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ダムかさ上げ技術

運用中の既存ダムに対する影響を最小限度とし、
貯水容量を増強するための技術

貴重な社会資本ストックである既存ダムの利水計画や治水計画の見直しに伴う容量確保のため、ダムのかさ上げ工事が近年増加しています。

ダムのかさ上げは既存ダムを運用しながらの施工となり、既存ダムの安定性確保が重要な課題となります。

そのためコンクリートダムにおいては、新旧堤体コンクリートの一体化を確保するための技術(解析・施工)が重要です。

またフィルダムのかさ上げでは、既設堤体への影響を計画から施工までの全段階で把握・管理し、実施工へフィードバックさせる情報化施工技術が重要となります。

三高ダム:平成16年度ダム工学会賞 技術賞
山王海ダム:平成14年度ダム工学会賞 技術賞

図版:コンクリートダムのかさ上げ工事(新桂沢ダム)

コンクリートダムのかさ上げ工事(新桂沢ダム)

図版:フィルダムのかさ上げ工事(山王海ダム)

フィルダムのかさ上げ工事(山王海ダム)

キーワード
ダム再生、再開発、かさ上げ、温度応力ひび割れ、一体化、情報化施工、挙動解析
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特長・メリットココがポイント

貯水池は下部より上部の方が広がる地形となっており、堤体のわずかなかさ上げでも効果的・効率的に貯水容量を大きく増加することが可能です。

  • 新桂沢ダムでは、既設の桂沢ダムを約1.2倍の高さにかさ上げすることで、総貯水容量を約1.6倍に増加させます。

図版:かさ上げ工事の事例(新桂沢ダム)

かさ上げ工事の事例(新桂沢ダム)

新旧コンクリートの一体化技術

新旧堤体へのコンクリート温度応力による影響度(ひび割れ発生等)の予想・把握・低減

  • 将来のダム形状とコンクリート打設速度等を想定して温度応力解析を行い、コンクリート温度とひび割れ指数等を予測し、打設計画やアンカー等の補強対策の検討へフィードバックします。
  • 堤体下流面を薄層で増厚した笠堀ダムでは、事前に温度応力解析を実施し、既設の横目地(15m)の間に新たに目地(中間目地@5m)を挿入する対策を実施し、ひび割れ発生を抑制しました。

図版:かさ上げ工事の解析事例

かさ上げ工事の解析事例

図版:薄層増厚時のひび割れ発生メカニズム

薄層増厚時のひび割れ発生メカニズム

図版:対策前後の最小ひび割れ指数分布図

対策前後の最小ひび割れ指数分布図

図版:中間目地の設置状況

中間目地の設置状況

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既設堤体と新堤体コンクリートの一体化

  • 既設構造物の撤去は、ワイヤーソーイング工法やアブレイシブジェット工法等を用いて、既設堤体への影響を最小限度とするための工法を選択します。
  • 既設堤体表面の劣化部分は、切削機(ビットローラ等)やウォータージェットを用い確実に除去します。
  • 銅製等材質の異なる既設止水板と、新設止水板も確実に接合します。

図版:切削機による既設堤体の削り取り(新桂沢ダム)

切削機による既設堤体の削り取り(新桂沢ダム)

図版:吊り下げ式ウォータージェットによる既設堤体の削り取り(笠堀ダム)

吊り下げ式ウォータージェットによる既設堤体の削り取り(笠堀ダム)

図版:既設銅製止水板との接続事例(新桂沢ダム)

既設銅製止水板との接続事例(新桂沢ダム)

図版:既設天端付近の新旧コンクリート一体化対策(新桂沢ダム)

既設天端付近の新旧コンクリート一体化対策(新桂沢ダム)

新堤体コンクリートの温度差を低減し一体化

  • コンクリート打込み温度の低減と越冬面付近の旧堤体コンクリートへの給熱を行うことで新旧堤体コンクリートの温度差を低減します。
  • 夏期においては、練混ぜ水の冷却と冷風設備により粗骨材を冷却します。
  • 冬期においては、越冬面より上部3リフトの既設堤体面を電熱マットで温めるとともに、越冬面は真空断熱材と養生シートによる保温養生を行います。

図版:越冬時の養生模式図(新桂沢ダム)

越冬時の養生模式図(新桂沢ダム)

図版:真空断熱材模式図(新桂沢ダム)

真空断熱材模式図(新桂沢ダム)

図版:養生状況(新桂沢ダム)

養生状況(新桂沢ダム)

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適用実績

図版:幾春別川総合開発事業の内 新桂沢ダム堤体建設(第1期・第2期・第3期)工事

幾春別川総合開発事業の内 
新桂沢ダム堤体建設
(第1期・第2期・第3期)工事

場所:北海道三笠市

竣工年:2024年3月

発注者:国土交通省北海道開発局

規模:堤高75.5m(11.9mかさ上げ) 
堤頂長397.0m 
堤体積59.5万m3(かさ上げ分24.5万m3

図版:笠堀ダム

笠堀ダム

場所:新潟県三条市

竣工年:2018年3月

発注者:新潟県

規模:堤高78.5m(4.0mかさ上げ) 
堤体積25.1万m3(かさ上げ分2.0万m3) 
本体掘削工5,660m3 
堤体コンクリート22,872m3 
既設堤体コンクリート撤去2,705m3

図版:下の原ダム

下の原ダム

場所:長崎県佐世保市

竣工年:2007年2月

発注者:長崎県佐世保市水道局

規模:堤高36.5m(5.9mかさ上げ) 
堤頂長178.0m 
堤体積7.51万m3(かさ上げ分3.17万m3) 
有効貯水量218.2万m3

図版:三高ダム

三高ダム

場所:広島県江田島市

竣工年:2004年3月

発注者:広島県

規模:堤高44.0m(11.4mかさ上げ) 
堤頂長202.0m 
堤体積11.9万m3(かさ上げ分7.8万m3) 
有効貯水量55.4万m3

図版:山王海ダム

山王海ダム

場所:岩手県紫波郡

竣工年:2000年3月

発注者:農林水産省東北農政局

規模:堤高61.5m(24.1mかさ上げ) 
堤頂長241.6m 
堤体積129万m3(かさ上げ分101.4万m3) 
有効貯水量3,760万m3

学会論文発表実績

  • 「寒冷地におけるダムコンクリートのプレクーリング実績」,土木学会,第74回年次学術講演会,Ⅵ-702,2019年9月(新桂沢ダム)
  • 「ダム堤体嵩上げ工事の施工」,土木学会,第71回年次学術講演会,Ⅵ-504,2016年9月(笠堀ダム)
  • 「嵩上ロックフィルダムの施工実績」,土木学会,東北支部技術研究発表会,2002年

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