技術最前線

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A4CSEL®
(クワッドアクセル)

三浦 悟
プリンシパルリサーチャー

建設機械の自動運転による
施工システム

A4CSEL®(Automated/Autonomous/
Advanced/Accelerated Construction system for Safety, Efficiency, and Liability:クワッドアクセル)は、従来の建設機械の遠隔操作による無人化施工等とは異なり、作業データ(いつ、どこで、何を)を送ると、自動化建設機械が自律・自動運転で作業を行うため、原理的には作業指示者一人で何台の機械でも同時に稼働させることを可能とした、全く新しい建設生産システムです。これによって、大幅な省人化が図れ、また、建設機械に人が搭乗しないことから、建設災害の多くを占める機械関連の労働災害が飛躍的に減少します。それとともに、これまで職人に任されていた定性的な現場作業を定型的、反復的な動作の組合せに再構築、標準化した作業を自動機械が確実に行うことによって、安定した施工品質を確保できます。

また、「どのように運転すれば最も生産性が上がるか」という命題に対し、作業手順、機械の組合せを最適化して、合理的、生産工学的に施工していけます。そして、自動運転に適した施工計画、管制方法など効率的、効果的に運用するための施工マネジメント技術も含め、すべてを最適化することでA4CSEL は最高のパフォーマンスを発揮します。現場の安全性と生産性を飛躍的に向上させ、高品質なインフラを安定的に提供することができるA4CSELは、鹿島が目指す「現場の工場化」を実現する技術です。加えて、withコロナ社会における建設現場の在り方として注目されている「少ない人員数で、あるいは遠隔地からの施工」をも可能とする技術です。

A4CSELで培った自動化技術を宇宙開発の分野でも活用しようと研究が進んでいます。月や火星で計画されている有人探査拠点を建設するための方法として、A4CSELを構成する技術を適用した月面有人拠点建設に向けた研究開発をJAXAと行っています。これまでの研究で、拠点建設の実現可能性を見出すことができました。今後も、遠隔操作と自動制御の協調による遠隔施工システムの実現を目指して、さらなる研究を進める予定です。

ここがポイント!

図版:施工管制室の様子

施工管制室の様子
管制室から作業指示を送信するだけで、複数の建設機械が自律的に判断し自動化施工を行う世界初の技術。

図版:ダム建設工事へのA4CSEL適用イメージ

ダム建設工事へのA4CSEL適用イメージ
従来のリモコン等による遠隔操作とは異なり、一人が作業指示を出すことで複数の建設機械が自律的に作業を行う。

図版:JAXA共研:宇宙探査拠点の建設イメージ

JAXA共研:宇宙探査拠点の建設イメージ
モジュールを隕石や放射線から遮蔽するための覆土(土を覆い被せる)作業。

図版:実規模施工実験フィールド(神奈川県小田原市)

実規模施工実験フィールド(神奈川県小田原市)
A4CSEL®等の建設施工・生産技術をはじめ、様々な開発技術を検証する実験施設(規模約2ha)を業界で初めて開設。

適用が期待される分野

  • ダム
  • シールドトンネル・山岳トンネル
  • 宇宙開発

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