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全自動トンネル覆工コンクリート打設システム
「FALCON-CAST®

多様なニーズに対応可能な全自動打設システム

山岳トンネルの覆工コンクリートは、トンネルの長期安定性の確保などを目的に構築される、最終仕上がり面です。そのため、覆工コンクリートの不具合による剥離・剥落は、供用後の第三者災害に直結することから、確実に品質を確保しなければならない重要な構造物となります。しかし、従来、覆工コンクリートの施工は、狭隘な型枠内に技能者が窮屈な姿勢で身を乗り出しながら締固めを行う等、負担の大きい人力作業が多く、品質は技能者の技量に依存しており、未充填などの品質不良を生じる可能性がありました。

そこで、品質を確保・向上させ、締固め作業の省人化、省力化を目的として、覆工用中・高流動コンクリートと革新的な打設配管装置を開発し、覆工コンクリートの打設を完全に自動化する「全自動トンネル覆工コンクリート打設システム『FALCON-CAST』」を開発しました。本システムを用いることで、覆工コンクリートの品質の確保・向上および生産性向上を実現しました。

※FALCON-CAST:Fully Automated pouring system for Lining-CONcrete of CAST in-situ

図版:「FALCON-CAST」の施工イメージCG 革新的な打設配管装置での打設イメージ

「FALCON-CAST」の施工イメージCG 革新的な打設配管装置での打設イメージ(動画:24秒/音なし)

2025年度エンジニアリング功労者賞エンジニアリング振興
令和7年度日本建設機械施工大賞 大賞部門 優秀賞
土木学会第33回トンネル工学研究発表会 優秀講演賞
土木学会 土木建設技術発表会2020 セッションⅡ山岳トンネル 最優秀賞
特許登録済

キーワード
全自動トンネル覆工コンクリート打設システム、覆工用高流動コンクリート、覆工用中流動コンクリート、
回転式打設口、高速左右切替装置、打設制御装置
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全自動トンネル覆工コンクリート打設システムの構成

本システムは、以下の4つで構成されます。

全自動トンネル覆工コンクリート打設システム概念図

図版:ポンプ車2台での打設状況

ポンプ車2台での打設状況

図版:ポンプ車1台での打設状況

ポンプ車1台での打設状況

❶覆工用中・高流動コンクリートの技術

覆工用中流動コンクリートは軽微な締固めを必要とするコンクリートで、覆工用高流動コンクリートは自己充填性を有し締固めが不要なコンクリートです。それぞれ、プラント製造用、現場での流動化用として2種類の混和剤を開発し、4タイプの施工が可能です。比較的少ない単位セメント量で流動性の高いコンクリートを実現しています。

図版:覆工用中・高流動コンクリート

覆工用中・高流動コンクリート

❷革新的な打設配管装置(回転式打設口)

革新的な打設配管装置は、各打設口を回転式打設口とし一筆書きで接続することで、各打設口が打設を完了した際は回転して型枠表面と同じ位置で蓋が閉まると同時に、次の打設口への配管ルートを形成します。

図版:革新的な打設配管装置(回転式打設口)

革新的な打設配管装置(回転式打設口)

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❸打設制御装置

打設制御装置は、型枠表面にコンクリートの打上げ高さを検知するセンサを設置して打設状況を見える化するとともに、型枠バイブレータの稼働制御やコンクリートポンプとの連動制御を自動で行い、左右の高低差を無くし均等に吹上打設を行います。

図版:打設制御装置

打設制御装置

❹左右の高速配管切替装置

コンクリートポンプ1台で施工する場合、配管の分岐点に設置した高速配管切替装置により、左右系統の切替えを3秒、打設口の切替えも含めて15秒で行うことができ、流動停止時間を短時間に抑え、連続打設を実現します。

図版:左右の高速配管切替装置

左右の高速配管切替装置

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全自動トンネル覆工コンクリート打設システムの概要と特長

❶覆工用中・高流動コンクリートの技術

開発した混和剤は、分散剤と増粘剤により、覆工用中・高流動コンクリートの流動性を確保しつつ、材料分離抵抗性を付与することで、単位セメント量を少なくすることができます。また、ブリーディングを抑制し、経時保持性を含むフレッシュコンクリートの性状を良好としつつ、早期強度発現を実現しました。

  • プラント製造型 増粘剤含有高性能AE減水剤
    商品名 シーカビスコクリートUG6500/6550SDC(シーカ・ジャパン製)
  • 現場流動化型 増粘剤含有流動化剤
    商品名 シーカビスコクリートUG6580/6585SDC(シーカ・ジャパン製)

図版:覆工用中・高流動コンクリートの混和剤技術(分離することなく高い流動性を確保)

覆工用中・高流動コンクリートの混和剤技術
(分離することなく高い流動性を確保)

❷革新的な打設配管装置(回転式打設口)

従来、覆工コンクリートの施工では、移動式型枠に複数の配管が設置されており、打込み箇所を切り替える際に配管内のコンクリートの回収や処分、及び清掃の作業が必要でした。

開発した革新的な打設配管装置は、各打設口を回転式打設口にし、一筆書きで接続することで、全ての打設口からコンクリートを吹き上げて圧入して打ち込みます。打設口からの打込みが完了すると打設口の配管を回転させて、次の打設口にコンクリートを連続的に供給する構造です。

