技術最前線

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災害情報共有システム

近藤 宏二
プリンシパルリサーチャー

様々な災害情報の集約と共有

世界的な気候変動に伴い、日本も毎年のように激甚災害に見舞われています。また、巨大地震である南海トラフ地震の30年以内の発生確率は80%と言われています。災害大国日本では、これら災害に対する事業継続計画(BCP)の策定が企業にとって必要不可欠なものとなってきています。BCPの策定により、企業はその存続のみならず、災害に強い企業となることにより、企業価値が上昇するとともに地域社会に貢献することができます。そこで、 BCP策定及びその実行に役立つ『災害情報共有システム』を開発しました。

災害情報共有システムは、社内拠点情報と防災科学技術研究所等から発信される社外情報を組み合わせて、有益な情報を集積し、分かり易く提供するものです。本システムは、地震発生直後にメール発信される「地震速報システム」と、当該地点の事前のハザード情報及び災害発生後の被害状況を表示できる「オンラインハザードマップ」から構成されています。ハザード情報には、想定地震による震度、液状化危険度、津波の最大浸水深や台風等による高潮、洪水の最大浸水深、土砂災害危険地域の情報が含まれます。オンラインハザードマップを利用することにより、平時には当該地点の各種ハザード情報を確認して、BCP策定に役立てることができ、リアルタイムでは、降雨状況とともに最長72時間先までの気象情報(降雨・風・熱中症)や台風進路も確認することができます。また、地震発生後20分程度で登録地点の推計震度を地図上で確認できるため、どの地域の被害が大きいかが一目で分かり、災害復旧で最も重要な初動対応計画の策定に寄与できます。さらに、想定地震に対応した物資搬送ルートおよび搬送距離・搬送時間を表示することにより迅速な復旧活動を支援できます。また、建物の構造被害推計情報をメールで配信し、いつでもどこでも確認することができるため、いつ来るか分からない地震に対しても迅速に対応可能です。本情報は初動対応の計画立案を効果的に行えるばかりでなく、比較的小さな地震が起こった際には、構造被害推計から即座に対応しなければならないかどうかが分かるので、安心材料として使用することもできます。

ここがポイント!

図版:オンラインハザードマップのメニュー

オンラインハザードマップのメニュー
オンラインハザードマップでは、地震、風水害、熱中症などの自然災害に加えて、COVID-19などの感染症情報も提供している。

図版:各種災害情報の表示

各種災害情報の表示
拠点位置、地震動、洪水、土砂災害、気象情報(降水・強風・熱中症・台風進路)などの情報を地図上に分かりやすく表示し、BCP策定や災害復旧対応に役立てている。

適用が期待される分野

  • 防災
  • BCP
  • GIS

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