自動化技術の開発加速 西湘実験フィールド開所式
鹿島が開発し適用を進めている、建設機械の自動化による次世代の建設生産システム「A4CSEL®(クワッドアクセル)」等の建設施工・生産技術をはじめ、様々な開発技術を検証する実験場として整備した「西湘実験フィールド」の開所式が2017年9月8日、神奈川県小田原市の現地において行われました。
西湘実験フィールドは、機械技術センターの隣地を取得し整備された実験場で、規模は約2ha。これまで「A4CSEL®(クワッドアクセル)」等の自動化技術開発は、施工中の現場において進められてきたため、実験内容が現場作業に支障を及ぼさない範囲に限定されてきました。この西湘実験フィールドの整備により、自動化技術における対象作業や対象機種を広げた実験を自由に行うことが可能となり、開発が加速することが期待されます。本実験フィールドにて、コマツやJAXAとの共同研究も行われる予定です。
晴天の中行われた開所式には、来賓としてコマツからスマートコンストラクション推進本部長である四家執行役員ら、JAXAから宇宙探査イノベーションハブ國中ハブ長らが出席し、鹿島からは押味社長、渥美副社長、田代副社長、日名子副社長、山口副社長、児嶋副社長、石川副社長、高田常務ら関係者約70名が出席しました。式典では、機械技術センター内の説明会場で、押味社長からの挨拶、技術研究所福田所長からの実験フィールドの概要説明のあと、実験フィールドへ移動し、自動化施工推進室・三浦室長の説明による「A4CSEL®(クワッドアクセル)」の自動ダンプ、自動ブルドーザ、自動振動ローラによる一連の動きのデモンストレーションを見学しました。その後、懇親会が行われ、今後の実験の成果に大きな期待が寄せられました。
「A4CSEL®(クワッドアクセル)」は、汎用の建設機械に計測機器や制御用PCを搭載することにより建設機械の自動運転を実現したもので、一人で複数の自動化重機を同時に稼働させる新たなコンセプトを実現した世界初の技術です。2015年に五ケ山ダム建設工事(福岡県)で自動振動ローラを実用化させるとともに自動ブルドーザの実証実験を行いました。2017年には大分川ダム建設工事(大分県)において、ダンプトラックの導入試験を行い、運搬・荷下ろしから、ブルドーザによるまき出し、振動ローラによる転圧まで、一連の土工作業の自動化の流れを確立しました。本システムは、従来のリモコン等による遠隔操作とは異なり、人が作業指示を出すことにより複数の建設機械が自律的に作業を行うシステムであり、平成28年度土木学会賞技術開発賞や第19回国土技術開発賞最優秀賞を受賞するなど、注目が集まっています。今後、西湘実験フィールドにおいて、自動化システムの精度をさらに高め、適用機種を増やしていく方針です。
西湘実験フィールドでの自動化デモンストレーションの紹介映像(動画:1分15秒/音声あり)