学校・教育施設ソリューション

学校の個性とブランドを確立するデザイン

学園ブランド戦略


学校の特色を表す個性的な校舎やキャンパス空間は、他校との差別化や学校のブランド価値を向上させる大きな要素です。新たな伝統を表し出す外観デザインや、過去の記憶を継承する内部空間、都心立地の特性を活かしたキャンパスのゾーニング、eスポーツや映像教育といった新たな学習領域への対応など、新しさと古さを効果的に融合させることで、新たな価値を生み出すことができます。

鹿島は、既存校舎との調和、樹木や歴史的遺構の保存などにも配慮しながら、学校の個性や伝統を反映した建物外観やキャンパス空間を創り上げていきます。

芝浦工業大学大宮キャンパス 創発棟

学生の居場所となる知の循環型キャンパス

大学改組に伴う芝浦工業大学大宮キャンパスの新校舎の計画です。建物はキャンパスの最奥の雑木林があった場所に新設されました。キャンパスのスパインである既存の校内通路を延伸し、それを受け止めるコンコースのような14.4m無柱空間のラウンジ系共用スペースを計画、その南側ファサードをゲート状の象徴的なデザインとしています。

図版:キャンパスの軸を受け止めるゲート状の象徴的なファサード

キャンパスの軸を受け止めるゲート状の象徴的なファサード

芝浦工業大学100周年の長期ビジョンCSA(Centennial SIT Action)に基づく大学全体の改組の流れの中で、大宮キャンパスでも新たなキャンパスマスタープラン(通称 "O-CAMP2027")が策定されました。そのマスタープランをベースに大宮キャンパスの商標登録でもある『グリーンキャンパス』の考え方を検討の中心に据え、「システム工学・データサイエンス・文理融合による新たなグローバル理工系人材育成」「キャンパス資源を活かしたスポーツ&サイエンス・マインドの醸成」等の実現を目指しました。創発棟建設前の大宮キャンパスの課題としては、『都市の豊洲』に対する『地域・自然の大宮』というアイデンティティの確立、ラーニングコモンズやeスポーツスタジオなど新時代のコンテンツへの対応、アフターコロナにおける学生の『心理的安全性』の担保、改組による施設の拡充と更新、既存雑木林のナラ枯れに伴う樹林の修復・再整備、等大きく4つの項目が挙げられました。創発棟設計にあたっての大学のご要望としては、さいたま市との共同事業である『脱炭素先行地域(環境省)』に寄与する脱炭素対応、具体的には将来的なNearly ZEB認証獲得、ZEB補助金取得サポート、CASBEE Sランク認証獲得などが挙げられ、この要件をローコストで建物パッケージの中にいかに納めるかが最重要課題となりました。

建物内スパイン空間の中心に大階段のある3層吹抜けを設け、学生の交流を促すと同時に中間期の自然換気による心地よい室内環境を実現しています。スパイン無柱空間の南側にはスパインを見返すラウンジを設け、縦ルーバー状の放射冷暖房パネルを間仕切りとして配置、心地良い冷温熱スポットを提供しています。南側メカニカルバルコニーには、ドラフトチャンバーダクト等の目隠しとして太陽光発電パネルをそのまま採用、脱炭素を考えるための教材として利用者に「そのまま見せる」ことを意識しました。

図版:大階段のある3層吹き抜け

大階段のある3層吹き抜け

図版:放射冷暖房パネルによる快適な2階ラウンジ

放射冷暖房パネルによる快適な2階ラウンジ

その他の脱炭素・環境配慮・Nearly ZEB達成のための取り組みとしては、創エネ対応として7階屋上のほぼ全面、竣工後には体育館屋上全面に太陽光発電パネルを敷設、ほぼ全部位のLow-eガラス採用、適正な断熱計画、高効率EHP導入、高効率HPC導入、マイクロコジェネ導入、井水熱源HPU採用等が挙げられます。屋上には72時間の自家発施設が設けられ、大学はもとより地域住民のためのBCP計画が改めて構築され「体育館」「多目的アリーナ」「教室」などが活用されることになっています。

