浮体式仮締切工法
ダム再開発工事における仮締切工の大幅効率化を実現
従来、ダムの再開発工事の仮締切工は、ダム堤体上流部に「コ」の字型の扉体と呼ばれる鋼製部材を積み重ねて設置し、仮締切内の水を排水する工法が一般的でした。この工法では、ダム湖底に台座コンクリートと呼ばれる構造物を構築し、扉体を自重で密着させます。ダムの湖底に台座コンクリートを構築するには、作業環境が大きく制約される大水深下での潜水作業が不可欠でした。
そこで、鶴田ダム再開発事業での仮締切工において、底蓋と一体とした仮締切扉体を浮体化し、扉体上方のダム堤体に浮上り防止金物を設置することで仮締切設備の浮力を支持する「浮体式仮締切工法」を開発しました。本工法により、台座コンクリートが不要になることから、潜水作業を削減することができます。
本工法は、国土交通省九州地方整備局、(一社)ダム技術センター、鹿島、日立造船の4者による共同開発です。
第6回ものづくり日本大賞 内閣総理大臣賞
第16回国土技術開発賞 最優秀賞
特許登録済

鶴田ダム再開発工事で曳航される浮体式扉体
関連情報
- キーワード
- ダム再開発、浮体式、仮締切、効率化、潜水作業低減、安全性向上
施工方法
浮体式仮締切工法では、仮締切扉体の両側に鋼板(スキンプレート)を貼り、これを浮力室とすることにより扉体を浮体化させます。一方で、扉体上方のダム堤体に浮上り防止金物を設置し、仮締切設備の浮力を支持します。仮締切内の水を排水する時には、水密ゴムを設けた扉体を水圧によって、あらかじめダム堤体に設置した戸当りに押しつけることで止水性が確保されます。また、従来工法の仮締切工は扉体を1段ずつ設置場所にて積み上げ連結していましたが、本工法では、浮体化した扉体をダム湖面で組み立てた上で、設置場所へ曳航し、ウインチにより引き寄せ固定します。

左側が従来工法の扉体、右側が浮体式の扉体

従来方式と浮体式の比較

鶴田ダムでの戸当たり設置状況の比較

鶴田ダムでの扉体設置状況の比較

扉体の曳航状況

据え付け完了の様子
特長・メリットココがポイント
従来の仮締切工法では、仮締切を支持する基礎部(台座コンクリート)が必要ですが、今回開発した浮体式仮締切工法では仮締切自体を浮かせ(浮体化)、基礎部を不要とし、またブロックの連結作業を湖面上で行うことができる等、潜水作業の軽減が可能となります。

従来式と浮体式の比較
適用実績

鶴田ダム再開発工事
場所:鹿児島県薩摩郡
竣工年:2019年1月
発注者:国土交通省九州地方整備局
規模:新設放流管工(堤体削孔3条)
新設取水設備工(堤体削孔2条)
上流締切台座工一式 新設減勢工一式
既設減勢工改造一式