タワークレーンの遠隔操作と自動運転システム
専用コックピットから遠隔操作、作業効率も向上
ダム工事は施工エリアが広いため、タワークレーンのオペレータはタワークレーン上の運転席までの移動に時間を要し、さらに、高所に位置する運転席に終日留まることになるため、作業環境の改善が求められていました。また、コンクリート打設作業は長時間の連続作業となり、オペレータに負荷がかかっていました。
この課題に対応するため、新たに2つの技術を導入しました。一つ目の技術、タワークレーン遠隔操作「TawaRemo®(タワリモ)」※は、地上に設置した操作室の専用コックピットから、従来のタワークレーン運転席と同等の作業性でクレーンを遠隔操作することが可能です。これにより、オペレータの移動時間を短縮することができます。
二つ目の技術、タワークレーンの「自動運転システム」は、最適な運搬ルートを記憶させそれを再現することで、人が運転する場合と比べて習熟度や身体的疲労、天候などの影響を受けにくく、長時間の連続運転が可能となりました。
これら2つの技術を組み合わせて導入することで、従来と比較して生産性が約20%向上するだけでなく、安全性も向上させることができました。
※鹿島、竹中工務店、アクティオらがオペレータの作業環境改善と生産性向上を目的に共同開発したシステムで、2020年から建築工事を中心に導入が進んでいます。

「TawaRemo」と「自動運転システム」により約500m離れた場所からコンクリート打設を行う様子
- キーワード
- TawaRemo、遠隔操作、自動運転、ティーチングプレイバック、タワークレーン、作業環境改善、連続運転
地上から遠隔操作でタワークレーンを運転
地上に設置したタワリモの専用コックピットから、従来のタワークレーン運転席と同等の作業性で遠隔操作が可能です。コックピットには運転席と同様に操作レバーやフットスイッチを配置し、タワークレーンに設置された複数台のカメラ映像に加え、荷重や動作信号・異常信号を表示する各種モニターを備えています。さらに、タワークレーン側に設置したジャイロセンサーにより、風や荷運搬に伴う細かな振動も従来と同様に把握しながら操作できます。
導入の結果、オペレータの移動にかかる時間を1日あたり65分短縮しました。これによりクレーンの稼働時間は約16%向上し、高所にある従来の運転席への昇降も不要となりました。作業環境の改善に加え、安全性の向上にもつながっています。

高所に位置する従来の運転席

TawaRemo操作室

TawaRemoの専用コックピット
サイクルタイムを安定させる自動運転
自動運転システムは、最適な運搬ルートを記憶し、再現する「ティーチングプレイバック方式」を採用しています。これにより、人が運転する場合と比べて、習熟度や身体的疲労度、霧などによる視界不良といった要因の影響を受けにくく、最適な運搬ルートで安定したサイクルタイムを維持しながら、コンクリートの打設作業を長時間にわたり繰り返し行うことが可能となりました。通常の手動運転ではサイクルタイムのばらつきが大きいのに対し、自動運転では1サイクルあたりの作業時間を従来比で平均約30秒短縮し、コンクリートの平均打設速度は約5%向上しました。

コンクリート運搬経路(堤体下から堤体上へ)
さらに、自動運転中はオペレータがクレーン操作から解放されるため、作業状況の監視に注力でき、安全性の向上にもつながりました。導入当初は記憶できる運搬ルート数に制約がありましたが、改良により複数経路の記憶が可能となりました。その結果、経路を記録するティーチング作業が減少し、操作性の改善と生産性の向上を実現しています。
特長・メリットココがポイント
遠隔操作運転のメリット
- オペレータの移動時間を削減し、クレーンの実稼働時間を増加できます。
- 高所での作業や昇降が不要となり、作業環境を改善できます。
- 熟練オペレータの操作をもとにプログラムを行うことで技能伝承を行い、技量向上を図れます。
自動運転のメリット
- 長時間連続運転時でも天候・夜間・疲労・技量の影響を受けず、サイクルタイムを安定化できます。
- 経験の少ないオペレータでも熟練オペレータと同等の運転が可能です。
適用実績

成瀬ダム堤体打設工事(第2期)
場所:秋田県東成瀬村
工期:2023年6月~2026年12月
発注者:国土交通省東北地方整備局
規模:台形CSGダム
堤高114.5m 堤頂長755m 堤体積485万m3
学会論文発表実績
- 「ダム建設におけるタワークレーンの遠隔操作と自動運転(実績)」,土木学会,第80回年次学術講演会,2025年9月