図版:体育館

体育館

洗足学園音楽大学メディアラボラトリー

専門的な機能の確保と驚きを与えるデザインの実現

洗足学園100周年記念事業の一環であるメディアアーツコース新設に伴う新校舎の計画です。1946年に開かれた溝の口キャンパスは、高度で多様な音楽教育の場として整備が重ねられ、芝生広場を中心に特徴的な建物が配されたキャンパスとなっています。当該建物においても、訪れた人々に驚きと感動を与え、学生のクリエイティビティを刺激する特徴的な建築デザインと、映像・音楽教育のための専門的な機能を持った校舎が求められました。

図版:学生の創造力を刺激する豊かなキャンパススケープ

学生の創造力を刺激する豊かなキャンパススケープ

このふたつの要求に応えるため、窓のない3つの箱が積み重なったようなシンプルな幾何学形態として校舎をデザインしました。 外観は内部のプログラムを、そのまま3つの箱として表現し、給排気スリット、非常用進入口、樋など、外部に現れる機能的な要素を、意匠・構造・設備を統合した細やかなディテールにより抽象的な箱のデザインとして統合することでスケール感を感じさせない純粋なフォルムとして来訪者に驚きを与えます。

窓を設けないことにより、高い遮音・遮光性能を実現し、録音・撮影、編集、上映・配信といったメディア系の授業に適した教室やスタジオの計画が可能となりました。また、窓のない外壁を耐震壁として利用することに加え、フレキシビリティの高いフラットスラブ構造の採用により、高さ制限20mで5層分の階高確保と、意匠・構造・設備が統合された合理的な計画を実現しています。

図版:南側外観-3つの純粋なボックスが重なる

南側外観-3つの純粋なボックスが重なる

内部空間もメディア系コースに相応しく、視覚表現にこだわり光、素材、色の操作による空間の質の向上を目指しています。4階ラウンジにおいては、青く鈍く光るアンティコスタッコ仕上げによる深い海のような暗さを表現し、利用者の驚きと感動を引き出し、外界から隔てられた美しい内部空間を創造しています。

図版:4階ラウンジ-外界から隔てられた美しい空間

4階M-STUDIO-窓がないことにより必要な性能を確保

図版:4階M-STUDIO-窓がないことにより必要な性能を確保

4階ラウンジ-外界から隔てられた美しい空間

東京農業大学国際センター

大学の叡智を世界に発信する"NODAI FLAGSHIP"

世界の農学分野における拠点大学として、キャンパスで培った知見を世界に発信していく役割を担うシンボル的建物、世界の農学フィールドへ旅立つ国際センター"NODAI FLAGSHIP"をコンセプトとした計画です。

キャンパス内・近隣に向けた東西面ファサードはキャンパス共通のデザインコード"自然素材となる土・地層"を採用し「歴史」の継承を表現し、「農大の森」を囲む校舎配置により象徴性を高めています。

図版:キャンパス共通デザインコード「土・地層」表現

キャンパス共通デザインコード「土・地層」表現・「歴史」の継承/「農大の森」と対峙する

南北面ファサードは国際センターらしい世界へ拓く「発展」をデザインイメージとし、「歴史」と「発展」の二面性を併せ持つファサード表現としています。1、2階は各柱間に大きな開口を設け視線の通る計画とすることで、内部の賑やかさを演出するとともに、旅立ちをイメージさせる浮遊感を表現した外観を構成しています。

図版:世界へ拓く「発展」をデザインイメージした外観

世界へ拓く「発展」をデザインイメージした外観

豊かな緑を望めるバイオフィリック空間

内部はどの居室からもキャンパス内の豊かな緑を望める心地よいバイオフィリック空間を目指し、外壁・手摺等各所で、自然界や動植物の中に息づく「フィボナッチ数列」(花びらの枚数、人体の血管枝分かれ、黄金比等)をデザインモチーフとして外壁・ルーバー・手摺等に採用し、東京農業大学らしさを細部に及びデザイン展開を図っています。中間期には1・2階の6枚引分けサッシを開けると、心地よい風が抜け「農大の森」を肌で感じる半屋外空間となり、どの居室からもキャンパス内の緑を望めるバイオフィリック空間を目指しました。

