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鹿島グループの技術を活かした感染対応技術

感染対応ワーキンググループの立ち上げ

新型コロナウイルスへの対応として,当社には,感染防止に向けたオフィスレイアウトや
空調改善をはじめとした多種多様な相談が数多く寄せられている。
そこで当社では鹿島グループの保有技術を活かして最適な提案を目指す感染対応ワーキンググループを
立ち上げた。富岳プロジェクトに“唯一”参画している建設会社として得られる知見を活かし,
感染対応に配慮された安心できる環境・空間づくりをサポートするソリューションを提案する。

感染対応ワーキンググループ
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接触感染防止
― 特許技術を活用した「除菌コンサル」

1つ目は,接触感染を防止するための「除菌コンサル」だ。施設を安心して使用できるよう,最適な除菌計画に基づいた装置・手法選定と運用を提案する。

除菌コンサルには,大きく3つのポイントがある。まずは菌やウイルスをどの程度取り除けばよいかの,「必要な除菌処理の強さの見極め」。次に,薬剤使用による「人の健康リスクや建材劣化への配慮」。最後に,病院や工場など建物によって諸条件が異なるなか,ただ除菌するだけではなく,建設会社だからこそわかる「建物の特性を把握した提案」をする。

当社では,噴霧する除菌剤の適切な用法・用量を割り出す特許技術により,殺菌シミュレーションを行うことで3つのポイントを満たす提案が可能だ。建物や利用者の特性に精通し,工法や設備について技術横断的に利用者目線で問題提起と提案ができる当社ならではのコンサルだ。

除菌コンサルの要素

  • (1)必要な除菌処理の強さの見極め
  • (2)人の健康リスクや建材劣化への配慮
  • (3)建物の特性を把握した提案
図版:除菌コンサル
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飛沫感染防止
― インテリアのプロフェッショナルによる
「レイアウト診断コンサル」

2つ目は,3つの診断を活用した「レイアウト診断コンサル」だ。

オフィスなどの事業所は医療施設とならびクラスター感染のリスクが高い。感染症への十分な対策とその対策を従業員に伝えることで不安を少しでも解消する環境づくりが求められている。

そこで,インテリアデザインを専門とする鹿島グループのイリアが,いかに安心してオフィスで働くことができるかを3つの診断により評価し,最適なレイアウトを導き出す。まずは新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の提言に基づいた「経団連ガイドライン」から,感染拡大防止策上の問題点を具体的に洗い出し,7区分の評価をする。次に,オフィスの実際の「レイアウト(図面・写真)」から,オフィス内の人が集まりやすいエリアや通路の狭いエリアなどを判定し,各エリアの特性と状況に応じた解決策の整理と評価をする。最後に,オフィス内の密集度と通行頻度が高い経路を「レーザー計測機器(LiDAR : ライダー)」を用いて実測し診断。オフィスの利用状況を可視化した実測データに基づき,3密対策を考慮したレイアウトの提案を行う。これらは必ずしもすべて行う必要はなく,目的に応じて最適なプランを提供する。

レイアウトの3つの診断

  • 診断1. 経団連ガイドラインによる評価
  • 診断2. 現状レイアウトの評価
    (図面や写真から)
  • 診断3. レーザー計測による人の密度評価
図版:レイアウト診断コンサル
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空気感染防止
― 当社独自の「気流制御による
感染防止技術」

3つ目は,病院の待合室などでの活用を想定した「気流制御による感染防止技術」だ。

開発にあたっては,自社保有のスーパーコンピュータによるCFD(数値流体力学)シミュレーションでその有効性を確認。汚染物質の濃度や風速を可視化して,室内の空気環境を評価した。

このシステムでは,赤外線サーモグラフと顔認証技術で,体温が高い,あるいはマスクをしていない人物などを特定する。その人物付近では排気,それ以外では給気となるように気流を制御し,飛沫核やマイクロ飛沫(エアロゾル)が拡散しないようにするシステムだ。

この技術は現在“特許出願中”であり,病院以外でも多くの人が集まり,長時間過ごす場所での感染リスクを低減することが可能となる。

図版:気流制御による感染防止技術

求められる社会貢献

これからのニューノーマル時代に向け,対談で坪倉教授が語った「マスクやパーティションなしで安心して暮らせる室内環境」の構築が求められている。

当社では紹介した感染症対策を中心に,ユーザーからの要望に対し「最適解」の提供に向け,鹿島グループの総力を結集し取り組んでいる。これからも病院・学校・工場・オフィス・ホールなどさまざまな用途にて「今後の建物のあるべき姿」を提供できるよう研鑽し,社会貢献につなげていきたい。

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「密」低減につながる
スマートビルの最新事例

当社が設計・施工した「東京ポートシティ竹芝」(東京都港区)は,利便性と快適性を追求し,建物内で集めたリアルタイムデータを活用するスマートビルだ。実はこのビルには,感染症対策につながる技術が採り入れられている。

リアルタイムデータを活用することで施設内のEVホール・トイレ・テラス(フリースペース)・飲食店などの混雑状況をデジタルサイネージや専用アプリで確認でき,オフィスワーカーや来館者の混雑回避と利便性向上が図られている。また,当施設にはエレベーター渋滞を緩和するシステムも導入されており,あらゆる場面で「密」低減につながる最先端のスマートビルである。

図版:東京ポートシティ竹芝

東京ポートシティ竹芝

図版:各所混雑度 配信画面

各所混雑度 配信画面

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