秒時現場設定型高精度電子雷管
「eDev®Ⅱ」
住宅地に近接した現場で振動・騒音をコントロール
近年の山岳トンネル工事は、市街地や民家に近接するものが増えています。掘削に伴って発生する周辺環境への振動や騒音等を軽減する観点から、特に坑口部や市街地通過部においては、振動や騒音を抑えた「周辺環境に優しい発破」が求められています。
そこで鹿島は、Orica社製の秒時現場設定型高精度電子雷管「eDev®Ⅱ」を住宅地に近接するトンネル現場での発破作業に適用し、様々なデータを蓄積しながら、高度な制御発破方法を確立しました。
特許登録済

Orica社製 秒時現場設定型高精度電子雷管「eDev®Ⅱ」
※「eDev」はOrica Explosives Technology Pty Ltdの登録商標です。
- キーワード
- 制御発破、秒時現場設定型高精度電子雷管、発破振動対策
「eDevⅡ」を用いた高精度な制御発破の概要
発破による振動・騒音を低減するためには、装薬孔数を増やし1孔あたりの火薬量を少なくする制御発破が効果的です。ただしその効果を上げるためには、発破の振動・騒音波形が重なり合うことなく確実に分離されることが求められます。また、発破振動や騒音の体感的な不快感を低減させるためには、起爆秒時間隔をできるだけ短く設定し、発破の継続時間を短くすることが有効です。しかし、従来のトンネル発破用電子雷管は、標準的な秒時間隔が30ms(30ミリ秒:1000分の30秒)に固定されており、発破孔全孔を分割して爆破させると、トータルの発破継続時間が長くなります。また、発破を分割できる数(段数)にも制限があり、一段あたりの火薬量が多くなるなど、課題がありました。
「eDevⅡ」は、秒時精度(設定秒時±0.01%)が高く、また、秒時間隔を現場で1ms(1ミリ秒:1000分の1秒)単位に設定できるという特長を有しており、鹿島ではその優位性に着目、住宅地に近接するトンネル現場の制御発破に本格的に適用しました。

制御発破振動の時間波形と周波数特性
特長・メリットココがポイント
起爆秒時間隔を現場で1ms単位に設定
eDevⅡは、起爆秒時間隔を1ms(1ミリ秒:1000分の1秒)単位で設定でき、かつ、現場にて任意に設定できます。
一連の発破試験を通じて振動値や周辺特性などのデータを蓄積した結果、先行起爆孔と後続起爆孔の振動波形が重なり合うことによる振動の増幅を回避しつつ、それぞれの起爆秒時間隔を可能な限り小さくすることで発破継続時間を短縮し、振動値と振動体感をともに抑える発破方法を確立しました。
低周波音圧レベルを4~5dB低減
起爆秒時間隔を短くかつ切れ目なく連続的に設定し、発破の継続時間を1秒程度に抑えるとともに、発生する発破騒音を高周波数帯にシフトさせた結果、工事ヤード外の住宅地における低周波音圧レベルが、従来の雷管と比較し4~5dB低減されました。また、高周波数帯に対して効果が高いとされる、防音扉や防音壁による発破騒音の減衰効果を高めることも確認できました。

「eDev®Ⅱ」現場適用イメージ
適用実績

一級河川安永川トンネル
場所:愛知県豊田市秋葉町ほか地内
竣工年:2015年2月
発注者:愛知県豊田市
規模:トンネル延長L=1,860m 掘削工法TBM導坑及びNATM拡幅 内空断面積70m2

新名神高速道路 箕面トンネル
場所:大阪府箕面市
竣工年:2018年2月
発注者:西日本高速道路関西支社
規模:トンネル延長 上り線2,576.5m
下り線2,524m 内空断面積68m2
学会論文発表実績
- 「高精度秒時電子雷管を用いたトンネル坑口部の周辺環境に優しい発破について」,火薬と保安,2014年11月
- 「高性能自在制御発破工法の低周波音低減効果について」,トンネル工学報告集