図版:細部まで及ぶフィボナッチ数列・デザインモチーフによる東農大らしさの表現

細部まで及ぶフィボナッチ数列・デザインモチーフによる東農大らしさの表現

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1階には東京農業大学創設者 榎本武揚先生のギャラリーを配し、カフェ等、多言語・多文化を楽しみながら学ぶ多国籍の学生達の活発な交流の場を創出しています。建物中央には象徴的な大階段を設け、吹抜空間を通し視線のつながりを生む計画としました。

図版:吹抜空間の視線のつながりを生む大階段

吹抜空間の視線のつながりを生む大階段

図版:「農大の森」「芝生広場」に面するカフェ・多目的スペース

「農大の森」、芝生広場(竣工時)に面するカフェ・多目的スペース

2階ホワイエ空間は「農大の森」に面した大きな開口により農大の森を一望できる。樹木や西面水平ルーバーを通した光は柔らかな木漏れ日となり、時間的変化と明るさを伴う光環境のホワイエ空間を演出しています。

図版:「農大の森」の樹々が真近に迫るバイオフィリック空間

「農大の森」の樹々が真近に迫るバイオフィリック空間

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多様なイベント・国際会議施設の創出

ホワイエを介し両翼に大小のホールを配し、「榎本ホール」では260inch+200inch×2のスクリーン3面+多目的利用想定の舞台機構を備え、国内・国際学会、講演、展示等学生中心に活動できる多目的な利用想定とし、会議室1・2は2分割可能な本格的国際会議施設となります。

図版:2階 国際会議・多目的な講演・コミュニケーションの場となる榎本ホール

2階 国際会議・多目的な講演・コミュニケーションの場となる榎本ホール

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図版:2階 国際会議・多目的な講演・コミュニケーションの場となる可変型会議ホール

2階 国際会議・多目的な講演・コミュニケーションの場となる可変型会議ホール

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東京大学KAJIMA HALL:15号講義室

歴史的空間の継承と先端的技術の共存

既存の15号講義室は、東京都文京区本郷に位置する東京大学 本郷キャンパスの工学部1号館内にある講義室の一つです。円弧上の段床のある半円形プランの階段教室で、通常の講義だけでなく、講演会や式典にも使用される格式高い講義室です。

創建から85年、改修から25年が経ち、建築・設備の更新が求められるなか、これまで受け継がれてきた各時代の歴史的価値を踏まえつつ、次の時代の教育に向けた現代的な要求へ対応するため、東京大学 千葉学教授・キャンパスマネジメント研究センター(CMRC)長とともに、継承/改変のあり方を検討しました。

図版:2面の200インチ大型スクリーンと先進的な設備を設置できるグリッド天井

2面の200インチ大型スクリーンと先進的な設備を設置できるグリッド天井(※)

最も大胆に改変した天井は、創建当時の格天井を踏襲したグリッド天井として歴史性を継承しながら、将来的な設備の維持更新を見据えた「インフラ」としてデザインしています。グリッド天井にはライン照明や音響設備、センサー機器等の先進的な設備を取り付けることが可能で、先端的研究のための実験の場として整備し、過去から未来へとつながる空間を実現しています。

多様な講義スタイルへの対応

既存の座席配置から1列減らして座席間隔と前方教壇側の平場を広げるとともに、教卓を可動式にすることで、従来の講義形式だけでなく対談形式やワークショップ形式など多様な講義形式に対応しています。床や机の木材等は既存のものを活かし取りし、1列減らすことで変わった改修後の曲率に合わせて接木や補修をしながら丁寧に再取付けをすることで、既存の格式高い雰囲気を継承しています。

