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覆工用中流動コンクリート

特殊混和剤の使用により覆工用中流動コンクリートを簡易に製造

従来、山岳トンネルの覆工コンクリートの構築においては、スランプが15cm程度のコンクリートを10m程度流動させて打ち込むため、材料分離や締固め不足、未充填部の発生といった初期欠陥を生じやすいことが問題となっていました。

こうした課題に対して、スランプフローが35〜50cmである中流動コンクリートを用いる施工方法が高速道路総合技術研究所によって開発されています。

今回鹿島が開発した中流動コンクリートは、このトンネル覆工用中流動コンクリートの仕様に準拠しつつ、特殊な混和剤を用いることで市中の生コン工場での製造を簡便にしたものであり、より多くの現場での中流動コンクリートの使用を可能にします。

図版:特殊混和材を用いた中流動コンクリートのスランプフロー

特殊混和材を用いた中流動コンクリートのスランプフロー

キーワード
覆工コンクリート、中流動コンクリート、特殊混和剤、粘着剤

技術の詳細

覆工用中流動コンクリートは、スランプフローが35~50cm程度で、型枠バイブレータ程度の軽微な振動で流動・充填させることができるため、材料分離のない均質な覆工コンクリートを実現できます。この「材料分離をさせないための方策」としては、セメントと同程度の細かさを持った粉体である石灰石微粉末やフライアッシュをコンクリートに添加する必要がありますが、石灰石微粉末やフライアッシュを常備している市中の生コン工場はほとんどありません。そのため、従来は中流動コンクリートを適用できる現場が限られてしまうという問題がありました。

今回、開発した覆工用中流動コンクリートは、高性能AE減水剤と増粘剤を一液にした特殊混和剤を使用することにより、流動性と材料分離抵抗性を同時に付与します。粉体を使用しないため、一般的な設備を有する市中の生コン工場で中流動コンクリートを製造することができ、より多くの現場で中流動コンクリートを適用することができます。また、特殊混和材を用いた中流動コンクリートの品質は粉体を用いた中流動コンクリートと同等であり、高品質な覆工コンクリートを確実に構築することができます。朝日トンネル(茨城県)で試験的に採用されたほか、徳定トンネル(NEXCO中日本)や矢頭峠トンネル(三重県)において採用が決定しています。

図版:スランプ15cmの一般的な覆工コンクリートを使用したときの内空表面の仕上がり状況

スランプ15cmの一般的な覆工コンクリートを使用したときの内空表面の仕上がり状況

図版:特殊混和剤を用いた覆工用中流動コンクリートを使用したときの内空表面の仕上がり状況

特殊混和剤を用いた覆工用中流動コンクリートを使用したときの内空表面の仕上がり状況

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特長・メリットココがポイント

優れた流動性と施工性

普通コンクリート(スランプ15cmの一般的な覆工コンクリート)と特殊混和剤を用いた中流動コンクリートの流動性を、実際の施工と同じ規模で比較しました。

  • 特殊混和剤を用いた中流動コンクリートは、流し込むだけで10m以上流動させることができ、良好な流動性を有していることが確認できました。
  • また、型枠バイブレータによる締固めだけで、ほぼ水平とすることができました。

図版:実規模流動実験の結果(流動勾配)

実規模流動実験の結果(流動勾配)

材料分離がほとんどない

特殊混和剤を用いた中流動コンクリートの流動後の粗骨材量の分布状況を調べました。

  • 特殊混和剤を用いた中流動コンクリートは粗骨材の変化率が80%以上で、流動による材料分離がほとんど生じていないことを確認しました。

図版:実規模流動実験の結果(コンクリート中の粗骨材量)

実規模流動実験の結果(コンクリート中の粗骨材量)

緻密で均質なコンクリート表面

表面透気係数を指標として、流動後の普通コンクリートと特殊混和剤を用いた中流動コンクリートの表面の緻密さを評価しました。

  • 特殊混和剤を用いた中流動コンクリートは、表面透気係数が小さく(透気係数が小さいほど緻密)、そのばらつきも小さい結果となり、緻密で均質な覆工コンクリートであることが確認できました。

図版:実規模流動実験の結果(表面透気係数)

実規模流動実験の結果(表面透気係数)

適用実績

図版:朝日トンネル

朝日トンネル

場所:茨城県土浦市

竣工年:2012年3月

発注者:茨城県

規模:NATM トンネル延長1,784m 
施工延長732m 車道幅員6m 
内空断面積52m2

学会論文発表実績

  • 「増粘効果を有する高性能AE減水剤を用いた中流動コンクリートのトンネル覆工への適用性に関する実験的検討」,コンクリート工学年次論文集,Vol.34,No.1,2012年
  • 「特殊な混和剤を用いたトンネル覆工用中流動コンクリートの開発」,セメント・コンクリート,No.787,2012年9月

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