ホーム > 技術 > 土木:山岳トンネル技術 > 前方探査:地質のリアルタイム可視化システム「スマート切羽ウォッチャー」

山岳トンネル技術

前方探査

施工技術

自動化・機械化技術

覆工技術

前方探査

安全管理

解析・設計

調査・計測

維持補修

環境対策

地質のリアルタイム可視化システム
「スマート切羽ウォッチャー」

切羽の崩落事故ゼロへ! ICTによる地質のリアルタイム可視化

山岳トンネル工事では、施工中、前方の断層や切羽状況を完全に把握することは困難です。そのため、予期せぬ断層による切羽崩壊や肌落ち災害などの重篤災害の根絶に至っていません。そこで鹿島は、切羽と前方5mまでの地質状況をリアルタイムに完全に可視化する「スマート切羽ウォッチャー」を開発しました。

これは、切羽写真の画像解析による崩落危険予測と、コンピュータジャンボの穿孔データによる前方地質のリアルタイム予測の2つの解析技術を組み合せて、切羽の崩落危険度をリアルタイムに可視化するものです。本システムにより、従来の経験に頼った地質評価を変革し、切羽崩落災害の危険性を大きく低減することができるようになりました。

平成30年度土木学会賞 技術開発賞
平成30年度岩の力学連合会 技術賞
平成30年度ARMS10 Outstanding Paper Award 優秀論文賞
特許登録済

図版:スマート切羽ウォッチャーの概要

スマート切羽ウォッチャーの概要

キーワード
地山評価、ICT、肌落ち災害、コンピュータジャンボ、地球統計学、画像解析、可視化、見える化
改ページ

地質状況を自動でリアルタイムに高精度に定量評価

スマート切羽ウォッチャーは、『切羽写真の画像解析による切羽剥落危険度評価システム』と『コンピュータジャンボによる施工時の穿孔データを利用した3次元リアルタイム地質予測システム』、さらに、これらのシステムによる地山評価結果を現場事務所や本社などとリアルタイムに共有するクラウドシステムで構成されています。解析時間は、それぞれ10秒と1分程度であり、解析結果は切羽や現場事務所、本社等でも確認できます。これにより、切羽の剥落危険度を踏まえた適切な鏡吹付けコンクリートの施工や前方とトンネル周辺の地質状況を踏まえた適切な補助工法の迅速な適用判断が可能となり、トンネル掘削の安全性を飛躍的に向上させることができます。

図版:切羽写真の画像解析による切羽剥落危険度評価システム

切羽写真の画像解析による切羽剥落危険度評価システム

図版:コンピュータジャンボの穿孔データによる3次元リアルタイム地質予測システム

コンピュータジャンボの穿孔データによる3次元リアルタイム地質予測システム

適切な対策工による安全性の向上

適切な鏡吹付けコンクリートによる肌落ち災害の防止

切羽写真の画像解析による剥落危険度の定量的な評価に基づいて、地山状況に応じた適切な鏡吹付けコンクリートをリアルタイムに提示し、切羽の安全性を向上させることができます。

  • 切羽写真を画像解析することにより、切羽の風化度と割れ目交差密度を定量評価します。
  • 全国の400切羽以上の切羽写真とこれらの剥落状況のデータベースに基づいて、剥落危険度を定量評価します。
  • 切羽で解析結果を確認できるため、適切な鏡吹付け厚を施工し、肌落ち災害の防止に貢献します。

図版:リアルタイムに切羽解析結果を確認

リアルタイムに切羽解析結果を確認

図版:発破孔の穿孔時の剥落データを収集

発破孔の穿孔時の剥落データを収集

改ページ

適切な補助工法の迅速判断による地山トラブルの防止

切羽観察では確認できない切羽前方やトンネル周辺5mまでの地質分布図を高精度に可視化できるため、断層や弱層を事前に把握しながら、適切な補助工法により地山トラブルを防止できます。

  • 発破やロックボルト施工時の穿孔データにより、切羽前方とトンネル周辺の高密度な地質情報として、地山の硬軟の指標となる破壊エネルギー係数を取得します。
  • 地質の予測及び可視化には、地質分布の特徴を反映した空間補完が可能な「クリギング」という手法を利用するため、高精度な予測が可能です。
  • クリギングの解析パラメータ(バリオグラム)を最適化することで、切羽前方やトンネル周辺5mまでの地質状況を高精度に可視化することができます。

※クリギング:資源開発分野で発達した地球統計学による空間補完の手法

図版:穿孔データ(破壊エネルギー係数)の3次元分布図とクリギング解析結果

適用実績

図版:宮古盛岡横断道路 新区界トンネル工事

宮古盛岡横断道路 新区界トンネル工事

場所:岩手県宮古市〜盛岡市

竣工年:2019年8月

発注者:国土交通省東北地方整備局

規模:本坑全長4,998m 内空断面積94.9m2 
避難坑5,045m 内空断面積15.5m2

図版:国道45号 白井地区道路工事(白井トンネル)

国道45号 白井地区道路工事
(白井トンネル)

場所:岩手県閉伊郡普代村

竣工年:2019年3月

発注者:国土交通省東北地方整備局

規模:延長2,059m 内空断面積95m2

学会論文発表実績

  • 「山岳トンネルのコンピュータジャンボの穿孔データに基づく情報化施工」,土木建設技術発表会2017概要集,日本トンネル技術協会,2017年
  • 「画像解析によるトンネル切羽の剥離危険性の予測」,日本応用地質学会 平成30年度研究発表会 講演論文集,2018年
  • "A Rapid Image Analyzing Method for Determining Crack Distribution and Interval on Tunnel Faces",the 10th Asian Rock Mechanics Symposium (ARMS10), 2018年
  • "RealTime Evaluations of Tunnel Faces and Predictions of Geological Conditions Ahead of the Tunnel Face Based on Drilling Data",the 10th Asian Rock Mechanics Symposium (ARMS10), 2018年
  • 「長大トンネルにおけるコンピュータジャンボを活用した合理的な施工と生産性向上への取り組み」,トンネルと地下,49巻,12号,2018年

山岳トンネル技術 インデックス

ホーム > 技術 > 土木:山岳トンネル技術 > 前方探査:地質のリアルタイム可視化システム「スマート切羽ウォッチャー」