ホーム > KAJIMAダイジェスト > March 2021:特集1 3.11 東日本大震災から10年[前編] > Message: 復興・創生への取組みとこれから

Message: 復興・創生への取組みとこれから

図版:勝治 博 常務執行役員

東北支店長
勝治 博 常務執行役員

この3月で東日本大震災から10年という大きな節目を迎えます。この震災により亡くなられた皆様に心からご冥福をお祈り申し上げますとともに,被災された多くの皆様に心よりお見舞いを申し上げます。そして,今なお避難生活を余儀なくされている皆様には,一日も早いご帰還を祈念申し上げます。

また,去る2月13日には福島県沖を震源とする最大震度6強の地震が発生しました。この地震も東北地方太平洋沖地震の余震といわれておりますが,被害にあわれた皆様には,重ねてお見舞い申し上げます。

当社は,2011年3月の発災以来,応急復旧工事を皮切りに,建設事業を通して東北の復興・創生に向け全力で取り組んでまいりました。

震災直後には,土木分野では鉄道・高速道路・石油基地・火力発電所などのインフラの復旧工事を,建築分野では他社施工物件を含め約1,000件の建物の調査と復旧工事を担当しました。その際には全国から延べ450人の社員の応援をいただいたこと,そして自らが被災者でありながら復旧工事に邁進した東北支店の社員にも改めて感謝の気持ちを伝えたいと思います。

こうした応急復旧に並行して,被災3県の沿岸部において大きな課題となっていたがれきと廃棄物の処理についても,当社は阪神・淡路大震災や新潟県中越の地震への対応で蓄えられた実績,知見をもとに素早い対応が可能となりました。また初めての経験となる除染工事や汚染された廃棄物の処理については,本社や技術研究所など鹿島の総合力を発揮し,担当したエリアの工事を所定の工期内で完了することができました。

そして,本格的な復興工事においても全社的な対応により技術開発や設計および施工にあたりました。宮古たろうまちづくりや女川まちづくりでは,CM方式という復興における新たな仕組みを構築し,スピード感のあるまちづくりが実現できました。岩手県の復興道路である新区界トンネルの工事では,日本初の4ブームフルオートコンピュータジャンボなど最新技術を採用し,スピード施工を実現しました。そのほか,各地の復興道路・トンネル・橋梁工事から,陸前高田の海岸復旧や小峰城跡石垣復旧まで幅広い復興工事に携わってきました。建築分野でも石巻魚市場建設事業や大熊町役場建設をはじめ,各地の復興住宅や被災した生産施設の再建工事など多くの工事に携わってきました。いずれの工事についても地域の皆様の温かいご支援をいただいたことに改めて厚く御礼申し上げます。

現在も福島県の浜通りを中心に被災家屋の解体工事や中間貯蔵関連の建設,運搬・処理業務などを継続しており,完了まで引き続き全力で対応してまいります。

さらに,この10年間の対応をしっかりと記憶し,災害からの復旧・復興は当社の使命であるという強い思いで,災害による被害の最小化や被災後の迅速な対応への準備を進めていきたいと思います。

現在,東北では復興後の発展に向けた創造的な取組みも各地で本格化しております。当社が施工を担当した世界最大級の水素製造能力を有する「福島水素エネルギー研究フィールド」が昨年完成しました。また,青森県で日本最大の陸上風力発電が商業運転を開始し,秋田県では商業ベースとして日本初の大型洋上風力発電も施工中です。そのほか,地熱発電やバイオマス発電を含め多くの計画が進んでおり,東北は再生可能エネルギーの一大拠点となりつつあります。

また,当社が施工を進めている次世代放射光施設関連では,東北発の新産業創出が期待されています。そして,半導体,医薬品などの大規模な設備投資も東北各地に数多く予定されるなど,東北の発展へ向けた動きが加速化しております。当社もそうした多くの事業の施工パートナーとして東北の発展へより一層貢献してまいります。関係の皆様の,引き続きのご支援をよろしくお願いいたします。

ContentsMarch 2021

ホーム > KAJIMAダイジェスト > March 2021:特集1 3.11 東日本大震災から10年[前編] > xxxx

ページの先頭へ