「富岳」新型コロナウイルス対策プロジェクト飛沫感染チーム
ゴードン・ベル特別賞を受賞
2021年11月30日
鹿島が参画しているスーパーコンピュータ「富岳」を活用した新型コロナウイルス対策プロジェクト「室内環境におけるウイルス飛沫感染の予測とその対策」(代表者:理化学研究所/神戸大学坪倉教授)が、2021年 ゴードン・ベル賞COVID-19研究特別賞を受賞しました。
ゴードン・ベル賞は、計算科学分野で最も権威のある賞の一つで、スーパーコンピュータによる大規模計算を科学・技術分野に応用した研究のうち、その年に最も優れた成果を出した研究チームに授与されるものです。昨年から、新型コロナ研究に関する特別賞を設け、スーパーコンピュータを使って感染症の理解や世界的な危機の解決に寄与した研究を表彰しています。
当社は、このプロジェクトに建設会社として唯一参画し、室内環境シミュレーションの独自ノウハウの提供や計算モデルの作成、感染リスク評価に関する助言など、「富岳」を使用したシミュレーションを行っています。
鹿島の役割
鹿島では、SARS(2002年)以来の感染症の流行を受けて、2011年より室内環境におけるウイルス飛沫シミュレーションの研究開発を行ってきました。独自に開発したプログラムおよび自社保有の計算サーバーや可視化実験装置を用いて、飛沫感染に対する建築計画および設備計画上のノウハウを蓄積しています。それらを活かし、さまざまな室内環境の計算モデルの作成と境界条件設定などの室内環境シミュレーションや結果に対する検証、感染リスク低減策の提案を行いました。
KaTRISとシンガポール国立大学との
共同研究
また、KaTRIS (Kajima Technical Research Institute Singapore、 鹿島技術研究所シンガポールオフィス)とシンガポール国立大学との共同研究の成果として、天井ファンが設置された室内において、感染者の近くで15分間会話した場合の感染確率を、「富岳」を用いて定量的に示しました。これは、KaTRISとシンガポール国立大学で共同実施してきた天井ファンの新型コロナウイルス感染リスク低減効果の研究を、「富岳」プロジェクトにおいて発展させたものです。
天井ファンはシンガポールをはじめ東南アジア地域で広く使われていますが、このように上下方向の気流が供給されることで、もっとも感染リスクが高くなる「発生直後の飛沫の塊」を急速に希釈し、感染リスクの大幅な低減に有効であることを示しました。このような研究成果が感染症の理解などに役立ち今回の受賞につながりました。
今後、当社は、この「富岳」プロジェクトへの参画を通して「感染拡大防止」という社会課題の解決に向けた取り組みに貢献するとともに、活動を通して得られる新たな知見を活かし、今後も感染防止、感染対策を支援してまいります。

劇場での飛沫シミュレーション
提供:理研、神戸大 協力:豊橋技科大、京工繊大、鹿島建設

天井ファンでの飛沫シミュレーションと感染リスク低減効果
(鹿島×シンガポール国立大学 共同研究)