高速・高精度光ファイバ計測技術
わずかな変状の予兆をリアルタイムに見える化!
インフラ構造物の安全な施工管理や適切な維持管理のためには、構造物の変状や応力状態を適切に把握する必要があります。分布型光ファイバ計測技術は、光ファイバの線上のひずみ・温度の“分布”を計測することが可能な一方、これまで計測精度や処理速度が課題とされていました。しかし、近年の光部品の高分解能化やコンピュータの計算処理速度の向上により、実用可能な高速・高精度の光ファイバ計測技術を開発しました。これによって、変状発生前の予兆、リアルタイムな応力状態を可視化し、施工時の安全管理やトラブル防止に繋げることができます。
さらに、光ファイバは長寿命なため、長期的な維持管理まで活用することでインフラのライフタイムの全ステージにおける品質管理が可能となります。
令和3年度土木学会 技術開発賞
特許登録済

光ファイバセンサのケーソン沈設施工管理システム(イメージ)
- キーワード
- 光ファイバセンサ、ひずみ測定、モニタリング
本システムの概要と特長
本システムは、汎用性の高い廉価な光ファイバケーブルを、対象となる構造物に張り巡らすように敷設し、新たに開発されたレイリー計測式光アナライザ(計測器)を用いることで、光ファイバケーブル全長に生じるわずかなひずみを、高速かつ、高精度に、リアルタイムに検知することができます。本システムの特長は以下の通りです。
- 従来5分以上かかっていた光ファイバ1本あたりの計測時間が約5秒と大幅に短縮できるため、リアルタイムなモニタリングが可能
- 従来の光ファイバ計測では、ブリルアンを計測しているためひずみの計測精度は±100μ程度だが、本システムではレイリー散乱を計測できるため、精度±1μ以下で微小なひずみも検知が可能
- 計測結果は即時にグラフ化されクラウド上に送られることで、現場事務所や遠隔地の本支店等からも常に最新データがリアルタイムに共有・確認が可能

新しい光ファイバセンサで用いる散乱光
適用分野
ケーソン躯体の沈設施工を管理し、トラブル発生を事前に防止
ケーソン工法では、躯体底部の下部を掘削することで、自重や圧入力によりケーソンを沈設して地中構造物を構築します。沈設の際、周辺地盤からの圧力による締付けや、周辺地盤との間に過大な摩擦が生じると、ケーソンにひび割れが生じる恐れがあります。光ファイバを設置して躯体表面のひずみを高精度にモニタリングすることで、摩擦を示唆する引張ひずみを確認できます。また、この時に滑剤を注入することで、ひび割れなどのトラブル発生を事前に防止できます。

光ファイバの配線

光ファイバの固定

ケーソン躯体の沈設施工モニタリング
学会論文発表実績
- 「光ファイバによるダム基礎処理工における施工管理法の高度化」,土木学会,第75回年次学術講演会,2020年
- 「光ファイバによる岩盤亀裂の目開き挙動計測試験」,土木学会,第75回年次学術講演会,2020年
- 「高精度光ファイバセンサを用いたひずみ・変位計測の検証実験」,土木学会,第75回年次学術講演会,2020年