AGF鋼管打設作業時における
切羽近傍の無人化技術
AGF鋼管供給システムとAGF鋼管接続装置の改良
鹿島は、2023年11月にソケット型AGF鋼管打設作業の機械化システムを開発し、技能者の負荷を軽減するだけでなく、施工人員25%の削減を実現し、肌落ち災害のリスク低減も図りました。しかし、接続する鋼管を誘導する技能者1名とAGF鋼管供給装置の操作を担当する技能者1名が切羽作業範囲に残る課題がありました。
そこで、AGF鋼管打設作業時における切羽近傍の無人化を目指して、AGF鋼管供給システムとAGF鋼管接続装置の改良を行い適用現場で検証した結果、ロッド回収作業を除いた切羽近傍での技能者の延べ立入時間を、従来工法と比較して約90%削減できることを確認しました。
特許出願中

AGF鋼管供給システムの全景

アーム部からドリルジャンボに鋼管が渡される様子(A部拡大)
関連情報
- キーワード
- 山岳トンネル、トンネル補助工法、AGF、省人化
AGF鋼管打設機械化システムの概要
2023年に開発したAGF鋼管打設機械化システムは①鋼管供給用の「新型楽ダナ」、②鋼管連結用の「連結機構付きガイドシェル」の2つの装置で構成されます。
これらにより、1シフトあたりの施工人員25%削減と、重量物運搬や狭所での連結作業の負荷軽減が可能になりました。
①新型楽ダナ
「新型楽ダナ」は、専用ラックにセットされた鋼管を1本ずつガイドシェルに供給する装置です。鋼管の供給に必要な人員は技能者1名のみです。予め必要な鋼管を工場出荷時からラックにセットして搬入することで、以下のメリットがあります。
- 材料搬入時間を短縮
- 現場で技能者が重量物を持つ必要が無くなる

鋼管供給作業の様子

新型楽ダナの概要図
②連結機構付きガイドシェル
「連結機構付きガイドシェル」は、鋼管の前後を把持し押し込む機構を追加することで、ソケット型の鋼管を機械で連結できるようにした装置です。
- 技能者2名が人力で行っていた鋼管の連結作業が不要
- 技能者の負荷が軽減され、安全性も向上

鋼管連結作業の様子

ソケット型AGF鋼管
切羽近傍の無人化技術
AGF鋼管打設機械化システムを、さらに一歩進めて切羽近傍の無人化に向けた改良を行いました。
①AGF鋼管供給システムの改良
AGF鋼管を格納したラック部と、鋼管をドリルジャンボに受け渡すアーム部とに分離して、ラック部をドリルジャンボ後方に配置し遠隔操作でアーム部へ供給される装置に改良しました。これにより、鋼管供給作業のために技能者が切羽近傍に立ち入ることが無くなりました。

改良したAGF鋼管供給システムの概要
![]()
改良したAGF鋼管供給システムの動作(動画:52秒/音なし)
②AGF鋼管接続装置の改良
既打設側も把持する装置を追加することで、バスケット上での誘導が無くてもスムーズな接続が可能となりました。

改良したAGF鋼管接続装置の概要

改良したAGF鋼管接続装置で連結する様子
![]()
改良したAGF鋼管接続装置の動作(動画:2分12秒/音なし)
無人化に向けた工夫点
①AGF鋼管供給システムの工夫点
現場での準備作業の簡素化により、作業時間を従来工法と同等としました。
- コンベア用ブラケットはアイボルト1本で設置
- ラック部はトラックマウントのまま横付でセット
- 設置用パーツ類は専用ラックに一括して収納

ローラコンベアの設置状況

ローラコンベア上架用ブラケットの取付手順
②AGF鋼管接続装置の工夫点
穿孔用ロッドを丸ロッドから角ロッドに変更し割付も工夫しました。
- 前側のロッド把持装置を角ロッド用に変更し、ロッド切り離し時の把持力を向上(スリップによる切り離しの誤動作を抑止)
- ロッドを鋼管内でブラインド接続とすることで挟まれ巻き込まれを完全に排除(更なる安全性の向上)

前側ロッド把持装置の変更(角ロッド用)
適用実績

みなとみらい21線車両留置場
場所:神奈川県横浜市
発注者:横浜高速鉄道
規模:トンネル延長 横坑324.3m
本坑複線区間98.7m
本坑併設区間262.3m×2本のうちの先行トンネル終端部4シフトに適用
学会論文発表実績
- 「AGF工法における切羽無人化を目指した施工システムの改良」,土木学会,第81回年次学術講演会,Ⅵ-919,2026年
- 「AGF鋼管打設作業時の切羽近傍への作業員立入”ゼロ”を目指して」,建設機械施工,Vol.78,No.9,2026年9月