建設業は現在,技能者の減少や高齢化,職種による技能者数の偏りなど,構造的な問題に直面している。
将来にわたって建設業を支える担い手を確保するためには,技能者の処遇改善などの施策を通じて
若年層をはじめとした入職が促進されることが必要だ。
ここからは,当社グループが協力会社とともに目指す「魅力ある建設業の創出」のための
5つの施策を見ていく。
原則二次下請までに限定した
施工体制の実現
当社は従来の重層下請基準の見直しを行い,今年4月から三次下請以下は支店長許可を必要とし,協力会社と一体となって早期に二次下請以内の施工体制の確立を目指している。2023年4月以降は,当社が施工する全ての建設工事において,例外措置を明確化した上で,「原則二次下請までに限定した施工体制」を実現すべく取り組んでいく。
本体制の実現は,技能者の労働賃金が向上するなど処遇改善につながり,ひいては建設業が魅力ある産業となって,次世代を担う若手入職者が増えることが期待される。また,元請としてさらに目が行き届く管理体制になるため,一次下請の職長が二次下請の職長に適切な指示や指導をより丁寧に行うことができ,「見るべき人が見る安全管理」にもつながっていく。
技能者能力評価制度と連動した
建設キャリアアップシステムの
推進・活用
国土交通省は,建設キャリアアップシステム※(以下,CCUS)の導入によって確認が可能となる技能者の保有資格および就業履歴のデータを活用し,技能者一人ひとりの経験や知識・技能,マネジメント能力を正しく評価する「技能者能力評価制度」を策定した。すなわち,技能者を評価する枠組みを構築し,能力評価(レベル判定)に応じてCCUSカードを色分けすることで,技能と経験に応じた賃金の支払いや処遇改善につなげることを目指している。
この評価制度に併せ,当社は,労務費の引き上げを検証できる仕組みを検討し,CCUSの推進・活用に取り組んでいく。
CCUSモデル工事の取組み
~平成29年-32年度 日下川新規放水路工事~
2019年より本格運用を開始しているCCUS。同年,国土交通省直轄工事において,日本建設業連合会の推薦をもとに,全国30現場の「CCUSモデル工事」を選定した。発注者や元請,下請など,さまざまな立場から効果や課題を収集するとともに,現場見学会の開催を通じて地元企業や自治体などからも意見を収集し,その効果を検証する取組みを行っている。
モデル工事の一つ,「平成29年-32年度 日下川新規放水路工事」(高知県高岡郡日高村)では, 2回の現場見学会を開催。また,CCUSの活用状況を検証・確認するため,連絡協議会を発足させ,CCUSの利用手続きや,システム利用による効果や課題などを協議し,積極的な活動を展開した。