図版:教壇前に新しく設けられた平場空間

教壇前に新しく設けられた平場空間(※)

■基本設計
基本設計:東京大学大学院工学系研究科建築学専攻(総括:千葉学教授)
設備設計:株式会社 環境エンジニアリング
基本設計協力:鹿島建設 株式会社

■実施設計
実施設計:鹿島建設 株式会社
監修(実施設計・監理):千葉学教授(CMRCセンター長)およびCMRC
設備設計:株式会社 環境エンジニアリング
照明設計:株式会社 岡安泉照明設計事務所/株式会社 遠藤照明
音響設計:ヤマハ 株式会社
テキスタイルデザイン(カーテン・張地):株式会社 安東陽子デザイン
ホワイエ椅子:株式会社 藤森泰司アトリエ
※写真クレジット:撮影-西川公朗

日本大学豊山高等学校・中学校

都心に建つコンパクト積層校舎

限られた敷地面積の中での居ながら建て替えによって建設された、中学・高校では珍しい地下2階地上11階の高層校舎です。3~8階の普通教室が面する屋内吹抜け空間アトリウムは、生徒の交流・憩いの場として中心的な役割を担っています。ほかにアリーナ(地下2階~地上1階)、多目的ホール(3、4階)、柔道場・剣道場(10階)、屋内プール(11階)などを積層、校舎の高層化により地上部に校庭も設けられたコンパクトで機能的なキャンパスとなっています。

図版:上下階をつなげ学校生活の中心となるアトリウム

上下階をつなげ学校生活の中心となるアトリウム

図版:凹凸がある外観は時間帯により少しずつ表情を変える

凹凸がある外観は時間帯により少しずつ表情を変える

図版:自然光の差し込む三層吹き抜けの地下アリーナ

自然光の差し込む三層吹き抜けの地下アリーナ

二松學舎大学 九段4号館

都心立地を活かした積層キャンパスの形成

創立135周年を迎えた二松學舎大学の九段キャンパス再編の一環として、一般教室拡充を目的に建設された新校舎です。
北の丸公園、千鳥ヶ淵、そして靖国神社と、都心にありながら豊かな緑に囲まれており、各校舎が相互に連携し合いながら、九段の街全体が一つのキャンパスとして機能しています。
狭小敷地を最大限活かした積層型のスリムな校舎であるが、足元の往来や都心ならではの眺望を取り込み、街そのものをキャンパスと見立てることで、広がりある豊かな教育の場を形成しています。

図版:上下階をつなげ学校生活の中心となるアトリウム

上下階をつなげ学校生活の中心となるアトリウム

図版:2階ラーニングスクエア

2階ラーニングスクエア

図版:各階に設けられたラウンジスペース

各階に設けられたラウンジスペース

早稲田大学戸山キャンパス33号館

伝統や記憶を継承したシンボリックな高層校舎

東京都心に立地する早稲田大学戸山キャンパスは、建築家・村野藤吾の設計による校舎が特徴のある景観を創り出していました。

2013年から2014年にかけて行われた33号館の建て替えにおいては、限られた敷地を有効に活用して機能を満足させるため、シンボリックな高層校舎化を図り、都心立地のキャンパスに要求される高密度化を実現しました。

高層校舎でありながら全てを現代風の建物にするのではなく、戸山キャンパスに息づく特徴のある景観と無理なく調和させるため、様々な工夫を施しています。

外観には、既存校舎と同様の個性的な格子フレームを取り入れるとともに、校舎内外を飾っていたレリーフやモザイク床などを保存することで、必要な面積や機能は確保・更新しながらもキャンパスの伝統や記憶を継承し、よりシンボル性の強い建物とすることができました。

図版:旧館の面影を残した新たなシンボルに

旧館の面影を残した新たなシンボルに

図版:既存校舎のモザイク床を取り込んだエントランス

既存校舎のモザイク床を取り込んだエントランス

図版:村野藤吾設計の意匠を継承する窓周りのデザイン

村野藤吾設計の意匠を継承する窓周りのデザイン

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