長安口ダム本体改造 完成式
徳島県那賀郡那賀町で進められていた長安口ダム本体改造工事が完成し、その完成式が、2022年5月15日、現地で行われました。式典には発注者である国土交通省関係者および来賓として国会議員や地元の関係者ら約100名が出席し、長安口ダム本体改造工事の無事完成を祝いました。鹿島からは押味会長他工事関係者らが参列しました。
式典は、国土交通省四国地方整備局・丹羽局長の式辞から始まり、徳島県・飯泉知事、阿南市・表原市長、那賀町・坂口町長ら主催者が挨拶を述べました。来賓からの祝辞に続き、ダム湖名が披露され、「なか四季美湖」という美しい名前が発表されると、会場から大きな拍手が沸き起こりました。その後、関係者らによりくす玉が開披され、10年にわたるダム再生工事の完成を祝いました。
長安口ダムは、1956年に鹿島の施工で完成した重力式コンクリートダムで、那賀川水系唯一の多目的ダムです。那賀川上流は年間降水量が多く急流河川のため、川の水位が上昇しやすく、下流域では洪水被害や渇水被害が多く発生していました。これらの課題に対処するため、2007年度から長安口ダム本体改造工事が開始され、ダムを運用しながら大規模に既設堤体を切削し、クレストゲートを増設するという日本初のダム再生工事が行われてきました。鹿島はⅠ期工事(鹿島JV)、Ⅱ期工事(鹿島単独)を担当し、洪水吐の増設や減勢工の改造を行い、洪水調節能力を増強させました。Ⅱ期工事で適用した減勢工のプレキャストブロックと背面CSG埋め戻しを用いた合理化工法は第23回国土技術開発賞「入賞」を受賞しました。
那賀川流域の洪水被害低減に大きく貢献する長安口ダム本体改造工事の完成は、日本のダム再生事業のエポックメイキングとなると同時に、地域の安全と発展に大きく貢献することが期待されます。