凍結混合方式による
地盤材料の含水比調整方法
地盤材料の含水比を簡便かつ均質に調整
放射性廃棄物処分施設のベントナイト系人工バリアを所定の密度で構築するためには、原材料の含水比を精度良く調整することが重要です。
この調整は、「加水混合方式」で実施されることが一般的ですが、混合後の材料の「団粒化」や「混合機への付着」および「含水比分布のバラつき」が課題でした(写真)。
これらの解決を目的として開発した「凍結混合方式」は、材料の団粒化や混合機への付着を生じさせることなく、簡便かつ均質に含水比の調整が可能です。
平成30年度地盤工学会 技術開発賞
加水混合方式の課題
冷凍コンテナ
冷凍コンテナを使用した凍結混合プラント
- キーワード
- 放射性廃棄物処分、人工バリア、覆土、ベントナイト、ベントナイト混合土、含水比調整
凍結混合方式の特徴
凍結混合方式では、ベントナイトのような、加水すると高い粘性を示す材料の含水比を簡便かつ均質に調整できます。
加水による粘性増加に伴って生じる混合機への負荷も大幅に低減できるため、一般的な攪拌機や人力での混合も可能です。加えて、混合機内部への付着による材料ロスが生じないため、従来の加水混合方式と比較して、含水比を高精度に調整できます。また、混合機内部に付着した材料の除去作業も不要となり、含水比調整作業の省力化や短縮化にもつながります。
更に、従来の加水混合方式の課題である混合材料の団粒化も生じないため、含水比調整前の粒度分布を維持できます。凍結混合方式による含水比調整は、ベントナイトのみでなく、あらゆる粉体材料にも適用可能です。
加水混合方式による含水比調整後のベントナイト試料(含水比20%)
凍結混合方式による含水比調整後のベントナイト試料(含水比20%)
特長・メリットココがポイント
特殊な機械を必要としない機器構成
冷凍コンテナを使用した凍結混合プラントを用いてベントナイト材料の含水比調整を実施し、求める品質の材料を製造できることを確認済みです。
- 低温環境と微粒子氷製造機があれば実施可能です。
- 少量の材料であればレーキによる人力混合、大量であればコンクリート用二軸ミキサー等での機械混合で対応可能です。
- 冷凍施設や混合機の規模を拡大することによって、含水比調整材料の大量生産も可能です。
凍結混合プラントの機器構成
含水比を高精度に調整
低温環境においてベントナイトと微粒子氷を粉体状態で混合するため、加水混合方式と比較して調整後の含水比のばらつきを小さくできます。
含水比のバラつきの比較(設定含水比21%)
粒度変化の抑制
加水混合方式では材料の団粒化によって、調整後の粒径加積曲線が、粒径の大きい側へシフトするのに対し、凍結混合方式では均一に含水比を調整できるため、高含水比な団粒物が存在せず、粒度分布をほとんど変化させません。
粒径加積曲線の比較
適用実績
地層処分技術調査等委託費(高レベル放射性廃棄物処分関連:処分システム工学要素技術高度化開発)
のうち遠隔操作技術高度化開発
場所:東京都調布市
竣工年:2006年
発注者:(公財)原子力環境整備促進・資金管理センター
規模:高レベル放射性廃棄物PEM緩衝材吹付け施工試験の材料製造
出典:(公財)原子力環境整備促進・資金管理センター、平成24年度 管理型処分技術調査等事業 地下空洞型処分施設性能確証試験 報告書、平成25年3月
学会論文発表実績
- “A System for Spray-based construction of High-density Layers with Low Permeability for Radioactive Waste Disposal Facilities”,Journal of JSCE,Vol.3,295-310,2015年
- “Design Options for HLW Repository Operation Technology,(ⅳ) Shotclay Technique for Seamless Construction of EBS”,Proc. of 13th Int. Conf. on Environmental Remediation and Radioactive Waste Management,ICEM2010,2010年
- “Development of Water Content Adjustment Method Using Powdered Ice and Chilled Bentonite: Application to the Construction of Bentonite Engineered Barriers by Shotclay Method”,3rd Int. Meeting on Clays in Natural & Engineered Barriers for Radioactive Waste Confinement,2007年