礫・砂混じりベントナイト混合土による
遮水層の構築方法
遮水性、施工性および耐降雨性を有するベントナイト混合土
放射性廃棄物処分施設の埋戻し材等への適用を目的として、従来材料よりも高い遮水性、施工性および耐降雨性を有する「礫・砂混じりベントナイト混合土(礫ベン)」を開発しました。
特許出願中
施工後にコア採取した礫ベン
- キーワード
- 放射性廃棄物処分、人工バリア、覆土、埋戻し材、ベントナイト、ベントナイト混合土
礫・砂混じりベントナイト混合土の特徴
礫・砂混じりベントナイト混合土(礫べン)は、従来用いられてきた砂混じりベントナイト混合土(砂ベン)に透水性の低い礫(砕石)を加えた地盤材料です。礫を加えることによって、材料の粒度幅が広がり、締固め性能が向上します。また、同じベントナイト混合率の礫ベンと砂ベンを比較すると、礫ベンの場合は、通水流路が長くなる(屈曲する)ことに加えて、間隙水が流れる礫以外の部分のベントナイト混合率も高くなるため、同一の遮水性をより少ないベントナイト量で達成できます。一般的な盛土工事と同じ方法での施工が可能であり、施工後の礫ベンは、耐降雨性にも優れています。
砂混じりベントナイト混合土(砂ベン)
礫・砂混じりベントナイト混合土(礫ベン)
特長・メリットココがポイント
一般的な土木工事と同様の製造・施工法
強制二軸ミキサによる材料製造後、一般的な盛土工事と同様の施工方法(ブルドーザーによる敷均し、振動ローラによる転圧)によって、乾燥密度および透水係数のバラつきが小さい遮水層を構築することが可能です。また、礫を加えることによって、撒出し厚を厚くできるため、砂ベンと比較して、施工性が向上します。
振動ローラによる礫ベンの転圧施工状況
高い遮水性と経済性、長期性能
砂混じりベントナイト混合土に礫(砕石)を加えることによって、砂ベンと比較して、高い遮水性を少ないベントナイト量で達成することが可能です。
また、礫を加えることで施工後の空隙体積を小さくできるために、少ないベントナイトでも透水係数の長期性能を担保することが可能です。
礫混入率と透水係数の関係(試験結果)
高い耐降雨性
転圧後の礫ベンを5時間の降雨(10mm/hr)に曝した後の含水比の影響範囲は、表層から10mm程度と狭く、礫による骨格構造も維持されることから、当該箇所を剥ぎ取ることなく、継続施工が可能です。また、浸潤部を含んだ礫ベンの透水性は、健全部と同等であるため、透水性弱部になることはありません。
降雨の影響確認試験結果
適用実績
六ヶ所低レベル放射性廃棄物埋設施設敷地における現地施工試験
場所:施工試験 青森県上北郡六ヶ所村
日本原燃 濃縮・埋設事業所 敷地内施工試験ヤード
竣工年:2023年10月
発注者:日本原燃
規模:難透水性覆土、下部覆土の施工性確証試験
学会論文発表実績
- 「礫─砂─ベントナイト混合土の透水特性と透水係数の評価方法」,土木学会論文集C,Vol.64,No.1,101-110,2008年
- “Development of Bentonite-sand Mixture Incorporating Gravel”,Waste Management symposium,1997年
- 「礫混入粘土混合土による人工遮水材料の基礎特性」,土と基礎,Vol44,No.5,1996年
- 「人工地盤構築材料の開発(その1) ─礫混入ベントナイト混合土の基礎的特性─」,鹿島技術研究所年報,第42号,1994年
- 「人工地盤構築材料の開発(その2) ─礫混入ベントナイト混合土の施工性に関する検討─」,鹿島技術研究所年報,第42号,1994年