理法の高度化,
第75回土木学会年次学術講演会講演概要集,2020. など
橋梁
光ファイバ組込み型PCストランドによる張力管理などを通じて、
より確かな施工管理による品質確保を実現しています。
光ファイバが組み込まれたPC(Prestressed Concrete)ストランドを開発し、ストランド全長にわたる張力分布を見える化できるようになりました。橋梁の全長にわたって設計で決められたプレストレスが導入されているかを光ファイバで施工時に確認することで、より確かな施工管理が実現でき、品質確保に繋げることができます。
適用実績
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- 月舘高架橋 吉野川サンライズ大橋 ほか
論文発表リスト
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- 大窪他,緊張管理・維持管理に適用可能な光ファイバを用いた PC 張力分布計測技術の開発,
土木学会論文集 E2 (材料・コンクリート構造), 76(1), 41.54,2020. - 曽我部他,光ファイバを用いたPC張力計測技術. コンクリート工学, 56(1), 94-99,2018.
- 大窪他,緊張管理・維持管理に適用可能な光ファイバを用いた PC 張力分布計測技術の開発,
プレスリリース
地中の変位計測
地中の変位などの変化を光ファイバで高精度、
リアルタイムに検知することができます。
地表面やインフラへの影響が出始める前に少しでも早く異常を検知できれば、安全、安心な工事を遂行できます。地中で変位などの変化をリアルタイム、高精度に検知するために、地中の変位を3次元的に計測可能な光ファイバセンサケーブル「Geo-NewROn®」を開発しました。
論文発表リスト
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- 中島他,光ファイバによる3次元地中変位計測技術(Geo-NewROn)の開発,
第77回土木学会年次学術講演会講演概要集,2022. - 中島他,光ファイバを用いた3D地中変位計測技術の開発,第76回土木学会年次学術講演会講演概要集,2021.
- 永谷他,シールド工事における地中変位リアルタイム可視化技術の適用事例―光ファイバを用いた地中変位計測実績―,
第76回土木学会年次学術講演会講演概要集,2021.
- 中島他,光ファイバによる3次元地中変位計測技術(Geo-NewROn)の開発,
コンクリート躯体
コンクリートのひずみをモニタリングすることで、
コンクリート構造物のひび割れの予兆を検知します。
コンクリート構造物に設置した光ファイバセンサにより、高精度かつリアルタイムにコンクリート構造物全体のひずみ分布をモニタリングします。コンクリート構造物にひび割れが発生する際に生じる微小なひずみの変化をリアルタイムで捉えることができるため、ひび割れの予兆を検知することができます。
論文発表リスト
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- 反町他,光ファイバを用いたコンクリートの温度ひび割れの検知,第76回土木学会年次学術講演会講演概要集,2021.
- 小林他,光ファイバによる温度およびひずみ計測の遠隔リアルタイムモニタリング,
第77回土木学会年次学術講演会講演概要集,2022.
計測技術紹介
分布型光ファイバセンサは、
どこで起こるか分からない構造物のわずかな変化も、逃さず検知できます。
光ファイバセンサは、光ファイバ中を光が伝搬する際に生じる散乱光を解析することで、光ファイバ全長にわたってひずみや温度の情報を網羅的にとらえます。しかし、従来用いられていたブリルアン散乱光では、計測範囲は大きいものの精度が充分ではなく、適用範囲が限定されていました。今般、レイリー散乱光を用いた高速・高精度な計測技術が実用化され、光ファイバセンサを用いたインフラモニタリングへの適用範囲が一気に拡大しています。
光ファイバセンサの特長
細かく分布が取れる
給電不要
影響を受けない
腐食や故障を起こしにくい
光ファイバ中で発生する散乱光
レイリー散乱光と
ブリルアン散乱光の性質の違い