ビオトープ創生技術
野生生物の生息できる空間を創生する技術
ビオトープ(biotop)は学問的には「特定の生物群集が生息する単位空間」と定義されています。これは、ある特定の生物だけではなく、それをとりまく様々な生物が共に自然に生息できる環境(生態系)を備えた空間を意味しています。ビオトープを創生することにより、市街地にも自然環境を持ち込み、野生生物の生息環境を創り出すことが可能になります。開発等により、生息環境が失われる希少生物等に対して、新たな生息環境を提供するミチゲーション(環境影響軽減)の一つとしても重要な技術で、生物多様性保全に役立つ技術です。自然観察や環境教育の場、人々のやすらぎの場を提供することも可能です。

ビオトープ池の例
- キーワード
- ビオトープ、生態系、ミチゲーション、生息環境、生物多様性、希少生物、環境教育
建設工事で技術適用する際の留意点
- 周辺地域を含めて、気候、地形、植生、動植物相などを十分に調査し、ビオトープ創生後の利用、維持、管理等も考慮した最も効果的なビオトープ計画が必要です。
- 目標となるビオトープにあわせて、多様な生物が生息できるように多様な環境が必要です。
- 野生の植物を植えたり、野生動物を放すこともありますが、その場合には、生物多様性に配慮し、その地域にもともと生息している動植物に限定し、周辺の自然の生態系を乱すことがないように十分な配慮が必要です。
- ビオトープは造成が終わった段階が出発点です。ビオトープとしての機能が発達するのには時間がかかる場合もあります。ビオトープの変化を継続的に調査して、目標のビオトープに合うような維持・管理が必要となる場合もあります。

創生後のビオトープにおける水生動物種数の変化
改ページ
特長・メリットココがポイント
生物多様性の保全や環境教育に貢献
- 市街地を中心に急速に失われつつある自然を呼び戻し、貴重な野生生物の生息場所を提供し、生物多様性保全に貢献します。
- 人々に自然と触れ合える安らぎの場を与え、自然の仕組み、大切さを学ぶ環境教育の場としての利用も可能です。

ビオトープに生息する水生動物の例
地域全体の自然環境の改善にも有効
- 1つ1つは小さなビオトープでも、地域の中の複数のビオトープのネットワーク化により大きな効果を上げることができます。既存の調整池等のビオトープ化も可能です。
- ビオトープ化により、複雑な生態系が成立し、池水の水質が良い状態で安定する効果もあります。

ビオトープ化工事前後の池水水質変化の例
適用実績

熊本県公共関与産業廃棄物
管理型最終処分場
(エコアくまもと)
場所:熊本県玉名郡
竣工年:2015年10月
発注者:熊本県環境整備事業団
規模:産業廃棄物管理型最終処分場 (クローズド・無放流型) ビオトープ面積約300m2

五ケ山ダム堤体建設工事
場所:福岡県那珂川市
竣工年:2018年3月
発注者:福岡県
規模:重力式コンクリートダム
堤高102.5m 堤頂長556m 堤体積93.5万m3
ビオトープ面積約1.8ha

ガーデンプラザ新検見川ビオトープ
場所:千葉県千葉市
竣工年:1996年5月
発注者:鹿島
規模:ビオトープ面積約500m2
学会論文発表実績
- 「ビオトープの研究(その1)─実験ビオトープの水生動物相─」,鹿島技術研究所年報, Vol.45,1997年
- 「ビオトープ出現動物の生活史段階と空間利用」,土木学会関東支部技術研究発表会講演概要集, 25巻,Ⅶ-16,1998年
- 「水辺ビオトープにおける水質環境と水生動物相の変化」,土木学会関東支部技術研究発表会講演概要集,25巻, Ⅶ-17,1998年