五感に訴えるウェルネス空間

近年、経済産業省から「健康経営オフィス」が推奨され、米国で始められた建物使用者の健康性に配慮した建物を評価する「WELL認証」が我が国でも広まり始めています。ESGやSDGsの観点からも、オフィスワーカーの健康や知的生産性に配慮した「ウェルネスオフィス」を実現するための空間設計のニーズが高まっています。

人は気候の良い屋外にいると開放感を感じ、リラックスして気持ちよく過ごすことができます。しかし、実際の屋外は日射や風、温度、音、光など様々な環境が大きく変動するため、働く環境としては必ずしも適切ではありません。「そと部屋」は屋外のいいところだけを屋内に再現した、大きな環境変化のない空間です。「そと部屋」で過ごすことで、しっかりと休憩が取れリフレッシュできます。また、リラックスした打ち合わせは豊かなアイデアの発想をうながすと期待されます。

「そと部屋」では、カーペットや家具、植裁棚に土・緑・木などを感じさせるデザインを採用しました。これにより一般的なオフィスの堅いイメージではなく、カジュアルな雰囲気を感じさせるとともに、屋外にある自然を身近に感じることができます。また、天井には模擬天空光による間接照明「スカイアピアー」を設置し、天空と錯覚するような奥行きのある光を空間に注ぎます。「サウンドエアコン」は、屋外の音風景が持つ不快な部分を抑制し、心地よい部分は強調してリアルタイムに室内に取り込むことで快適な屋外との一体感を演出し、開放感とリラックス効果を高めます。

「そと部屋」には快適な屋外と同様のリラックス効果があること、「そと部屋」で休憩した後に知的作業の成績が向上すること、「そと部屋」で打合せると創造性の高いアイデアが出てくることなどを被験者実験で検証しました。