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放射性廃棄物処分

設計、調査・評価技術調査・評価技術

坑道周辺の岩盤水理特性評価技術

坑道周辺の水みちとなる割れ目や不飽和領域を地中レーダにより評価

岩盤内に坑道を掘削すると、応力状態の変化により坑道周辺に水みちとなる開口割れ目や、不飽和領域が発生します。これらは掘削影響領域と呼ばれ、高レベル放射性廃棄物の地層処分の安全性を評価する際に考慮する必要があるため、その水理特性を把握することが重要です。

これを正確に把握するには、岩盤を乱さない調査手法が求められるため、非破壊的調査手法である地中レーダを活用することに着目しました。地中レーダ探査を坑道内から実施することにより、坑道周辺の水みちとなる開口割れ目の連続性や浸透特性、不飽和領域の状態を評価することができます。

図版:地中レーダ探査による坑道周辺の開口割れ目や不飽和領域の調査

地中レーダ探査による坑道周辺の開口割れ目や不飽和領域の調査

キーワード
放射性廃棄物処分、地中レーダ、掘削影響領域、不飽和領域、割れ目
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電磁波の反射特性を利用して掘削影響領域を評価

地中レーダは発信アンテナから電磁波を発信し、受信アンテナで反射波形を受信することで岩盤内部の探査を行います。電磁波の伝搬特性は水分の影響に敏感であることから、地下水の評価に適しています。探査手法としては3つあり、プロファイル測定、CMP(Common Midpoint)測定、Time-Lapse測定があります。

プロファイル測定では測線沿いの反射断面を得ることができます。CMP測定では伝搬する電磁波速度と共通反射点までの距離を算定することができます。Time-Lapse測定では水の浸透挙動や地下水面の変化を捉えることができます。これらの手法を掘削影響領域に適用することで、坑道周辺の岩盤水理特性を評価することができます。

図版:地中レーダによる探査手法

地中レーダによる探査手法

特長・メリットココがポイント

坑道周辺の不飽和領域調査

発信アンテナと受信アンテナが分離できる連続波レーダ(50-500MHz)を用いて、坑道周辺に発達する不飽和領域の状態を正確に把握できます。「プロファイル測定」により、反射波形の分布から不飽和領域が2次元断面として把握できます。また、「CMP測定」により、電磁波速度構造が分かることから、岩盤内の飽和の程度を把握することが可能になります。

図版:連続波地中レーダ装置

連続波地中レーダ装置

図版:連続波レーダによる堆積岩中の不飽和領域調査結果例

連続波レーダによる堆積岩中の不飽和領域調査結果例

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坑道周辺の水みちとなる割れ目調査

800MHzパルスレーダを用いた「プロファイル測定」により、坑道周辺の水みちとなる可能性のある割れ目の連続性が把握できます。また、1.5GHzパルスレーダで「Time-Lapse測定」を行うことにより、近傍のボーリング孔へ塩水を注入した際に、水みちとなる割れ目に沿って塩水が浸透する状況を反射波形の変化としてモニタリングできます。

図版:Time-Lapse測定による割れ目に塩水が浸透する際の波形変化の測定例

Time-Lapse測定による割れ目に塩水が浸透する際の波形変化の測定例

適用実績

図版:瑞浪超深地層研究所

瑞浪超深地層研究所

場所:岐阜県瑞浪市

竣工年:2015年試験実施

発注者:(国研)日本原子力研究開発機構

規模:試験適用

学会論文発表実績

  • 「地中レーダによる岩盤割れ目内の塩水浸透モニタリング」,第45回岩盤力学に関するシンポジウム,2018年
  • 「地中レーダを用いた坑道近傍の岩盤内水みちとしての割れ目の評価」,応用地質,2017年
  • 「地中レーダによる地下空洞近傍の亀裂性岩盤の地下水浸透状況調査」,第43回岩盤力学に関するシンポジウム,2015年
  • 「模擬亀裂を用いた地中レーダによる亀裂性岩盤の地下水浸透状況調査に関する検討」,応用地質,2014年
  • 「堆積岩中の不飽和領域調査への連続波レーダーの適用」,平成16年度応用地質研究発表会講演論文集,2004年

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