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放射性廃棄物処分

設計、調査・評価技術調査・評価技術

指向性ボアホールレーダ

3次元割れ目探査技術によりトンネル前方のリスクを事前に評価

山岳トンネル工事では、予期せぬ割れ目や断層に遭遇し、切羽崩壊に至る恐れがあります。このような施工トラブルを避けるためには、割れ目の位置だけでなく連続性や走向傾斜を事前に把握することが重要です。

そのための探査手法として、指向性ボアホールレーダによるトンネル前方探査技術を開発しました。これにより、従来の調査では困難であった割れ目の3次元分布や方向まで評価可能となり、安全なトンネル掘削が可能になります。

※「ReflexTracker」は松永ジオサーベイの登録商標です。
※この技術は、松永ジオサーベイとの共同研究成果です。

特許登録済

図版:指向性ボアホールレーダ(ReflexTracker)

指向性ボアホールレーダ(ReflexTracker)

図版:指向性ボアホールレーダによるトンネル前方の3次元割れ目探査

指向性ボアホールレーダによるトンネル前方の3次元割れ目探査

キーワード
山岳トンネル、ボアホールレーダ、前方探査、割れ目、先進ボーリング

一本のボーリング調査で割れ目の3次元分布を評価

山岳トンネルにおいて、施工中のトンネル前方探査として先進ボーリングが広く利用されています。しかし、従来の単一孔での調査の場合、調査できるのはボーリングと割れ目の交差位置だけであり、未掘削部の割れ目の方向まで把握することは困難でした。例えば、ボーリングと割れ目が斜交していると、ボーリングで確認された割れ目位置と実際に切羽で出現する位置が大きく異なってしまう可能性があります。

割れ目の方向まで探査するためには、複数の先進ボーリングを施工することが有効ですが、実際の工事ではコストや工期の面で不利となります。そのため、単一孔であっても割れ目の3次元分布や方向を評価できる指向性ボアホールレーダを併用することで、合理的で精度の高いトンネル前方探査が可能になります。

図版:先進ボーリングに指向性ボアホールレーダを併用することによる地質リスクの低減

先進ボーリングに指向性ボアホールレーダを併用することによる地質リスクの低減

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特長・メリットココがポイント

アンテナ配置の工夫により指向性を付与

ボアホールレーダの計測では、一般にボーリング孔周辺の物体や割れ目からの電磁波の反射波の到達時間から反射面までの距離を推定することができます。しかし、従来のボアホールレーダは指向性がないため、どの方向から反射波が到来したかまでは計測できません。

一方、指向性ボアホールレーダでは、受信アンテナ用の6個の素子が円柱状にアレー配置されているため、素子間の反射波の到達時間差から到来方向や反射点の位置を推定することができます。これにより、従来のボアホールレーダでは困難であった割れ目の3次元分布や方向を調査できます。

図版:指向性ボアホールレーダによる計測概要

指向性ボアホールレーダによる計測概要

割れ目の連続性を3次元的に把握

割れ目の調査手法の一つであるボアホールカメラでは、ボーリング孔に交差する点の位置での割れ目情報が得られるのに対し、指向性レーダでは、ボーリング孔の奥行き方向の割れ目の情報が得られます。これにより、奥行きまで連続する地質リスクとなる重要な割れ目を、反射面の3次元分布として把握できます。

図版:指向性ボアホールレーダによる計測概要

反射面の3次元分布としての割れ目の評価

適用実績

図版:新名神高速道路 箕面トンネル 西

新名神高速道路 箕面トンネル 西

場所:大阪府箕面市

竣工年:2018年2月

発注者:西日本高速道路

規模:試験適用

学会論文発表実績

  • “Evaluation of the Distribution of Fractures in a Rock Mass using Directional Borehole Radar Data from a Horizontal Borehole”,the 10th Asian Rock Mechanics Symposium (ARMS10),2018年
  • 「指向性ボアホールレーダのトンネル前方の水みち分布調査への適用」,第14回岩の力学国内シンポジウム,2017年

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