図版:革新的な打設配管装置による打設状況

革新的な打設配管装置による打設状況(動画:18秒/音なし)

この打設配管装置を可能とした回転式打設口は、打設時は吹上口が型枠表面からコンクリート内部へ突出していますが、打設を完了した際は回転して型枠表面と同じ位置で蓋が閉まると同時に、次の打設口への配管ルートを形成します。これにより、打設中の残コンクリートの回収や配管清掃が不要となります。

図版:回転式打設口の実際の動き

回転式打設口の実際の動き(動画:27秒/音あり)

❸打設制御装置(制御システム)

打設制御装置は、型枠表面に設置した複数の高さ検知センサで、コンクリートの打上がり高さ(打設進捗)を「見える化」し、回転式打設口を含む打設配管装置、型枠バイブレータ、コンクリートポンプの全ての装置を連動制御することができます。具体的には、型枠バイブレータの振動、天端圧力、打設口の切替え高さ、打設速度を設定し打設を開始すると、自動で覆工コンクリートを打設します。

また、制御システム画面は現場から工事事務所や生コン工場へ外部配信し、打設状況をリアルタイムで共有するとこにより、トラブル等への迅速な対応を図ることができます。

図版:打設制御画面

打設制御画面

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❹左右の高速配管切替装置

従来の配管切替装置では、左右の切替えに数分要するため、コンクリートの打重ね線のような流動跡が色むらとして残るという課題がありました。そこで、コンクリートポンプの圧送信号と連動する左右の高速配管切替装置を開発しました。本装置は、電気信号による油圧制御で、約3秒間で左右の配管系統の切替えを可能とします。

図版:打設制御画面

左右の高速配管切替装置の稼働状況(動画:9秒/音なし)

多様なニーズに対応した実工事への適用例とその効果

本システムを、大断面となる3車線、および標準断面となる2車線の実工事に適用しました。

3車線断面

2023年、本システムを軽微な締固めが必要な覆工用中流動コンクリートにも対応できるよう進化させ、大津大石トンネル工事(滋賀県大津市)に適用しました。

また、宇治田原トンネル西工事(京都府宇治田原町)では、システムのメリットを最大限活かすことができる覆工用高流動コンクリート用いた全自動打設を成功させ、打設時の人員の約60%低減、および覆工コンクリートの品質確保および向上を実現しました。

図版:大津大石トンネル(3車線断面)での中流動コンクリート自動打設の様子

大津大石トンネル(3車線断面)での中流動コンクリート自動打設の様子

図版:宇治田原トンネル西(3車線断面)での高流動コンクリート自動打設の様子

宇治田原トンネル西(3車線断面)での高流動コンクリート自動打設の様子

2車線断面

さらに、2024年、養老トンネル南工事(三重県いなべ市)では、現場で流動化させる覆工用高流動コンクリート用いて、標準的な2車線断面用に各種装置を小型化した全自動打設を完成させ、打設時の人員を約50%の低減を実現しました。

図版:養老トンネル南(2車線断面)でのポンプ1台での自動打設の様子

養老トンネル南(2車線断面)でのポンプ1台での自動打設の様子

図版:養老トンネル南の仕上がり状況(現場流動化型覆工用高流動コンクリート)

養老トンネル南の仕上がり状況(現場流動化型覆工用高流動コンクリート)

その他にも、現場で流動化させる覆工用中流動コンクリートを用いた全自動打設も可能であり、あらゆる断面、中流動コンクリートまたは高流動コンクリート、さらにそれぞれのプラント製造型、現場流動化型が選択可能となり、多様なニーズに対応することができます。

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適用実績

図版:養老トンネル南

養老トンネル南

場所:三重県いなべ市

工期:2022年8月〜2026年10月

発注者:中日本高速道路

規模:トンネル延長(本坑)2,062m 
掘削断面積90.3m2

図版:宇治田原トンネル西

宇治田原トンネル西

場所:京都府宇治田原町

工期:2019年5月~2026年1月(その1)
2022年9月~2027年10月(その2)

発注者:西日本高速道路

規模:トンネル延長上り線822m 下り線1,092m 
設計掘削断面積140m2 内空断面積116m2

図版:大津大石トンネル

大津大石トンネル

場所:滋賀県大津市

工期:2019年5月~2025年3月

発注者:西日本高速道路

規模:トンネル延長上り線695m 下り線917m 
設計掘削断面積127.3m2 内空断面積103.8m2

学会論文発表実績

  • 「トンネル覆工コンクリートの全自動打設システムの開発」,日本建設機械施工協会,建設施工と建設機械シンポジウム論文集・梗概集,2024年
  • 「トンネル覆工コンクリート全自動打設システムの施工実績」,土木学会,トンネル工学報告集,第33巻,Ⅰ-12,2023年11月
  • 「中流動覆工コンクリートを用いた自動打設システムの適用実績」,土木学会,第78回年次学術講演会,2023年
  • 「覆工用高流動コンクリートを用いた自動打設システムの適用実績」,土木学会,第78回年次学術講演会,2023年
  • 「トンネル覆工コンクリートの自動打設システムの開発」,土木建設技術発表会2020,Ⅱ-11,土木学会,2020年

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