CO2-SUICOM®︎
CO2-Storage and Utilization
for Infrastructure by
COncrete Materials
(POINT 01)
「CO2-SUICOM®(シーオーツースイコム)」は、鹿島が2008年に中国電力、デンカ、ランデス3社と共同で開発した、世界初のCO2吸収コンクリートです。コンクリートの主原料であるセメントは、その製造過程で大量のCO2を排出します。そこで、このコンクリートではセメントの半分以上を特殊な材料に置き換えることで、セメント製造時に排出されるCO2を大幅に削減。さらに、コンクリートが固まる過程で植物のように周囲のCO2を吸い込むので、トータルのCO2排出量をゼロ以下に抑制できます。
CO2を排出する量を少なくするだけではなく、作れば作るほど、大気中に存在しているCO2も減らすことができる「CO2-SUICOM®」は、“脱炭素(CO2を減らす)”から“活炭素(CO2を活用する)”への移行を推し進める技術として期待されています。政府の「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」においても、初めて実用化されたCO2吸収コンクリートとして取り上げられ、世界中から注目を浴びています。
(POINT 02)
一般的なコンクリートは、セメントと水の化学反応によって硬化します。一方、「CO2-SUICOM®」はセメントの代わりに「γ-C2S(ガンマシーツーエス)」という材料を使います。このγ-C2Sは水とは反応せず、CO2との化学反応によってコンクリートを硬化させる性質を持ちます。「CO2-SUICOM®」はこの性質を利用し、製造過程でコンクリート材料を練り混ぜた後、大量のCO2が充満する環境に置くことで、CO2を吸収させてコンクリートに固定するのです。具体的には、例えば排気ガスには大量のCO2が含まれるので、火力発電所などからの排気ガスを設備(CO2吸収槽)内に注入し、そこにγ-C2S を混ぜ込んだコンクリート材料を入れておくことで、CO2を吸収させます。
一般的なコンクリートのCO2の排出量が約288kg/m³であるのに対し、「CO2-SUICOM®」は、セメントをより低炭素の産業副産物などの材料に置き換えることによって約197kg/m³のCO2を削減。加えて、排気ガスなどに含まれるCO2を吸収・固定することで、さらに約109kg/m³のCO2を減らすことができます。これにより、合計306kg/m³のCO2削減となるので、一般的なコンクリートに比べて、実質ゼロ以下(-18kg/m³)を実現できます。
(POINT 03)
日本では、年間9,100万m³のコンクリートが使用されていますが、これを「CO2-SUICOM®」に置き換えれば2,784万トンのCO2が削減されます。この量は、日本の森林が年間に吸収できるCO2量8,300万トンの約1/3に当たり、およそ「北海道と東北6県」の森林が吸い込むCO2量に匹敵します。さらに、そのうちの164万トンは、排気ガスや大気中にすでに存在しているCO2量を減らすことができる、カーボンネガティブ効果をもたらすことになります。